「そうなんですね」は敬語として使える?
会話の中で「そうなんですね」を多用してしまう人は、自分の口癖が原因で相手に不快な思いをさせてはいないか、一度振り返ってみるといいかもしれません。
今回は「そうなんですね」が使われる場面や「そうなんですね」は敬語として機能するのかを解説します。「そうなんですね」に関する理解を深めましょう。

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会話の相づちとして使われる言葉
「そうなんですね」は、スムーズに会話を進める上で欠かせない相づちの1つといえるでしょう。
「そうなんですね」という相づちが使われる場面として挙げられるのが、相手が話している内容に理解を示すときです。「私はあなたの話をしっかり理解しています」という事実を表現する言葉として使われる傾向にあります。
また、相手の話に対して驚きを示すときにも「そうなんですね」は使われます。やや高いトーンの声で「そうなんですね!」と言えば、初めて耳にしたことを聞いたときのびっくりした感情を表現できるでしょう。
「そうなんですね」の使用シーンとしては、「私はあなたの話を聞いていますよ」という姿勢をアピールするときも挙げられます。この場合、話題を転換するときや自分の話に入る前の「クッション」として使われるのが一般的です。
使用場面によっては失礼に受け取られることも
「です」という丁寧語が使われている「そうなんですね」は、敬語として機能する表現といえます。
しかし、それと同時に「ね」というフランクな表現で言葉を締めくくっているため、「そうなんですね」は敬語表現の中ではやや砕けた印象を与える相づちとも。そのため「そうなんですね」は、使う相手や場面によっては不躾な印象を与えてしまう可能性もあるといえるでしょう。
取引先の相手と会話するときや上司とビジネス上のやり取りするときなど、最上級の敬語が求められる場面では、よりかしこまった表現を使うのがベターと考えられます。
「そうなんですね」の言い換え表現
シチュエーションによっては失礼になりかねない「そうなんですね」は、言い換えが可能な表現です。さまざまなシーンで使われる「そうなんですね」の意味合いごとに存在する言い換え表現を知り、TPOに合わせて使いこなせるようになりましょう。「そうなんですね」の言い換え表現を3つ紹介します。

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左様でございますか
「そうなんですね」が持つ「あなたの話を理解した」という意味合いをより丁寧に表現したのが、「左様でございますか」という言い回しです。
「左様」は、「そのよう」「そのとおり」という意味を持つ形容動詞です。これに「ございますか」を付けることで、より丁寧な印象を演出できます。
「左様でございますか」を使った会話例には以下のようなものがあります。想定しているシチュエーションは、通販のコールセンターでのやり取りです。
・お客「おたくで買った商品を返品したいんだけど」
・コールセンター職員「左様でございますか。もしよろしければ返品理由をお聞かせ願えますでしょうか? 」
・お客「本来入っているはずの付属品が足りないからです」
・コールセンター職員「ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。それでは返品のお手続きをご説明いたします」
初めて伺いました
相手の話に驚いている際に使用する「そうなんですね」の言い換え表現として挙げられるのが、「初めて伺いました」です。
「伺う」は「聞く」の謙譲語に当たる敬語表現です。「初めて」を付け加えることで、「初めて聞きました」という驚きの感情を表現できます。
「初めて伺いました」を使った会話例を1つ紹介します。想定しているのは会社の飲み会のシーンです。
・部長「私が君ぐらいの年齢のときは海外に赴任していたんだ」
・部下「初めて伺いました! どちらに赴任していらしたのですか?」
・部長「ロサンゼルスだよ。おかげで英語はペラペラさ」
・部下「すごいですね! 部長は私たちみんなの憧れです」
おっしゃる通りです
相手の意見に対する同意を表現する言い換え表現が「おっしゃる通りです」です。
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語として使われます。「おっしゃる通りです」は、言い換えれば「あなたの言う通りです」という意味合いを表し、「私もそう思います」という共感を表現することができるでしょう。
「おっしゃる通りです」を使った会話例は以下の通りです。プレゼンについて上司と話し合っている場面を想定しています。
・上司「あさってのプレゼンで使う資料、ここが分かりにくいと感じるのですが、どう思いますか? 」
・部下「(資料にしっかり目を通してから)おっしゃる通りです。至急修正いたします」
・上司「プレゼンに間に合えば問題ないので、そこまで急がなくても構いません」
・部下「かしこまりました。ご配慮ありがとうございます」
会話が盛り上がる相づちのポイント
「そうなんですね」の使い方や言い換え表現を頭に入れた後は、それらの相づち表現を使って会話を盛り上げるコツを学んでいきましょう。相づちを使うときのポイントを解説します。コツをしっかりインプットして、相づち上手を目指しましょう。

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バリエーションを意識する
会話の中で相づちを使うときは、さまざまな言葉で表現することが大切です。何度も同じ相づちが続くと、「真剣に話を聞いてもらえていない」「話を早く終わらせようとしている」「自分に興味がない」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性も。
会話の中で使っていきたい相づちの一例は、以下の通りです。
- 知らなかったです
- すごいですね
- 同感です
- さすがですね
これらの相づちと「そうなんですね」を組み合わせることで、「私はあなたの話を真剣に聞いていますよ」という姿勢をアピールできるでしょう。
異なる声のトーンを使い分ける
会話をスムーズに進めるために相づちを活用するときは、声のトーンにも気を配りましょう。同じ相づちであっても相手に異なる印象を与えられます。
同じ「そうなんですね」という相づちであっても、高めのトーンで元気よく言えば、相手の話に驚いている気持ちが表現できます。反対に「そうなんですね」を低めのトーンで返すと、相手の話に心の底から納得している様子も表現することができるでしょう。
相づちを打つときは、「どのような言葉を選択するか」と同じくらい「その言葉をどのように言うか」が重要といえます。
関係性に合わせて相づちを変える
会話の相手に合わせて使用する相づちを変えることも大切です。相手との関係性を無視して、場面をわきまえずに相づちを使ってしまうと、相手との関係性が崩れてしまう可能性も否定できません。
たとえば、相手の意見に共感したときに使う「なるほど」という相づちは、上から目線のニュアンスが感じられるとされる言葉です。ビジネスシーンで用いるのには適さないといえるため、代わりに「おっしゃる通りです」「勉強になります」などの表現を使うとよいでしょう。
また、相手が投げかけてくれた言葉に対する謙遜を表現する「本当ですか」という相づちは、相手の話を疑っていると捉えられかねません。誤解されては困るビジネスシーンでは、「驚きました」「ありがとうございます」などに言い換えるのが理想的です。
「そうなんですね」を適切に使おう
「そうなんですね」は、会話相手に対する理解や共感を表現したいときに役立つ相づちです。敬語表現ではあるものの、ややカジュアルな印象を持たれる言い回しであることから、最上級の敬語が求められる場面では、使用を控えるのが賢明といえるかもしれません。代わりに「左様でございますか」や「おっしゃる通りです」などを使って、相手への最大級の敬意を表現するとよいでしょう。
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