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2025.09.20

【万博レポ】UAEパビリオンはまさしく“大阪・関西万博のオアシス”と呼ぶにふさわしい場所だった

10月13日(月・祝)の閉幕に向け、クライマックスを迎えている大阪・関西万博。本記事では、万博のオアシスと名高い「UAEパビリオン」を特集! 好奇心をたっぷり満たせる、魅力の片鱗をお届けします。

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9月某日。夢洲駅に到着すると、平日の朝であるにもかかわらず人・人・人! その波を縫いながら案内していただくこと5分。今回取材するのは…こちら。

パビリオンの外観写真

巨大な柱に思わず視線がくぎ付けとなる、UAEパビリオンです。

UAEって、そもそもどんな国?

UAEとは『アラブ首長国連邦』のこと。中東に位置した7つの首長国からなる連邦制国家で、首都はアブダビ。1970年の大阪万博にはアブダビ首長国として初参加しました。その翌年、アブダビ、ドバイ、シャルジャ、アジュマン、ウンム・アル・カイワイン、フジャイラの6首長国が連邦を結成し、1972年にラス・アル・ハイマが加わって、現在のアラブ首長国連邦(UAE)が誕生しました。

世界と、そして日本とのつながりが生まれた地である大阪に、55年の時を経て戻ってきたUAE。今回のパビリオンは、それがどれだけUAEの人々にとって特別なことであるのかを、じっくり体感できる場所となっていたのです…!

映像展示と柱の写真

パビリオンのテーマは“大地から天空へ(EARTH TO ETHER)”

「大地から天空へ」というテーマに合わせ、たくましさと寛大さを抱き、志高く生きる現地の人々を表現したという90本の柱が来館者を出迎えます。

大地から天空へ、というテーマが書かれた展示物

数あるパビリオンの中でもひと際目を引くこちらは、UAEのシンボルともいえる木・ナツメヤシを使って作られた柱。エミラティ(元来UAEに住むアラブの人々のこと)の住まいとなっていた伝統建築様式「アリーシュ」を新たに解釈したもので、UAEのサステナビリティ精神の象徴でもあります。

柱の写真

柱の高さは最大16メートルと、文字で見てもかなりのインパクトですが…実際に入ってみると、荘厳な光景にただただ圧倒されるばかり。同時に心地よい木々の香りが全身を包み込み、スーッと癒されるような気持ちにもなるのです。(正直こんな感覚は後にも先にも味わったことがなく、この記事を書いている今でも恋しく思えます)

きっと誰もが「どうやってこんな柱を?」と制作過程に興味を抱くのではないでしょうか。筆者もこんな大きなものどうやって持ち運んだのだろう、なんて考えてしまいましたが、実はこちら、UAEをはじめ近隣諸国から持ってきたナツメヤシを、日本の職人の方々が組み上げたそう。

後述する本パビリオンの副代表、シャイカ・アル・ケトビ氏も、職人たちの技術に驚くとともに、そのすばらしさを称えていました。つまり、この巨大柱はUAEと日本の共同作業によって生まれたものなのですね。それを前提として眺めてみれば、皆さんそれぞれに何か感じるものがあるはずです。

柱を下から見上げた写真

さらに、パビリオンのテーマを象徴する存在として押さえておきたいのが、来場者とUAEをつなぐ架け橋として活躍中の「ユースアンバサダー」の方々。UAE出身者と日本人、そして日本語話者の在日メンバーで構成され、私たちに重要なメッセージを伝える役割を果たしています。気になった展示を見つけたら、ユースアンバサダーに話を聞くとさらに理解が深まっていくでしょう。

UAEの文化がわかる必見展示物も多数

ナツメヤシの柱に感動しつつパビリオン内を見回すと、いくつも興味深い展示物を見つけました。今回はツアーガイドのアハマドさんについてもらいながら、これらを見て回っていくことに。

UAEの七つの砂の写真

まず紹介されたのは「UAEの7つの首長国の砂」を集めたもの。

なんと、首長国によって砂の質が全然違うんだそうです。赤い土が目立つ首長国もあれば、海が近いためにサラサラの浜辺の砂の首長国も(同じく浜辺の砂でも大きめの石が混じっている等の違いもアリ)。この違いにはパビリオン内の皆さんも興味津々で、説明にじっくり聞き入っていました。

短剣の写真

こちらは「日本でいう、お侍さんの刀です」と説明してくださった、儀式の際などに用いるエミラティの短剣・ハンジャル。超至近距離で見られるのですが、そのまばゆさといったらもう! 鍛冶職人のクラフトマンシップがこれでもかと伝わってくる、それはそれは美しい剣でした。

そのほかにも…

鼻クリップの写真

▲真珠を採るための素潜り漁で使用していた鼻クリップ

70年の万博に出展したアブダビ館の再現オブジェの写真

▲1970年の大阪万博に「アブダビ」として出展した際のパビリオンの模型(サイズ感がとてもかわいらしく筆者のツボにはまり、何枚も写真を撮りました)

コーヒーポットと香炉の写真

▲客人をもてなすために用いる、銀のコーヒーポット「ダッラ」。奥の香炉からはふんわりと心地よい香りが漂います。

UAEの著名人のフィギュア。横のボタンを押すと該当者の映像が流れる仕組み

▲医療や宇宙開発分野などで活躍中である、UAEの著名人を紹介するスペース。フィギュアのそばのボタンを押すと、真ん中のモニターにご本人の映像が流れます。

といったように、数々の展示物を見ることができます。柵がほとんどなく、間近で見られるものが多いのもうれしいポイント。(筆者のイチ推しは短剣・ハンジャル。絶対に近くで見てほしいです)

宇宙開発にも力を入れているUAE

「大地から天空へ」というテーマは、UAEで暮らす人々の志のみを表しているのではありません。

床に刺繍された「宇宙探検家たち」という文字

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、UAEは宇宙開発にも非常に力を入れている国。パビリオン内には「宇宙探検家たち」を紹介するセクションがあり、伝統工芸「アル・クース」で編まれたという、これまた大きなロケットの彫刻がそびえ立ちます。

ロケットの写真

ここでは、アラブ人初の宇宙飛行士でUAE青年問題担当国務大臣、スルタン・アル・ネヤディ氏の紹介も。ガイドのアハマドさんによると、彼はUAEの英雄的存在で、子どもたちの夢として「宇宙飛行士」が挙がるようになったくらい偉大な方なのだとか。

アハメドさんの写真

▲取材陣に語りかけるアハマドさん

なお、そのアハマドさんも、UAE宇宙庁の技術研究者であるとてもすごいお方。日本に留学経験があり、難しい敬語も完璧にマスターしていらっしゃいました。(留学時は八王子にお住まいだったそう!)とてもやわらかな口調と流暢な日本語により、取材陣がなごむ一幕も。

最先端のAI技術で、世界を救う医療の発展を目指す

宇宙開発やサステナビリティ分野など、とにかく技術の発展が目覚ましいUAE。中でも筆者が驚いたのは、「国民たちの遺伝子情報を解析し、これからどんな病気が流行するかを予測しながら、対策法も模索していくことを目指しています」という最先端医療に関する解説でした。

展示パネルには、「UAEには医療へのアクセスが乏しかった時代があり、その重要性を痛感してきたために、世界中の人々が医療の恩恵を受けられる社会の実現に向けて尽力している」といった主旨の一文が。

こちらは、エミラティの伝統織物「アル・サドゥ」。その伝統的な模様が〝遺伝子の螺旋構造に似ていると言われている〟ということで展示されていました。今日までの医療の発展には、伝統から着想を得ることが欠かせなかったのを象徴しているそう。

遺伝子を表した白黒の織物の写真

UAEで3000年以上昔から活用されている「ファラジ」(自然の力で水を管理するシステム)がサステナビリティを実現する上でのヒントになっていたり、廃棄物を価値ある資源に転換させる施設を作っていたりと…パビリオンを通して、最新技術と伝統技術が非常にうまく融合していることは感じていたのですが、特に感激したのはこちらの展示でした。

織物のアップ写真

ツアーのあとは…UAEパビリオン副代表 兼 クリエイティブ・ディレクターのシャイカ・アル・ケトビ氏にお話を伺いました!

いろいろと展示物を見て回った後は、ご自身もアーティストとして活躍中のUAEパビリオン副代表、シャイカ・アル・ケトビ氏によるご挨拶が。現地ではおもてなしに欠かせないというデーツとエミラティコーヒー(アラビックコーヒー)をいただきながら、今回のパビリオンに対する思いやUAEの伝統・文化などについてのお話を聞きました。

エミラティコーヒーは初めて飲んだのですが、大自然を感じられる滋味深い味わい。普通のコーヒーと全然違った味で新鮮です。一緒にいただいたデーツの濃厚な甘みとよく合う!

シャイカさんの写真

シャイカ・アル・ケトビ氏からは、日本や世界とのつながりを大切にしていきたいこと、UAEのすばらしい自然と文化を多くの人々に知ってほしいこと、建国以来発展を遂げてきた技術的要素などなど…万博やUAEに関するたくさんのエピソードが。中でも「UAEは多国籍国家であり、国民は全人口の約1割にとどまり、その他は200以上の国籍から構成されている外国人居住者です。」とのお話は、恥ずかしながらまったく知らなかったため驚愕。

このときふと医療発展のセクションにあった「世界中の人々が医療の恩恵を受けられる社会の実現に向けて尽力している」という一文を思い出し、「出自が違おうと関係なく、手を取り合って暮らしている国なのだろうな」とシンプルに心を打たれていました。

また、お話の中でもう一つ驚きがあったのですが、それは「今回の万博の責任者がほぼ女性」であること。UAEでは女性の社会進出が非常に進んでいて、政府や民間企業でも重要ポストに就いて活躍しているそう。これは、建国時から女性が教育を受けることへの重要性が説かれ、その環境を実現してきた結果によるもの。今では男性よりも多くの女性が中等教育を修了し、大学や大学院に入学しているのだとか。

たくさんのエピソードをスマートに話すシャイカさんの凛とした姿勢からも、UAEの女性が持つ〝エンパワーメント〟を深く実感したのでした。ちなみに、パビリオン内で販売されているグッズの多くをセレクトしたのも、アーティストである彼女とのこと。

ということでここからは、魅力たっぷりなパビリオン内ショップのご紹介をしていきたいと思います。

絶対にチェックすべし! 心躍るギフトショップ

エシカルとサスティナブルをテーマに、UAEの伝統・革新を融合させたクラフトアイテムがぎゅっと詰まったショップは必見! 日常に取り入れやすい商品が多かった印象なので、お土産にもおすすめですよ。

フードカバーを模した小物入れの写真

▲湾岸地域で伝統的に使用されてきたフードカバー「メチャッパ」を模した小物入れ

ラッピングポーチの写真

▲UAEパビリオンのマークがプリントされたラッピングポーチ

トートバッグの写真

▲パビリオンテーマやマークがプリントされたトートバッグ

ノートの写真

▲ナツメヤシの木の質感・素材感をイメージしたというノート

コーヒーカップの写真

▲エミラティコーヒーを注ぐための伝統的なコーヒーカップ

二つの傘の写真

▲雨が待ち遠しくなるナツメヤシモチーフの傘

付箋とマスキングテープの写真

▲保管用も買いたい付箋とマスキングテープ

ブラウスの写真

▲伝統モチーフをチュール素材に写したブラウス。パキッとした色味がきれい

このほかにも、これは?あれは何? と好奇心をくすぐるアイテムがそろいます。ここだけの特別な出合いに、心躍ること間違いなし! 出口の近くにありますので、展示物を見終わった後にゆっくり買い物を楽しみましょう。

ショップの写真

併設レストランで、スパイスとデーツが欠かせないUAEの食文化に親しむ

パビリオンとショップを歩き回ったら、すっかりお腹もペコペコに…。そんなときは併設のレストランで、食事を楽しんでみてはいかがでしょうか? 本格的なUAE料理を食べられる機会もなかなかないと思いますので、万博を訪れる機会のある方は楽しんでおくことをおすすめします。

併設レストランの写真

筆者もUAEの食文化を体験すべく、お弁当(BENTO BOX)をいただきました。

お弁当の写真

メインディッシュは写真左下の「ダジャジュ・マッチブース」はUAE風スパイス「バザー」で味付けしたグリルチキンのライス添え。辛さとはまた違うスパイスが効いた深みのある風味! サフランライス×チキンなので、とにかく食べごたえ抜群です。ナッツと豆がよいアクセントになっているのもポイント。

右上の「ハリース・サラダ」には大麦、ザクロ、パセリ、ミニトマト、きゅうり、チャーミーチーズ、そしてなんとここにも細めに刻まれたデーツが! 大麦がごはんのような感覚で敷かれていたこともあり、デーツって合うのかな? と思ったものの、一緒に食べてみると巧みに調和している…! 普段は味わえないエキゾチックさに、思わずテンションアップ。ドレッシングはオリーブオイルとルーミ(ブラックライム)を使った酸味のあるフレーバーで、暑さに疲れた体をシャキッとさせてくれました。

※補足すると、チャーミーチーズはUAEの食卓に欠かせない定番食材なのだとか。たしかに、毎日食べても飽きがこないような、さっぱりしていて食べやすいチーズでした。

左上は「カミールパン」といって、エミラティの人々が食べるスタンダードな食事パン。中は空洞なものの、かなり歯ごたえがあるので、お腹いっぱいになる最後のほうまで取っておくと食べるのが大変かもしれません(笑)

デーツの写真

なお、サラダの下にはしっかりデーツも一粒。砂糖をまったく使っていないのにこんなに甘いとは、これぞ自然の神秘…。

最後にいただいたのは、写真右下の「アシーダ・ボバー」というかぼちゃ・サフラン・カルダモンを使ったお粥のようなスイーツ。優しいけれどスッキリ感もあって、体に無理なく染み渡る味。食べたときは常温でしたが、本来は温かいようです。

また、ドリンクメニューも見逃せません!

4つのドリンクの写真

▲どれも「映え」! 同席の皆さんがそれぞれ違うものを頼んでいたので、写真を撮らせていただきました。感謝。

今回選んだのは写真手前の「ラフシュとラクダミルク」。低脂肪で栄養豊富なラクダミルクに、わたあめのようなスイーツ“ごまのラフシュ”とローストピスタチオがトッピングされています。

このパビリオンを訪れるまで、「ラクダのミルク」の存在さえ知らなかった筆者。どんな味なのか想像もつきませんでしたが、いざ飲んでみると口当たりがやわらかく、牛乳よりマイルド。食事に案内してくれた方が「豆乳と牛乳の間のようだと思った」と仰っていたのですが、飲めば飲むほど「あぁ、わかる!」という感覚に。

ラフシュとラクダミルクドリンクの写真

トッピングのラフシュをさくさく混ぜたり、すこし口に含んで飲むと香ばしい甘みが加わって、コクのある味わいになります。取材当日は本当に暑かったので、オアシス感がより顕著に感じられたのがいい思い出です…(笑)

最後に

今回の取材で何より感銘を受けたのは、UAEという国が持つ「おもてなし精神」のすばらしさです。疲れたときにふらりと立ち寄れるような〝万博のオアシス〟となることを目指し、あえて導線を作らないパビリオンを設計したこと。来訪者たちを温かく迎え入れる、ユースアンバサダーの存在。サステナビリティ・ホスピタリティに優れた最新技術と由緒ある伝統をうまく融合させ、世界中の人々と共存を目指すその姿勢。

それらすべてに、私たち日本人もよく知っている「おもてなし」や「他者への気づかい」の心を感じたのですが…海外への渡航経験がない筆者にとって、それはかなりの衝撃でした。

日本とUAEの位置関係を地図上に示した展示物の写真

結果、取材前日、何ならパビリオンに足を踏み入れるまではあんなに遠く思えていた国に、今や親しみを覚えているのだから不思議なものです。医療や宇宙技術の発展にはさすがに貢献できないかもしれないけれど、何か自分にもできることはないだろうか? と思わせてくれる見事なパビリオンでした。

さて、お伝えしてきたように、大阪・関西万博「UAEパビリオン」は建国以来の歴史と発展の模様に自分のペースで触れられる場所。閉幕まで残り1か月を切りましたが、ここは行かなきゃもったいない!

ぜひそのオアシスっぷりを、あなたも体感してみてください。

夜のパビリオンの写真

▲取材を終え、大屋根リングからパシャリ。疲れた体に沁みる美麗さでした!

TEXT

Domani編集部

Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/

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