チャットやメッセージでの簡潔な表現
現代のビジネスコミュニケーションでは、SlackやTeamsなどのツールも重要な連絡手段です。こうした場面では、簡潔で親しみやすい表現が好まれます。
適切な表現例
「資料確認いたします」
「受け取りました。ありがとうございます」
「拝見させていただきます」
敬語の類語と違いを見分ける
「拝」が付く言葉はいくつかあり、混同しやすいものです。違いをしっかり整理しておきましょう。
・拝受:物理的に受け取ること
・拝承:内容を理解し承知すること
・拝見:見ること、確認すること
たとえば、「メールを拝受しました」は受信したことを伝え、「内容を拝承いたしました」は理解したことを表し、「資料を拝見いたします」は確認することを示します。
「受領」「頂戴」など状況に応じたバリエーションが重要
部下や後輩に「拝受いたしました」を説明するなら
自分が使えるだけでなく、後輩に教える立場になることもありますよね。そんな時、自信を持って説明できると、先輩としての信頼も高まります。
「なぜその言葉が正しいのか」を伝えるコツ
ただ「こう使うんですよ」と教えるのではなく、「なぜか」を添えると相手の納得感が深まります。
「『拝受』の『拝』は謹んで~するという意味の謙譲語で、『受』は受け取る。だから、一言で『ありがたく受け取りました』という敬意を表せる便利な言葉なんです。
ただ、『いたしました』を付けると二重敬語になるという考え方もあるから、もっとシンプルに『拝受しました』と言うと、より洗練された印象になることもありますよ」
このように、言葉の成り立ちや別の選択肢もセットで伝えると、相手は自分で考えて応用できるようになります。辞書や公的機関の情報をもとに、納得感のある説明の仕方を身につけましょう。

誤用を指摘するときの伝え方
もし後輩が誤用していたら、頭ごなしに「間違っています」と指摘するのは避けたいもの。相手を尊重しつつ、気づきを促す伝え方を工夫しましょう。
NG例「その場面で『拝受』はおかしいよ」
OK例「さっきのメール、丁寧でいいね。ちなみに、社内のやりとりだと『受け取りました、ありがとうございます』くらいの方が、伝わりやすいかもしれないですよ」
最後に
POINT
- 「拝受」は「ありがたく受け取る」という謙譲語
- 「いたしました」を付けても二重敬語ではない
- 社外ではフォーマル、社内では簡潔表現の方が自然
「拝受いたしました」は、正しく使えば相手への敬意と感謝をスマートに伝えられる、ビジネスシーンの強い味方です。言葉の成り立ちや文法的な背景を理解したうえで、相手や状況に応じた表現を選べるようになると、日々のコミュニケーションに安心感と自信が生まれます。
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執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。


