Summary
- 「関心」と「興味」は、どちらも心が向く状態を表しますが、感じ方や対象の捉え方に違いがあります。
- 「興味」は感情的な心の動きに基づき、「関心」は理性的な注目を意味することが多いです。
「関心」と「興味」は、日常生活やビジネスシーンで頻繁に使われる言葉ですが、その違いを明確に理解している人は意外と少ないかもしれません。そこで、この記事では、それぞれの意味や使い分け、類語、英語表現について詳しく解説します。コミュニケーションの質を高める一助となれば幸いです。
関心と興味の意味を確認し、違いを整理
「関心」と「興味」は、どちらも心の働きを表します。まずは、それぞれの意味を整理していきましょう。

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「関心」とは何か?
「関心」の意味を辞書で確認しましょう。
かん‐しん〔クワン‐〕【関心】
ある物事に特に心を引かれ、注意を向けること。「政治に―がある」「幼児教育に―が高まる」「周囲の―の的」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「関心」とは、対象に向けて注意を払う心を指します。
「興味」とは何か?
「興味」の意味も辞書で確認しましょう。
きょう‐み【興味】
1 その物事が感じさせるおもむき。おもしろみ。興。
「人生の最も深き―あり」〈高村・友の妻〉
2 ある対象に対する特別の関心。「―がわく」「―を引く」「―に満ちた表情」「―の的」
3 心理学で、ある対象を価値あるものとして、主観的に選択しようとする心的傾向。教育学では、学習の動機付けの一つ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「興味」は、面白いと感じる気持ちや、ある対象について知りたいと思う気持ちを指します。
「関心」と「興味」の違いは?
「関心」と「興味」は、どちらも物事に心を引かれる状態を指すところは共通しています。違いは、向き合い方です。
「興味」は、ある物事の一部に対して「面白そう」、「知りたい」と感じるなど、感情的な側面が強く表れます。
一方で「関心」は、対象全体に対して注意を向ける姿勢を指し、もう少し理性的で冷静な印象があります。単に面白そうという感覚よりも、「大事なことだと思って注目する」といった意識に近いかもしれません。
例えば、新しい映画に「興味」があるという場合は、その作品が楽しく見られそうだと期待しているような状態です。それに対して、「関心」があるという場合は、その映画が描くテーマや背景に注目し、内容を深く理解したいという気持ちを表します。
このように、「興味」は感情的な引かれ方を、「関心」は理性的な注目を意味することが多いとされています。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
「関心」と「興味」の類語と言い換え表現
ここでは、「関心」と「興味」に近い意味を持つ言葉や、言い換えに使える表現を紹介します。類語を知ることで、違いについての認識も深まりますよ。
「関心」の類語
まずは「関心」に似た意味を持つ言葉を見ていきましょう。
着目
特に注意を払って見ることを指します。対象のある点や特徴に目を向けるときに使われる表現です。
着眼
物事のある側面に目をつけることを意味します。観察や考察の出発点としての「視点」に焦点を当てた言葉です。

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「興味」の類語
続いて「興味」に似た意味を持つ言葉を見ていきましょう。
興(きょう)をかきたてる
おもしろさや楽しさを感じ、心が浮き立つような様子を表します。
面白味がある
ただ単に「おもしろい」というよりも、その物事に奥行きやあじわいを感じることを指す表現です。
「関心」と「興味」の使い方を例文で確認
言葉の意味や使い分けをより自然に理解するためには、実際にどのような場面で使われるのかを知ることが役立ちます。ここでは、それぞれの表現を使った例文を見ていきましょう。

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「関心」を使った例文
「関心」は、社会的な話題や出来事などに対する、理性的な注意を向けるときに使われることが多いでしょう。
彼は環境問題に関心を持ち、積極的にボランティア活動に参加している。
この例文では、「関心」が単なる好奇心ではなく、社会的な課題に対する意識や行動につながっていることを示しています。
最近、若者の政治への関心が高まっていると言われている。
ここでは、「関心」が世代全体の傾向として語られています。政治という大きなテーマに対し、注意や興味が向けられている状態を表しています。
彼女は教育改革に深い関心を寄せている。
「深い関心」は、表面的な注意ではなく、注目の度合いが強いことを意味します。