伊藤忠商事人事・総務部長 垣見俊之氏と、Domani編集長・井亀真紀による『脱スーツ・デー』に絡めた「ビジネスパーソンにとっての働く服」についてのスペシャル対談企画。第3弾は、伊藤忠商事の「働く服改革」のこれからの展望について、語っていただきました。
変化に対する適応力を磨くことが、これからのビジネスパーソンには大事!
井亀 『脱スーツ・デー』に関して、これからの展望などがあればお聞かせください。
垣見人事・総務部長(以下、垣見) 『脱スーツ・デー』が予想以上に注目されたこともあって、「いっそ毎日やってみては」なんていう意見ももらったりはするんです。ただ、弊社は総合商社ということで、繊維業界だけでなく、色々な対面業界がありますので、相対するお客様も幅広い。いつでも自由にどうぞ、という訳にはいかない面もあります。そして何よりも、弊社としては、ONとOFFのメリハリこそが大切だと考えているんです。常にカジュアルダウンした、『毎日脱スーツ』はそれはそれで変化がない。その日の状況に合わせて、自分に適切な服装を選ぶことが、柔軟な思考性につながるのでは、と考えています。
井亀 自分らしくありつつも、T.P.Oに合わせて柔軟に変化することが大切、ということですね。
垣見 この〝変化への対応力〟というのがとても重要になってきます。特に今の時代、メディアもそうだと思いますが、スピード感が命だと思います。さらに言うと、一歩先の変化を自ら作っていくことが求められる社会だと感じています。
ファッション好きの日本人女性にこそ、もっと働く服改革を広めたい!
井亀 私は、日本人って、「バランスを取ること」にすごく長けていると思うんです。先ほど、女性のお仕事ファッションの特性として、「様子見」とか「空気を読む」ということを言いましたが、それはネガティブな意味ではなく、悪目立ちしないように工夫することが上手であるということ。だからこそ、洋服も、ファッションも好きなんですよね。それに、産業とかカルチャーとかを見ていても感じますが、美しいものが好きな国民ですよね。
垣見 そういう国だからこそ、もっとアパレル業界が元気になっていいと思うんです。我々が始めた「働く服改革」が、業界内、そしてさらに業界を越えて広がれば、アパレル業界の活性化にもつながるのではと。大変おこがましいお話ですが、そう信じております。この取り組みに対して株式会社三越伊勢丹 伊勢丹新宿本店様にも全面的にご協力をいただいているのも、私たちのこういった考え方をご理解・ご共感いただいている面が大きいです。
井亀 これはもう自治体としての取り組みとか、いっそのこと国策にしたいくらいの動きですね!Domaniでもますます積極的に応援したいです。
垣見 こういった取り組みに共感を持ってもらえる企業があれば、弊社も喜んで協力したいと思っています。もっと日本全体に波及していくと、嬉しい限りですね。
「脱スーツ・デー」の狙いの根底にあるものは、ビジネスパーソンそれぞれの主体性を磨くことや、思考の柔軟性を促すことにありました。伊藤忠商事人事・総務部長 垣見俊之さんと、Domaniブランド室 室長 井亀真紀との対談で見えてきたのは、「働く服改革」こそが、これからのダイバーシティ社会に必要なスキルを磨くことにつながるという、大きな展望。であるということ。
「働く服のカジュアル化」は、「自分らしく働く」という、新しい社会の価値観から生まれた、これからの日本にもっと広がっていくべき取り組みであると確信し、Domaniでも引き続き、この取り組みに注視し、コミットしていきたいと思います。
伊藤忠商事 人事・総務部長
垣見俊之
1990年慶大経済卒、伊藤忠商事入社。東京本社人事部、米ニューヨークの伊藤忠インターナショナル勤務を経て、帰国。2008年4月より、伊藤忠におけるグローバル人材戦略全般の構築・推進に尽力。また、2011年4月からは本社のダイバーシティ推進も兼任。2016年4月から現職に就任し、伊藤忠商事の人事・総務全般の戦略・企画立案の責任者。
Domaniブランド室 室長
井亀真紀
DomaniやCanCamの編集長を歴任してきた敏腕編集長。Domani編集長就任中の2012年に考案したバックサイズ版Domaniで、第4回 BestMagazineAward「雑誌大賞」受賞。2017年、Web Domani編集長に就任。2018年、Domaniブランド室 室長に就任し、本誌・Webともに、ブランドメディア『Domani』を統轄。