「ご確認ください」は目上の人には失礼
「のほど」を使用せずに「ご確認ください」という言い方は、命令形です。そのため、目上の人に対して使用するのは失礼にあたる可能性があります。
「ご確認」に「のほど」をつけた「ご確認のほど」は、あくまでも「確認をお願いする」という意味合いにして命令形の表現を避けています。やわらかな言葉になり、相手にていねいな印象を与えることができます。
「ご確認のほどお願いします」への正しい返信
「ご確認のほどお願いします」と書かれたメールがきた場合、「わかりました」と返信するのは、目上の人には失礼にあたります。「わかりました」と丁寧語で済ますのではなく、しっかりと謙譲語を使用しましょう。
「わかりました」の謙譲語は「承知いたしました」「かしこまりました」です。どちらを使用しても失礼にはあたらないため、使いやすい言葉で返信しましょう。
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「ご確認のほど」の言い換え表現4つ
「ご確認のほど」には、ほぼ同じ意味のほかの言い回しがあります。どの表現もビジネスメールではよく使用される言葉なので、覚えておくと良いかもしれません。
ここでは4つの言い回しをご紹介しますが、それぞれニュアンスが異なるため、使用時には注意が必要です。この機会にぜひ覚えて、ビジネスメールなどに活用してみましょう。
「ご参照のほど」
「参照」は「さんしょう」と読み、「照らし合わせて参考にする」という意味を持つ言葉です。「ご参照のほど」とは、「お渡しした資料を参考にして確認して欲しい」とていねいにお願いする際に使用します。
メールに添付したファイルや書類など、参考資料がない場合には使えません。
「ご一読のほど」
「一読」とは「いちどく」と読み、「一度読むこと」「ひととおり読むこと」を意味します。「ご一読のほど」とは、資料やメールなどの文面を読んで、確認して欲しいときに使用する言葉です。
言葉の意味では「ざっと読んで欲しい」となりますが、ビジネスシーンで使われるときには「しっかり読んで、ちゃんと理解して欲しい」というニュアンスを含んでいます。
「しっかり読んで確認してください」と伝えるよりもやさしく、ていねいな印象を相手に与えるでしょう。
「ご査収のほど」
「査収」とは「さしゅう」と読み、「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること」を意味する言葉です。「ご査収のほど」とは、「書類などをよく確認して受け取ってください」という意味を持ちます。主に、請求書などの重要な書類や、納品物に対して使用する言葉です。
相手がよく確認する必要がないようなチラシなどには、不適切な表現となるため注意しましょう。
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「お取り計らいのほど」
「取り計らう」とは「とりはからう」と読み、「物事がうまく運ぶように考えて処理をする」という意味を持つ言葉です。「お取り計らい」とは、物事が上手くいくようにしてくれた行動を、ていねいに表現した言葉です。ビジネスでは、気遣いや配慮といったニュアンスを含みます。
「お取り計らいのほど」という表現には、「物事が上手くいくように進めていただきますよう」という意味合いが含まれています。そのため、文頭に「恐れ入りますが」というような、相手を思いやる文言を入れるとよりていねいです。
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「~のほどお願いします」の英語表現
英語で「〜のほどお願いします」と伝えたいときには、「could」や「would」を使います。
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ビジネスの依頼は「could」「would」を使う
「お願いします」の表現には「please」がありますが、「Please+動詞」と表現するのはビジネスにおいて少々不躾です。ぶっきらぼうに聞こえてしまう可能性もあります。
このため、「could」や「would」を使い、「Could(Would) you please+動詞」と表現した方がよりていねいで、「〜のほどお願いします」のニュアンスに近くなります。
確認のお願いには「check」「confirm」
「ご確認のほど、お願いします」を英語で表現したい場合、動詞には「check」や「confirm」を使用します。「check」は確認のため調べる、「confirm」も確かめるという意味の動詞で、「確認してください」という場合には「Please confirm.」のように使用します。
また、「ご確認ください」という場合には「Please kindly confirm it.」、よりていねいに「ご確認のほどお願いします」の表現に近づけたい場合には、「Could you please confirm it?」を使うと良いでしょう。
「〜のほど」を正しく使い気持ちをていねいに伝えよう
今回は、ビジネスメールでよく使用される「のほど」について詳しくご紹介しました。「のほど」は断定を避け、表現をやわらげる役割があり「ご確認のほど」「ご理解のほど」「ご指導ご鞭撻のほど」など、相手に動作をうながす場合に使用します。
文頭には「恐れ入りますが」のような、相手を気遣う文言を入れて用いる表現です。ビジネスシーンでは「のほど」を正しく使い、気持ちをていねいに伝えましょう。