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LIFESTYLE 雑学

2018.12.05

”人に頼らない”ことが「自立」じゃない!【犬山紙子のワーキングマザー一年生】

自立ってなんだろう。人を頼るってなんだろう。コラムニスト犬山紙子さんが赤裸々に語るワーキングマザー生活。

ひとりで背負って壊れてしまうなら自立なんかしなくていい

「私って自立できてるのかなあ」ふとそんな問いが頭をよぎりました。

一応家族を養ってるし、子育てもしている。うん、自立といえば自立しているけど、夫ともし別れたらひとりで立っていられるんだろうかとも思うのです。今の仕事ができるのはどう考えても夫の力が大きい。私が仕事の間、娘を見てくれて、家を綺麗にしてくれたり、娘のご飯を作ったり洗濯してくれたり、役所から届く書類の処理もしてくれてる……。とてもじゃないけど、今夫がいなくなったらめちゃくちゃ困るだろうなあと思ったりします。アシスタントさんを雇えば……とも思うけど私が心から信頼していること、私が辛くなったときに寄り添ってもらえることも生きていく上で必要で、それもアシスタントさんに求めるとなるとそれはひとりで立っているとは言えないのかなとも思います。

犬山紙子

イラスト/犬山紙子

そもそも自立の定義は何か? 調べてみたら「自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやっていくこと」とありました。うん、私自立してないこと確定です。

でも、この定義を見て自立なんてクソ喰らえだとも思いました。なぜってこの世で誰かの助けを借りずに心身ともに健康で生きていくなんて無理だからです。逆に誰の力も借りないでひとりで頑張って頑張って孤独になって辛くなっていく人をたくさん見ました。会社で理不尽な状況になっても誰にも頼れず結局自分だけが辛い思いを強いられる人。自分も夫も働いているのになぜか家事育児は自分だけ、でも自分さえ我慢すればと夫に言い出せずにいる人。人間関係がうまく行かず、ひたすら自分を責める人。私が今取り組んでいる児童虐待の問題もほぼ「孤立」がキーワードと言ってもいいと思います。

だから、自立なんかしなくていいと思うのです。ていうかしちゃダメとすら思います。自立よりも生きていくのに大切なのはまずは「自己肯定感」そして「人に頼れる力、人に頼ってもらう力」なんだと思うようになりました。

これまでたくさんの人に話を聞いてきましたが、楽しそうに生き生きしている人はちゃんと人に頼ることができるし、誰かを助けている人でした。人に頼れる人は、自分の得意不得意をよくわかっています。苦手なことを手伝ってもらって得意なことでお返ししているのです。社会もそうやって適材適所でうまく回っているわけで。本来夫婦もそれができたらとても効率よく、個々の無理も減るのかもしれません。ひとりで背負って頑張った結果、壊れてしまったら元も子もないのですものね。

「人に迷惑かけるな」と私たちは教えられて育つわけですが、今となっては「そんなこと言うから、無理する人がでてくるじゃん。そのせいで心や体が壊れてしまったり、最悪自殺や虐待が起こるんじゃん」とその教えに反発したくなる自分がいます。不必要な迷惑はもちろんかけないに越したことはないけど、必要な迷惑はどんどんお互いかけあえるようになるといいなあと思うんです。私も大好きな人たちに頼ってもらえたら嬉しいし。

どうかみなさんが頑張りすぎて無理しませんよう、どんどん人を頼ってください。その分絶対自分がいつか誰かに頼られるようになりますから。

私、子ども欲しいかもしれない。/¥1,300 平凡社「子供は欲しいけど、実際どうなの?」出産前の犬山さんが育児体験者の話を聞いて、〝どうしよう〟をとことん考えた「出産・育児」のリアル。母親の本音が炸裂です!

コラムニスト

犬山紙子

1981年生まれ。『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。人間観察の名手として注目を浴びる。ユーモアあふれる表現で女子の生態をつづった著書多数。2017年1月に出産、一児の母に。オフィシャルLINEブログやインスタグラム@inuyamakamikoでも日常を発信中。

Domani2018年12月号『新・Domaniジャーナル 「ピッカピカの!ワーキングマザー一年生」』より

本誌撮影時スタッフ: 撮影/五十嵐美弥 構成/佐藤久美子

 

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