タイパとは
若者言葉を日常会話の中で使う場合には、その言葉の意味をしっかり理解している必要があります。意味を正確に把握しないまま「なんとなく」で使うと、使い方を間違えて「若者に追い付こうと必死な痛い人」と認定されてしまうかもしれません。タイパの意味と使い方を解説します。
「タイムパフォーマンス」を略した言葉
タイパとは「タイムパフォーマンス」を略した言葉です。タイムパフォーマンスとは、その行動に投資した時間と行動の結果として得られた効果の対比を指します。日本語で表現するのであれば、「時間対効果」と訳すことができます。
タイ‐パ
「タイムパフォーマンス」の略。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
タイパという言葉は、Z世代(1990年代中盤から2010年代序盤に生まれた世代)を中心に使われていた流行語です。現在では、子どもからビジネスパーソンまで広い世代で使われるようになっています。
タイパが若者世代の流行語から一般的な言葉へと変化した背景には、「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 『今年の新語2022』」で大賞を受賞したことが一つのきっかけといえるでしょう。
タイパの使い方と例文
タイパという言葉はビジネスシーンだけでなく、勉強や趣味などを行うシーンでも頻繁に使われます。
短時間で効率的にタスクをこなすことができたときには「タイパが良い」と表現します。例えば「今日はタイパ良く勉強ができたから何だか気分が良いな」というような使い方が一般的です。
簡単なタスクのはずが思った以上に時間がかかったり、時間がかかった割に得られる効果が薄かったりした場合には、「タイパが悪い」と表現します。例えば「今日の会議は目新しい意見が出なくてタイパが悪かったな」というように使用可能です。
時間対効果を意識してタスクを処理するときは「タイパを意識する」といいます。例えば「タイパを意識して仕事をすると、自然と退社時間が早くなるな」といった具合です。
タイパが注目されるようになった背景
「タイパ」は「時代の変化」に呼応する形で生まれた言葉でもあります。タイパという言葉を通せば、現代の日本を垣間見ることができるでしょう。タイパという言葉が注目されるようになった理由を解説します。
IT技術の進化
タイパという言葉やその考え方が注目される背景には、インターネットの発達とスマホやパソコンの普及が関係しています。
IT技術が進化し、いつどこからでもインターネットにつながることができるようになった現代では、図書館に出向いたり情報源に取材したりして情報を取りに行かなくても、必要な情報を集めることができるようになりました。
ただインターネットの海に流れる情報は膨大です。しかしその一方で、あり余る情報を一つ一つ精査する時間を持っている人は、ほとんどいないでしょう。
ここで重要になるのがタイパの考え方です。情報収集にかけられるごく一部の時間の中で、タイパ良く必要な情報を見つけ出す技術が求められるようになったのです。
ビジネスを取り巻く環境の変化
深刻な労働力不足により、ビジネスシーンでもタイパが求められるようになりました。
人材不足が続くビジネスシーンにおいて、限られた労働力で今までと同じ、もしくはそれ以上の生産性を実現するには、働く人一人一人がタイパを意識して働くことが重要です。
またタイパが注目される背景には、労働者の「働くことへの意識の変化」も隠されています。
現代の日本では、仕事一辺倒の働き方ではなく、仕事もプライベートも充実させる「ワークライフバランス」を意識した働き方を求める人が増えています。「時間対効果を高めて短い時間働き、仕事以外に当てられる時間を増やしたい」と考える人が増えているのです。
デジタルネイティブ世代の「当たり前」
Z世代を中心とするデジタルネイティブ世代にとって、「タイパ重視の行動」はもはや当たり前になっています。生まれたときからさまざなデジタルツールに触れてきたデジタルネイティブ世代は、インターネットの利用もごく自然に行っています。
インターネットを賢く利用していくためには、限られた時間で自分にとって有益な情報をタイパ良く探し出す技術が必要です。この技術を小さい頃から自然と身に付けているのが、デジタルネイティブ世代なのです。
デジタルネイティブ世代は、タイパが要求される行動に昔から慣れ親しんでいるといえます。デジタルネイティブ世代にとって「タイパ重視の行動」はもはや「日常」なのです。
ビジネスでタイパを向上させるには
ビジネスパーソンにとって、タイパは意識せざるを得ない重要な要素です。タイパを無視して働くことは、もはや「現代社会から求められていない」と言っても過言ではないかもしれません。ビジネスシーンでタイパをアップさせる方法を紹介します。