【目次】
・「のほど(程)」とは?正しい意味と使い方
・「のほど」3つの使用例
・「のほど」を使い確認を依頼「ご確認のほど」
・「ご確認のほど」の言い換え表現4つ
・「~のほどお願いします」の英語表現
・「のほど」を正しく使い気持ちをていねいに伝えよう
【目次】
「のほど(程)」とは?正しい意味と使い方
「のほど」の「ほど(程)」を辞書で調べると、以下の5つの意味が記載されています。

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1.物事・動作・状態の程度や段階
2.許される範囲内の程度。ちょうどよい程度
3.ある広がりをもった時間
4.(「…のほど」の形で)断定を避け、表現をやわらげるのに用いる
5.ある広がりを持った空間
※出典:goo辞書「程」より抜粋
ビジネスメールなどでよく見かける「のほど」は、4番目の「断定を避け、表現をやわらげる」用途にあたります。「〜のほど、お願いします」「〜のほど、よろしくお願い申し上げます」のように、依頼形で使うのが一般的で「確認してください」よりもやわらかな言い方です。
■「のほど」は目上の人に使える敬語
「のほど」は目上の人にこそ使用したい敬語です。「確認してください」と言うと、命令形で伝わってしまう可能性があります。「のほど」をつけて、「ご確認のほど、よろしくお願いします」と伝えると、やわらかく、よりていねいに相手に伝わるため、目上の人への使用にも適切です。
しかし、「のほど」の多用のし過ぎは、表現が単調になってしまうので注意しましょう。
■「のほど」「の程」漢字とひらがなどちらを使う?
「のほど(程)」の表記は、漢字を使ってもひらがなを使っても、間違いではありません。「のほど」とひらがなで表記した方が、やわらかな印象です。一方で、「の程」と漢字で表記する場合はきちんとした印象になるため、かしこまった文章に適しています。
また、かしこまった文章では、全体的に漢字が多くなる傾向にあります。読みやすい文章にするためには、全体のバランスを見ながら「のほど」を使用することも大切です。ひらがなと漢字の表記は、シーンや文章全体の流れに合わせて使い分けると、より印象が良くなるでしょう。
「のほど」3つの使用例
「のほど」の3つの使用例をご紹介します。どれも終わりに「お願いします」「お願い申し上げます」などの文言をつけて使用されており、ビジネスシーンや街中などでもよく見かける表現です。

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正しい意味を知っておけば、必要なシーンで便利に使用できます。使用頻度が高いので、ぜひ使い方をマスターしておきましょう。
1.「ご確認のほど」
書類やメールで添付した資料など、相手に確認して欲しいものがあるときに使用します。確認をうながすていねいな言い回しで、「のほど」の代表的な使用例と言えるでしょう。
メールや送付状などの文末に「ご確認のほど、よろしくお願いします」などと、結びの文言として使用する場合が多い言葉です。使い方や言い換え表現などは、後ほど詳しくご紹介します。
2.「ご理解のほど」
「消費税の値上げに伴い、◯◯の価格も値上げすることといたしました。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。」というように、こちらの事情への理解を求める場合に使用します。
お店の貼り紙に使用されているのを、見かけたことがあるのではないでしょうか。「ご理解ください」のような命令形ではなく、ていねいに理解を求めている依頼形の表現です。
3.「ご指導ご鞭撻のほど」
「ご指導ご鞭撻」は、「ごしどうごべんたつ」と読みます。新入社員が、職場の諸先輩方への挨拶メールの文末に付け加えたり、結婚式にて新郎新婦の挨拶に使われたりと、新たな門出の始まりに使われる場合が多い表現です。
「指導」は教え導くこと、「鞭撻」は努力するように励ますことで、それぞれの頭に「ご」をつけてていねいな言い回しにしています。「未熟な私を教え導いてください」という謙遜を含んだ言葉で、目上の人への挨拶に適した言葉です。
「のほど」を使い確認を依頼「ご確認のほど」
「のほど」の代表的な使用例に「ご確認のほど」があります。相手に確認をお願いする表現で、「ご確認のほど、お願いします」「ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます」などと、メールの文末に締めの言葉として用います。

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よく使われる表現のため、正しい使用方法や言われたときの返信、言い換え表現など、しっかり覚えておくと良いでしょう。
■「ご確認ください」は目上の人には失礼
「のほど」を使用せずに「ご確認ください」という言い方は、命令形です。そのため、目上の人に対して使用するのは失礼にあたります。
「ご確認」に「のほど」をつけた「ご確認のほど」は、あくまでも「確認をお願いする」という意味合いにして命令形の表現を避けています。やわらかな言葉になり、相手にていねいな印象を与えることができます。
■「ご確認のほどお願いします」への正しい返信
「ご確認のほどお願いします」と書かれたメールがきた場合、「わかりました」と返信するのは、目上の人には失礼にあたります。「わかりました」と丁寧語で済ますのではなく、しっかりと謙譲語を使用しましょう。
「わかりました」の謙譲語は「承知いたしました」「かしこまりました」です。どちらを使用しても失礼にはあたらないため、使いやすい言葉で返信しましょう。
「ご確認のほど」の言い換え表現4つ
「ご確認のほど」には、ほぼ同じ意味のほかの言い回しがあります。どの表現もビジネスメールではよく使用される言葉なので、覚えておくと良いかもしれません。

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ここでは4つの言い回しをご紹介しますが、それぞれニュアンスが異なるため、使用時には注意が必要です。この機会にぜひ覚えて、ビジネスメールなどに活用してみましょう。
1.「ご参照のほど」
「参照」は「さんしょう」と読み、「照らし合わせて参考にする」という意味を持つ言葉です。「ご参照のほど」とは、「お渡しした資料を参考にして確認して欲しい」とていねいにお願いする際に使用します。
メールに添付したファイルや書類など、すでに相手に渡した状態を指すため、参考資料がない場合には使えません。
2.「ご一読のほど」
「一読」とは「いちどく」と読み、「一度読むこと」「ひととおり読むこと」を意味します。「ご一読のほど」とは、資料やメールなどの文面を読んで、確認して欲しいときに使用する言葉です。
言葉の意味では「ざっと読んで欲しい」となりますが、ビジネスシーンで使われるときには「しっかり読んで、ちゃんと理解して欲しい」というニュアンスを含んでいます。
「しっかり読んで確認してください」と伝えるよりもやさしく、ていねいな印象を相手に与えるでしょう。
3.「ご査収のほど」
「査収」とは「さしゅう」と読み、「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること」を意味する言葉です。「ご査収のほど」とは、「書類などをよく確認して受け取ってください」という意味を持ちます。主に、請求書などの重要な書類や、納品物に対して使用する言葉です。
相手がよく確認する必要がないようなチラシなどには、不適切な表現となるため注意しましょう。
4.「お取り計らいのほど」
「取り計らう」とは「とりはからう」と読み、「物事がうまく運ぶように考えて処理をする」という意味を持つ言葉です。「お取り計らい」とは、物事が上手くいくようにしてくれた行動を、ていねいに表現した言葉です。ビジネスでは、気遣いや配慮といったニュアンスを含みます。
「お取り計らいのほど」という表現には、「物事が上手くいくように進めていただきますよう」という意味合いが含まれています。そのため、文頭に「恐れ入りますが」というような、相手を思いやる文言を入れるとよりていねいです。
「~のほどお願いします」の英語表現
英語で「〜のほどお願いします」と伝えたいときには、「could」や「would」を使います。また、英語の貼り紙などには、よく「Thank you for〜」「Thanks for〜」と書かれています。直訳すると「〜してくれてありがとう」という意味ですが、何かをお願いする場合によく使われる表現です。

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しかし、この表現では相手に「No」と答える余地を与えません。このため、「〜のほどお願いします」と伝えたい場合には「could」や「would」を使うのが適切な表現でしょう。
■ビジネスの依頼は「could」「would」を使う
「お願いします」の表現には「please」がありますが、「Please+動詞」と表現するのはビジネスにおいて少々不躾です。ぶっきらぼうに聞こえてしまう可能性もあります。
このため、「could」や「would」を使い、「Could(Would) you please+動詞」と表現した方がよりていねいで、「〜のほどお願いします」のニュアンスに近くなります。
■確認のお願いには「check」「confirm」
「ご確認のほど、お願いします」を英語で表現したい場合、動詞には「check」や「confirm」を使用します。「check」は確認のため調べる、「confirm」も確かめるという意味の動詞で、「確認してください」という場合には「Please confirm.」のように使用します。
また、「ご確認ください」という場合には「Please kindly confirm it.」、よりていねいに「ご確認のほどお願いします」の表現に近づけたい場合には、「Could you please confirm it?」を使うと良いでしょう。
「のほど」を正しく使い気持ちをていねいに伝えよう
今回は、ビジネスメールでよく使用される「のほど」について詳しくご紹介しました。「のほど」は断定を避け、表現をやわらげる役割があり「ご確認のほど」「ご理解のほど」「ご指導ご鞭撻のほど」など、相手に動作をうながす場合に使用します。
文頭には「恐れ入りますが」のような、相手を気遣う文言を入れて用いる表現です。ビジネスシーンでは「のほど」を正しく使い、気持ちをていねいに伝えましょう。
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