Summary
- 洗えない服の臭いは、汗や皮脂が繊維に残ることで発生します。
- 空気中の臭いは、通気性の高い服に付着しやすく残りがちです。
- ブラッシングを習慣にすると臭いの蓄積を防ぐことができます。
スーツやコート、ニットなど「洗えない」表示のある衣類は、気になる臭いがあっても洗濯できず悩ましいものです。外食後の食べ物の臭い、汗やタバコの残り香など、日常の中で蓄積される臭いは、自宅で手軽に対処できる工夫があります。その方法を、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。
この記事では、素材を傷めず清潔感を保つための方法を、初心者でも実践しやすい視点で紹介します。
服が臭うのはなぜ? 原因を知れば対策しやすくなる
「どうして洗っていない服は臭うの?」そんな疑問を感じたことはありませんか? 洗えない服ほど、臭いが蓄積されやすい背景があります。まずは原因を知ることが、正しいケアへの第一歩になります。
汗・皮脂が繊維にとどまりやすい構造
肌に触れる衣類は、汗や皮脂を吸収しやすい傾向があります。特に脇や襟まわりは、皮脂等の分泌が多いため洗えない服だと汚れが蓄積され、雑菌が繁殖して臭いが出て来ます。
素材によっては吸着しやすい繊維構造を持つものもあり、表面がさらりとしていても、気づかないうちに汚れが深くしみ込んでいるケースもあります。

空気中の臭いが付着しやすい服の特徴
通気性が高く、ふんわりした素材の服は、空気中の臭いを取り込みやすい性質を持っています。
焼き肉やタバコの煙、キッチンの油の臭いなどが、目に見えない形で繊維に絡みついてしまうのです。特に柔らかいウールやアクリル素材のコートやニットは、着用時間が長いほど臭いを吸収しやすくなります。
洗えない服こそ、空気中の臭いの影響を強く受けることがあるかもしれません。
ウールやアクリル素材のコートやニットは、着用時間が長いほど臭いを吸収してしまう…。
すぐに実践できる! 洗えない服の自宅ケア法
「今すぐ何かしたい」というときに、面倒な準備や特別な道具が必要だと続きません。家にあるもの、短い時間でもできる臭い対策なら、毎日の習慣として取り入れやすくなります。
風を通す・干すだけでも臭いは変わる
「干すだけでいいの?」と思われるかもしれませんが、風を通すことはシンプルながら効果的な方法です。臭いの原因は、服の中にこもった湿気や空気中の粒子。これらを外に逃がすことで、自然と臭いが軽減されていきます。
晴れた日に屋外に干すのが理想ですが、夜や雨の日は、玄関や窓際など空気が流れる場所を選ぶといいでしょう。直射日光を避け、陰干しにすることで、色褪せや生地の傷みも防げます。
スチームやドライヤーの温風を活用
「スチームを当てるだけで臭いが飛ぶ?」そんなふうに感じるかもしれませんが、蒸気や温風は臭い成分を浮かせて飛ばすのに向いています。スチームアイロンをかけられる素材であれば、衣類から2〜3cm離して軽く蒸気を当てるだけで十分です。
ドライヤーを使う場合は、弱めの温風で30秒ほど。一箇所に集中させず、全体に軽く風を送るイメージで行うと効果的です。湿気を含みすぎないよう、乾いた状態で行うのがポイントです。
入浴後の浴室はスチーム効果が得られる空間
お風呂上がりの浴室に、スーツやアウターを一時的にかけておく方法もあります。湯気のスチームが繊維に行き渡り、軽い臭いであればふんわりと和らぐ効果が期待できます。
直接濡らすわけではないので、生地を傷める心配も少なく、湿度の力をうまく利用したケア方法といえるでしょう。ただし、湿気が残りすぎると逆にカビの原因になることもあるため、20〜30分を目安にして、終わったら速やかに風通しのいい場所へ移動してください。

臭い対策として、風を通すことはシンプルながら効果的な方法。
プラスαで取り入れたい! 消臭アイテムの選び方と使い方
自宅でのケアに加えて、消臭アイテムを上手に取り入れることで、より安心して清潔感を保ちやすくなります。使い方や素材への影響を考えながら、自分に合ったものを選ぶのがポイントです。
素材に合ったスプレーやミストを選ぶ
市販の衣類用消臭スプレーは種類も豊富ですが、選ぶ際には必ず素材との相性を確認しましょう。ウールやシルクなどデリケートな生地は、水分や成分の刺激に弱く、商品によっては変色や縮みの原因になることもあります。
使用前には、表示ラベルをよく確認し、「衣類専用」「天然素材対応」などの記載があるかをチェックしておくと安心です。スプレーする際は衣類から少し離して、まんべんなく吹きかけると、ムラなく仕上がりやすいでしょう。


