離婚をきっかけに天職と最愛の夫を手に入れた女性のハナシ
(取材者データ)茉莉花さん(仮名)、45歳。24歳で銀行マンと結婚し専業主婦になったはいいけれど、3年後に夫が突然家出し離婚を要求され呆然。離婚後精神的にも病み激ヤセするが、生活のために再就職。その後は様々な恋愛の失敗経験を経たのちに同級生の男性と再婚し、現在はフリーランスのPRとして活躍。離婚をきっかけに天職と最愛の夫を手に入れた幸運の持ち主。
誰もが羨むハイスペック婚の愛が壊れた理由とは?
今回取材した茉莉花さんは、幸せな再婚をしている〝バツイチセンパイ〟として、私に希望を与えてくれている存在。そんな茉莉花さんに私もあやかりたいっ!!(笑)、という願望——もとい、——バツイチの皆様が希望を持てるストーリーをお届けしたいという想いから、インタビューをお願いしました。
茉莉花さんは離婚自体も修羅場だったけれど、その後の恋愛もかなり波乱万丈。そんな彼女がいかにして現在の同級生の旦那様と愛猫とマイホームで暮らす穏やかな生活を手に入れたのか、というお話であります。
茉莉花さんが結婚したのは24歳のとき。相手は高校3年のときに文化祭で知り合った、某一流私立大学卒のラグビー部出身の銀行マンOさん。茉莉花さん自身もお父様は経営者で港区出身、かなりのお嬢様育ちです。そう聞くと、とても釣り合いの取れた、いわゆる「勝ち組」の結婚をしたように聞こえますよね。それがまあ、詳しく聞いてみると肩書きだけで、かなり見掛け倒しのお相手(失礼!)だったようなのです。
さかい(以下、さ)「そもそも、離婚の原因は何だったのでしょうか?」
茉莉花(以下、ま)「それがね、話せば長くなるんですが。銀行マンの夫とは、結婚して1年くらいで私が仕事を辞めて専業主婦として生活していたんだけど、結婚3年後の年末にちょっとしたケンカがきっかけで、『もう離婚する!』と言われたんです。本当にくだらないことが原因のケンカだったので、『なんでこんなことで!?』とびっくりして。よくよく聞いたら、彼女が居たんですよ」
思い起こせば、そのケンカの1ヶ月前に怪しい兆候はあったそう。
ま「ある日彼がシャワーを浴びているときに携帯が鳴って、『メール届いてるよ〜』と浴室に居る彼に知らせたら、『内容読んで〜!』と言われて。言われるままに『誠実なOさんが自分を責めている姿を見るのが辛いです。いつも泣いてばかりでごめんなさい』とメールを読み上げたら、彼が慌てて出てきて携帯を奪い取って、布団の中に篭ってしまったんです」
さ「うわ〜〜〜、わかりやすい浮気発覚のメールですね…!」
ま「それが私、そんな内容なのにそのとき、彼が浮気してるとは気づかなかったんですよ」
さ「えっ!?」
ま「『この人に限ってまさか』と思って居たので…。モテるタイプだし、いつも自分がモテることを自慢してくるようなタイプではあったんですが、彼のことを信頼しきっていたんですよね。布団をかぶっている彼に『ねえねえ何コレ〜? かわいい奥さんが居るってちゃんと言ったんでしょうね〜』なんて、笑いながら聞きました。今思えば鈍感すぎた自分にドン引きですが(苦笑)」
——疑り深い私からすると「そんなことってあるぅ!?」と思ってしまうエピソードなのですが、これはたぶん、〝愛されて育ったお嬢様あるある〟。健全で裕福な家庭で育ったお嬢様には、人の悪意(つまり浮気)を疑ったりしないという傾向が多々あるように感じます。 それにしてもOさんは、浮気していたのによく妻にメールを読ませたなと思うのですが、それについては「不倫相手が銀行の同僚だったため、いつもは社内メールでやりとりしていたので携帯メールを送ってくることはないと夫が油断していた」のが原因だとか。なるほど〜〜〜。
ま「本当に微塵も疑っていなかったので、お互いの実家に行ったときもその事件のことをネタにしたりしてたんです私(笑)。『この前Oさんにこんなメールが来たんですよぉ。モテるのも困り者ですよね〜』、なんて」
そんな折のOさんからの不倫告白は茉莉花さんにとって、まさに青天の霹靂でした。
「思えば結婚する前から違和感は色々あったかも」
でもよくよく聞くと、夫の浮気が最大の離婚理由とはなっているものの、茉莉花さん夫婦は元から他にも様々な問題を抱えていたようです。
問題1:上昇志向が強く新興宗教にハマる義母の存在
ま「彼の実家は普通のサラリーマン家庭なのですが、義母は上昇志向がとても強い人。付き合って居るときから『茉莉花さんは○○女学院に通っていて、お父様は○○を経営していておじさまは○○の職業で』と知り合いに自慢するように紹介されていました。それと、実は義母は新興宗教にハマっていたのですが、その理由も彼の兄弟を一流大学にどうしても入れたくて宗教にすがったのが原因。それをベラベラ話してしまう様な人で…。さらに彼には結婚する前に『母に君のことは勧誘させないから』と言われたのに勧誘されたりもしました」
問題2:お酒とお金にだらしない夫
ま「彼は見栄っ張りな人で、持っている以上に後輩に奢ったりするんです。お金がないのに先輩とゴルフに行くから3万円貸してと言われたこともありました。婚約中に、私が社会人初のボーナスが出たことを自慢したら、『お金貸して』と言われて。理由はクレジットカードの支払いができないから。しかもそのお金も私に持って来てと頼むんですよ。——そんな感じだから銀行員なのに貯金も全くない。だけど学生時代から付き合っていて交際が長かったし好きだったから、『結婚しても私ががんばれば何とかなるだろう』と思ってたんです」
さらにOさんはお酒にもだらしがなくて、毎年お正月に茉莉花さんの実家の別荘で開かれる大学ラグビー部の会合でも、みんなを呼んでおいて自分がいちばん最初に潰れる有様(注:もちろん準備や後片付けは全て茉莉花さんの仕事です)。
このOさんのだらしなさは、どうやら実家でスポイルされまくって育ったことが原因。学生時代に海外留学する際にも、準備や手配はすべて兄弟と母親が引き受けるほど甘やかされていたため、我慢や人への気遣いという当たり前のことができなかったようです。「お金にだらしない男は女性関係もだらしない」と言いますが、結局自制心が足りないということですものね。——話を伺っているうちに、思わず、「茉莉花さん、離婚できてよかったじゃないですか!!」と言ってしまいました。
ま「(苦笑)。まあ、今思えば寄生虫のような人でしたね…」
よく「結婚前に感じた違和感は無視してはいけない。後々それが大きな問題となるから」などと言う話を聞きますが、茉莉花さんの場合もそうだったのかもしれません。
さて、ここから離婚が成立するまでには泥沼裁判を経てさらに3年3ヶ月(!)かかるのですが、そのときの大変だったお話は次回に続きます。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。