「目の当たり」とは?
「目の当たり」は何と読むかわかりますか? この表現では、「目」は「め」と読みません。「目の当たり」の読み方から、意味を解説していきます。
読み⽅と意味
「目の当たり」は、「めのあたり」と読みそうになりますよね。しかし、「まのあたり」が正しい読み方です。意味には、「ある事態を目の前にしているさま」「眼前」などがあります。現在では、「目の当たりにする」「目の当たりに見る」という表現で、「ある物事を目の前で見る」という意味で使われることが多いです。人から聞いた話などではなく、実際に自分の目で見る場合に使うのがポイントといえるでしょう。
「目」を「ま」と読むその他の言葉
「まのあたり」と読む「目の当たり」。そもそもなぜ「目」を「ま」と読むのか疑問に思いますよね。実は、『万葉集』や『枕草子』などにも記載がある通り、昔から「目」を「ま」と読んでいたのだそうです。ここでは、「目」を「ま」と読む現代語と古語を紹介します。
現代語
現代語で、「目」を「ま」と読む言葉は下記の通りです。「目の当たり」と同じように、他の言葉と一緒に使われる場合に、「ま」と読むことがあるようですね。
・目蓋(まぶた):眼球を覆っている皮膚のこと。
・目差し(まなざし):目の表情や目つきのこと。
・目映い(まばゆい):まぶしくて、まともに見られないこと。
・目深(まぶか):目が隠れるほど、帽子を深くかぶること。
古語
続いて、古語において「目」を「ま」と読む言葉を見ていきましょう。現代ではあまり見られませんが、『万葉集』や『枕草子』、『源氏物語』など昔の書物で見ることができる表現です。
・目見(まみ):目つき、まなざしのこと。
・目引き(まびき):目くばせのこと。
・目陰(まかげ):遠方にあるものなどを見ようとして、目の上に手をかざし光を遮ること。もしくは、疑いのまなざしのこと。
使い⽅を例⽂でチェック
「目の前で物事を見る」という意味の「目の当たり」。「目の当たり」を文章で用いる場合には、「目の当たりにする」という動詞表現で使うことが多いです。短文のものも紹介するので参考にしてみてください。
「絶景を目の当たりにして、その場に立ちすくんだ」
「ある物事を目の前で見ること」という意味の「目の当たり」。この例文のように、実際に自分の目で何かを見ているようすをあらわすときに使えます。なお、現在よく聞く表現は「目の当たりにする」ですが、「目の当たりに見る」という言い回しでも使えますよ。
「部長が怒鳴っているのを目の当たりにした新入社員は、驚いて萎縮していた」
「目の当たりにする」は、この例文のように、良くない場面に出くわした際にも使うことができます。さまざまな人が集まる職場には、怖い上司もいるでしょう。なかでも、声を荒げ大声で怒鳴る上司は、周囲の人を萎縮させてしまうもの。そうしたシーンを表現した一文です。