「すごいと思う」はどのように使う?
私たちが普段何気なく使っている「すごい」とは、厳密にはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。すごいの意味や語源、使用時の注意点について解説します。

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「すごいと思う」の意味
「すごいと思う」のすごいとは、「物事の程度が並外れている、形容しきれないほどよい」という意味の言葉です。以下に挙げるように、さまざまな意味を持っています。
- 素晴らしい、尊敬する
- 大きさ・範囲・力などが通常の程度を超えている
- 迫力や完成度が優れている
- 勢いが強い
似た言葉の「ひどい」がマイナスな意味になりやすい一方、すごいはプラス評価とマイナス評価の両方で使うことが可能といえます。
すご・い【▽凄い】
[形][文]すご・し[ク]
1 ぞっとするほど恐ろしい。非常に気味が悪い。「—・い目でにらむ」
2 びっくりするほど程度がはなはだしい。並外れている。大層な。「—・い人気」「—・いプレー」「—・い秀才」「—・い散らかりよう」
引用:小学館 デジタル大辞泉
「すごいと思う」を使う際の注意点
すごいは口語的な言葉であるため、多用すると稚拙な印象を与える可能性も。文章でも使いにくい言葉といえます。
すごいは俗語的な言葉でもあり、目上の人に対しては使用を避けた方がよいでしょう。言い換え表現と敬語表現を組み合わせれば、失礼な印象を与えることも避けられるはずです。
また、安易にすごいを使うと、嫌味や皮肉と受け取られる恐れも。何に対してどのように心を動かされたのかをきちんと伝えれば、誤解を招きにくいでしょう。
【日常生活編】「すごいと思う」の言い換え
「すごいと思う」はカジュアルな表現として使いやすい反面、相手や状況によっては不適切な場合もあるかもしれません。日常生活の中で使える「すごいと思う」の言い換え表現と例文を見ていきましょう。

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見事だ
「見事だ」は、おもに「完全である、巧みだ」という意味の言葉です。特に、手際のよさやスキルの高さに感銘を受けたときによく使われます。「見事に外れる」など、ネガティブな表現でも使うことが可能です。
「見事だ」を使った例文
- 飲食店で食べた味を自宅の料理でほぼ完全に再現できる母の才能は見事だ
- 先日、子供の発表会を学校へ見に行った。練習の成果が遺憾なく発揮された彼らの演技は見事だった
素晴らしい
「素晴らしい」という言葉には、「非常によい、感動的だ」という意味があります。ネガティブなニュアンスはなく、プラスの評価や称賛をストレートに伝えられる言葉です。
ただし、安易に多用すると表現の重みが薄れてしまう可能性があります。実際に感動したり優れた評価を感じたりしたときのみ使うとよいでしょう。
「素晴らしい」を使った例文
- 定期的に彼女のコンサートに足を運んでいるが、いつ聴いても彼女の歌声は素晴らしい
- 前から気になっていた映画をやっと観に行けた。高い評価に違わず素晴らしかった
素敵だ
「素敵だ」は、「印象がよい、心が惹かれる、魅力的だ」といった意味を持つ言葉です。一般的には、感覚的によいと感じた対象によく使われます。
「すばらしい」の「す」に、接尾語「てき」のついた言葉であり、「素敵」や「素的」は当て字とされています。
「素敵だ」を使った例文
- 私がその服を着ても似合わないが、あなたが着ると本当に素敵です
- 全国的な知名度を誇る紅葉の名所に行ってきた。圧巻の光景は写真で見るより素敵だった
流石だ
「流石だ」という表現は、評判通り・期待通りの事実に対してあらためて感心するときに使います。
代表的な類語には、「なるほど」や「噂に違わず」などが挙げられます。一方、「流石に飽きた」「流石に腹が立つ」など、相反する感情を抱く際にもよく使われます。
「流石だ」を使った例文
- 彼が高校3年間の成績において一度もクラスのトップを譲らなかったのは流石だ
- あんな複雑な機械を何も見ずに操作できるなんて流石ですね
脱帽する
「脱帽する」は、相手の行為や能力を称賛する際に使う言葉です。「参った、とても敵わない」というニュアンスを含んでいます。
帽子を脱ぐ行為は西洋におけるマナーの1つであり、相手に敬意を表する際に帽子を脱ぎます。また、日本でも負けを認めるときに「兜を脱ぐ」という表現があることから、脱帽という言葉が使われるようになったようです。
「脱帽する」を使った例文
- 誰に対しても義理堅いあなたの律義さには脱帽します
- 絶対に不合格だと思っていた試験に彼は合格した。彼のひたむきな努力には脱帽するしかない
【ビジネス編】「すごいと思う」の言い換え
ビジネスシーンで「すごいと思う」を別の表現にする際は、より丁寧な言葉を用いましょう。ビジネスで使える「すごいと思う」の言い換えをまとめました。

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感服する・敬服する
「感服する」と「敬服する」は、どちらも相手に感心し、尊敬や尊重の念を抱くことを意味する言葉です。感服は目下の人の技などに対しても使われますが、敬服は、うやまう気持ちを伴い、同等以上の人に用いる傾向にあります。
上司・年配者・取引先などに対し、かしこまったシーンで用いられることが特徴といえます。多用すると大げさに聞こえてしまう恐れがあるため、本当に感心したときのみ使うとよいでしょう。
「感服する」と「敬服する」を使った例文
- 本日のプレゼンにおける分かりやすい構成と説得力のある分析に感服いたしました
- 利益にこだわらない貴社の取り組みは本当に素晴らしく、敬服いたします
恐れ入る
「恐れ入る」は次に挙げるシーンでよく使われます。
- 頼み事をする場合
- 質問する場合
- 感謝を伝える場合
- 負けを認める場合
- 驚きを伝える場合
「すごいと思う」の言い換えに該当するのは、驚きを伝える場合の恐れ入るです。使い方を例文で確認しましょう。
「恐れ入る」を使った例文
- 部長のご指摘は今まで全く気づかなかったことであり、恐れ入りました
- いつも私を助けてくれる先輩のアドバイスには、いつも恐れ入ります
卓越している
「卓越」とは、「他より優れている、抜きん出ている」という意味の言葉です。スキルなどが他の人よりはるかに高く優秀に感じるときに使います。
卓越と似た言葉に「超越」があります。超越は、通常想定される程度をはるかに超えていることです。比較の対象が明確でない場合でも使用できます。
「卓越」と「超越」を使った例文
- 彼のプログラミングスキルはこのチームの中では卓越している
- AIの技術は人間の能力を超越している
得も言われぬ
「得も言われぬ」は、言葉では表現できないほどの程度であることを表す言葉です。「美しい、深い、感動する」など、ポジティブな感覚を伝えたいときに使われる傾向にあります。
「得も言われぬ」を使った例文
- 先日の商談は話だけでもと思っていたのですが、先方に全て購入していただき、得も言われぬ好結果でした
- イベント会場に得も言われぬ美しさの絵画を飾っていただき、ありがとうございました
「すごいと思う」を別の表現に言い換えてみよう
「すごいと思う」はさまざまな用途で使える便利な表現ですが、多用すると稚拙な印象を与えてしまう場合も。また、俗語的な言葉でもあり、ビジネスシーンやフォーマルシーンでは使わない方が無難かもしれません。
すごいという言葉自体にいろいろなニュアンスがあるため、本記事で紹介した例文もチェックし、相手や状況に合わせて言い換え表現を使い分けましょう。
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