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LIFESTYLE インタビュー

2023.10.31

新垣結衣さん&磯村勇斗さん「一生の課題をもらった気がする」〝多様性〟という言葉に思うこと|映画『正欲』インタビュー

 

「何かが変わった」というよりも「広げてもらった」感覚

──おふたりは初共演ですが、相手のことをどんな役者さんだと感じましたか?

新垣さん:「ナチュラル」ですね。

磯村さん:(新垣さんの言葉を受けて)ナチュラルですか。

新垣さん:磯村さんはナチュラルで好奇心旺盛で、お芝居という仕事にすごく自然に取り組んでいらっしゃる印象です。とてもいい意味で力が抜けているし、自然に一緒にいられる感覚がありました。かと思えば、すごく頼りになる部分もあって。とあるシーンをどのように表現して見せるべきか、改めて監督たちと話し合いをしたんです。なかなか結論が見えずにいたときに、磯村さんが「こういうことじゃないですか?」と話し始めたら、一気にまとまったんですよね。こんなふうに物事を俯瞰で見られる姿勢は、夏月としても、新垣としても、非常に頼りにしていました!

磯村さん:いえいえ(笑)。僕がナチュラルでいられたのは、新垣さんの醸し出す空気やお芝居こそが「ナチュラル」だったからですよ。僕はもう、そこに乗っかっていこうと。本当に新垣さんのおかげです。

新垣:ありがとうございます(笑)。

磯村さん:本当に、ふたりのシーンはとてもいい空気が流れていました。新垣さんは、お芝居でも感受性が深く、広いイメージがあって、どんな感情もしっかりと受け止めてくれますし、それがなにより素敵なところだと思っています。今回「初めまして」でしたが、とても尊敬する役者さんです。

新垣:こちらこそです!

談笑する新垣結衣さんと磯村勇斗さん

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──「観る前の自分には戻れない」というキャッチコピーも非常に印象的な今作ですが、出演を通してご自身に変化はありましたか? また、これから作品を観るみなさんにメッセージをお願いします。

磯村さん:そうですね…「自分は自分でいいんだよ」というところでしょうか。僕はもともと、人と比べられるのが嫌いだったんですよね。でもどうしても「あの人はここまでやっているんだから、あなたもがんばりなさい」みたいなことって、何かと言われがちです。

だけどこの作品に出会って、佳道を演じて、やっぱり自分は自分だし、他の人は他の人、という意識が強くなりました。「普通」というものはないし、それは結局その人の物差しでしかないし、物差しの長さも人それぞれ全部違うものだと思います。自分自身の個性を、まずは自分が大事にすることが大切なんじゃないかな。

登場人物、それぞれに抱えているものがありますが、きっとみなさんもどこかで共感したり、背中を押されたりする作品になるのではないかと。ぜひ映画館で観ていただきたいです。

新垣さん:夏月たちのような、自分が想像しきれないところで生きている人が必ずいるのだと改めて感じましたし、「多様性」などに対して漠然と感じていたことを、作品に可視化してもらったような気がしました。人によって捉えている感覚が違うし、これからも変化していく気がする。考え始めるとキリがないですが、(作品の出演前後で)何かが変わった…というよりは、「広げてもらった」という感覚が強いかもしれない。

原作も映画もそうですが、何が正しい・悪いとか、答えを提示する物語ではなくて、「どう思いますか?」とずっと言われているような。一生の課題をもらったような気持ちです。

映画『正欲』11月10日(金)全国ロードショー

映画『正欲』ポスタービジュアル

【あらすじ】

横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。

広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。

ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子はそんな大也を気にしていた。

同じ地平で描き出される、家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なる背景を持つこの5人。だが、少しずつ、彼らの関係は交差していく。

稲垣吾郎 新垣結衣 磯村勇斗 佐藤寛太 東野絢香
監督・編集:岸善幸 原作:朝井リョウ『正欲』(新潮文庫刊) 脚本:港岳彦
音楽:岩代太郎
主題歌:Vaundy『呼吸のように』(SDR)
撮影:夏海光造 照明:高坂俊秀 製作:murmur 制作プロダクション:テレビマンユニオン 配給:ビターズ・エンド

©2021 朝井リョウ/新潮社  ©2023「正欲」製作委員会

 

▶️映画公式サイト

新垣さんスタイリング/小松嘉章(nomadica) ヘアメイク/藤尾明日香

ニット¥37,400、エプロンドレス¥59,950(ともにザ リラクス)ピアス¥43,000(トムウッド 青山店〈トムウッド〉)リング[左手]¥28,600(エドストローム オフィス〈ボーニー〉) [右手]“クロス”¥187,000“スクエア”¥198,000(ハルミ ショールーム〈オー〉)シューズ¥39,600(トゥモローランド〈リュニック エモア〉) ソックスはスタイリスト私物

問い合わせ先:
THE RERACS TEL:03-6432-9710
トムウッド 青山店 TEL:03-6447-5528
エドストローム オフィス TEL:03-6427-5901
Harumi Showroom TEL:03-6433-5395
TOMORROWLAND TEL:0120-983-511

磯村さんスタイリング/笠井時夢 ヘアメイク/佐藤友勝

写真/黒石あみ 取材・文/徳永留依子

Profile

新垣結衣

1988年6月11日生まれ、沖縄県出身。ファッション誌『nicola』モデルを経て、俳優に。2007年『恋するマドリ』で映画初主演。同年映画『恋空』に主演し、第31回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。その後の出演作に『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズやドラマ『掟上今日子の備忘録』『逃げるは恥だが役に立つ』『獣になれない私たち』連続ドラマW『フェンス』など。2017年公開作『ミックス。』では第60回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。

磯村勇斗

1992年9月11日生まれ、静岡県出身。2014年俳優デビュー。2015年にドラマ『仮面ライダーゴースト』で注目を集め、以降NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、ドラマ『きのう何食べた?』『今日から俺は!!』映画『ヤクザと家族 The Family』『東京リベンジャーズ』『前科者』などに出演。2022年には第45回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。

▶️公式サイト

 

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