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2025.12.26

「精進してまいります」の意味と使い方|例文・言い換え・注意点まで解説【専門家監修】

「精進してまいります」は、ビジネスの挨拶やメールでよく使われる一方で、「少し堅すぎる?」「本当に正しい敬語?」と迷われがちな表現です。実はこの言葉、ただの決まり文句ではなく、謙虚さ・責任感・継続的な努力を同時に伝えられる、日本語ならではの表現。この記事では、意味や敬語としての立ち位置を整理しながら、使いどころ・言い換え・注意点までをわかりやすく解説します。

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Summary

  • 「精進してまいります」は謙虚な決意を示す表現。
  • 仏教語由来で、継続的な努力と姿勢を伝える言葉。
  • 入社・昇進・謝罪・抱負など、節目の場面で使われることが多い。

ビジネスの挨拶やメールでよく目にする「精進してまいります」。耳慣れた表現ですが、敬語としての位置づけや正しい使い方に迷うことも少なくありません。

この記事では、意味や由来を整理しながら、場面ごとの例文や言い換え表現まで紹介します。読んだあとに自信を持って使えるよう、自然で誤解のない表現を一緒に確認していきましょう。

「精進してまいります」の意味を確認

言葉を正しく使うためには、その言葉が本来持っている「重み」や「温度」を知ることが大切です。まずは言葉の成り立ちから紐解いていきましょう。

「精進」とはどういう意味?

「精進」は本来、仏教用語で「雑念を捨て仏道修行に専心すること」を意味しますが、現代日本語では「一つのことに集中して励む」「一生懸命努力する」という広い意味で使われます。

ビジネスシーンにおいては、単に「頑張ります」というよりも、目標に向かって真摯に取り組む姿勢や継続的な努力の意志を表す言葉として用いられます。「今後も気を引き締めて努力を続けていきます」というニュアンスが込められているのです。

たとえば、新しいプロジェクトを任されたときや、昇進したときなど、これまで以上の責任を担う場面で使うことで、謙虚ながらも前向きな決意を伝えることができます。

なお、「精進料理」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。これは修行僧が肉や魚を避けて食べる菜食料理のことで、やはり仏教の「精進」という概念から来ています。言葉の成り立ちを知ると、より深い理解につながりますね。

クエスチョンマーク 人々
(c)Adobe Stock

「まいります」の敬語的な立ち位置

「精進してまいります」は、「精進していきます」を謙譲語にした形です。

謙譲語は、自分の動作をへりくだって表現することで、相手(聞き手や読み手)を高める敬語です。したがって、「精進してまいります」は、(あなたのために・御社のために)「私はひたむきに努力をしていきます」という謙虚かつ強い決意を、目上の人や取引先に対して伝えるのに最適な表現なのです。

「精進してまいります」は、謙虚かつ強い決意を伝える最適な表現。

場面別に見る「精進してまいります」の使い方

言葉の意味がわかったところで、実際のビジネスシーンでどのように使えばいいのか、具体的なシチュエーションとともに見ていきましょう。

入社・異動などの挨拶での使い方

新しい環境での第一声は、その後の人間関係を築く上でとても重要。「精進してまいります」は、謙虚さとやる気を同時に伝えられるため、新任の挨拶にはうってつけです。

【ポイント】
過去の経験を鼻にかけず、「一から学ぶ姿勢」を見せるときに効果的です。

・入社の挨拶
「一日も早く戦力となれるよう、精進してまいります。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」

・昇進・着任の挨拶
「身に余る大役ではございますが、この役割を全うできるよう、より一層精進してまいります」

メール文面での使い方

メールやチャットなど、文字でのコミュニケーションでは、表情が見えないぶん言葉選びがより重要になります。「精進してまいります」は、文面を引き締め、相手に安心感を与えます。

【ポイント】
謝罪の場面や、プロジェクトの完了時など、「次につなげる意思」を示したい時に使いましょう。

・お礼メール(プロジェクト終了時など)
「今回のプロジェクトで得た経験を糧に、今後も精進してまいります」

・謝罪・反省のメール
「二度とこのような不手際がないよう、基本に立ち返り精進してまいります」

謝罪の場合、ただ謝るだけでなく「改善への強い意志」を示すために使うと、誠意が伝わりやすくなります。

誤る男女
(c)Adobe Stock

スピーチや公の場での表現

式典や総会など、大勢の前で話す場面では、短くても重みのある言葉が好まれます。「頑張ります」では少し軽く、「尽力いたします」だと少し硬すぎる… そんな時に「精進してまいります」が輝きます。

【ポイント】
声に出すときは、「しょうじん」の音をはっきりと、語尾の「まいります」を丁寧におろすように発音すると、落ち着いた知性を演出できます。

・抱負を語るスピーチ
「皆様のご期待に添えるよう、社員一同、心を一つにして精進してまいります」

「精進してまいります」の言い換えと注意点

日本語の美しさは、その多様性にあります。いつも「精進してまいります」ばかりでは、言葉が定型化してしまい、心が伝わらなくなることも…。相手や状況に合わせて使い分けられるよう、バリエーションを持っておきましょう。

「精進してまいります」の言い換えと注意点
  1. よく使われる言い換え表現
  2. 注意したい誤用と印象の差

よく使われる言い換え表現

努力してまいります

最もスタンダードな言い換えです。「精進」よりもやや柔らかく、日常的に使いやすい表現です。

例:「皆様のご期待に添えるよう、努力してまいります」

邁進(まいしん)してまいります

「邁進」は「目標に向かって突き進むこと」を意味し、「精進」よりも積極的で力強い印象を与えます。新しいプロジェクトや挑戦的な目標に取り組む際に効果的です。

例:「新規事業の成功に向けて、全力で邁進してまいります」

尽力してまいります

「尽力」は「力を尽くすこと」を意味し、具体的な成果や目標達成への強い意志を示します。

例:「お客様満足度向上のため、尽力してまいります」

スキルアッツ イメージ
(c)Adobe Stock

励んでまいります

やや柔らかい表現で、継続的に頑張る姿勢を示します。「お励みください」という形で相手にも使えるのが特徴です。

例:「業務に励んでまいりますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします」

注意したい誤用と印象の差

「精進してまいります」は非常に使い勝手のいい言葉ですが、注意点もあります。

目下の人には使わない

「謙譲語」を含んでいますので、部下や後輩に対して「精進してまいります」と言うと、相手を恐縮させてしまったり、皮肉に聞こえたりする可能性があります。

部下へは「期待しているよ」「一緒に頑張ろう」といった言葉を選びましょう。

多用しすぎない

すべてのメールの結びにこれを使うと、「定型文のコピー&ペースト」だと思われてしまいます。「勉強いたします」など、文脈に合わせて言葉を変える柔軟性を持つことが、大人の言葉遣いです。

最後に

POINT

  • 「精進」は本来、修行に励むことを意味する言葉。
  • 「まいります」は謙譲語で、目上の人向けの表現。
  • 節目の挨拶や反省・抱負の場面で効果的。

「精進してまいります」は、ビジネスシーンで自分の決意や姿勢を謙虚に、かつ誠実に伝えるための効果的な表現です。仏教用語に由来する言葉だけに、単なる「頑張ります」以上の真摯な響きがあり、節目となる大切な場面で使うことで、相手に好印象を与えることができます。

一方で、形式的に多用したり、場面に合わない使い方をしたりすると、かえって誠意が伝わりにくくなることもあります。この記事でご紹介した使い方のポイントや注意点を参考に、相手や状況に応じて適切に使い分けることが大切です。

TOP・アイキャッチ・吹き出し画像/(c) Adobe Stock

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執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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