【目次】
・「善処」の意味や読み方とは?
・使い方を例文でチェック
・類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・英語表現とは?
・最後に
「善処」の意味や読み方とは?
「『善処』の正しい意味はご存知ですか? 」と聞かれると、たちまち不安になりますよね。まずは読み方と意味からチェックしていきましょう。

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<読み方と意味>
「善処」は「ぜんしょ」と読みます。意味は、「適切に処置すること」(小学館『デジタル大辞泉』より)。
さらに、各字に分解して、それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
「善」の意味は、「物事にうまく対処する」「行いや性質などが好ましい」。「処」は、「とりはからう」「物事がうまく運ぶように対処する」という意味です。つまり、「善処します」とは「状況に合わせて、適切に対処します」という表現として使われます。
ポジティブな印象を持たれるかもしれませんが、「できるかぎり対応します」「前向きに検討します」という曖昧なニュアンスを含む表現でもあります。
<ビジネス等で使う時の注意点>
返事として曖昧
「善処します」は依頼などの返事として使うことができる言葉ですが、上記でも述べたように「できる限り対応します」というような、明言を避けた表現です。そのことから、相手に「曖昧な返答」と受け取られる可能性があります。確実に対応する依頼の返事に「善処します」を使うのは相応しくありません。その場合は、「承知いたしました」「~に対応いたします」とした方が良いでしょう。
目上の方への使い方
「善処」自体は敬語表現ではありません。「善処」+「します(丁寧語)」とすることで目上の方にも使える敬語表現なり、さらに丁寧な表現は「善処いたします」。また、目上の方や取引先の相手に「善処」をお願いする場合は、「ご善処」という表現が好ましいでしょう。「ご善処のほど、よろしくお願い申し上げます」とすると丁寧に伝えることができますよ。
「適切に善処します」は二重表現
二重表現とは、同じ意味の言葉を重ねて使う誤った表現のことです。誤った例を挙げると、「腹痛が痛い」。「痛い」という意味合いが重なっていますよね。「適切に善処します」は、「適切に」が「善処」の意味合いと重なり、二重表現になります。
使い方を例文でチェック
「善処します」を使うシーンは主に依頼への返答や、こちらから適切な対応をお願いする際に使われることが一般的です。以下、例文で使い方をご紹介していきます。

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1:「その件につきましては、善処します」
依頼を受けて、「その件は、できる限り対応いたします」という意味。「Yes・No」などの断定的な表現を避け、「一旦保留」というニュアンスを含んだ表現。すぐに返事ができないことに対して使う言い回しです。尚、「善処します」と返事した場合は、曖昧な返事のままにしておかずに、後日きっちりとした返事が必要です。
2:「善処いたしますが、ご期待に添えない場合はご容赦ください」
こちらのフレーズは、「できるかぎりの対応はしますが、期待に添えない場合はお許しください」という意味。依頼に対して、「できないかもしれません」という旨を事前に断っておく表現です。「ご容赦ください」とあらかじめ謝罪の言葉を添えることで、相手に低姿勢な印象で伝えることができますね。
3:「起きた問題に、各自善処してください」
「起きた問題について、各自適切に対応してください」という意味。「善処してください」とすることで、適切な対処を求める表現になります。「~してください」と断定的な言い回しをしているので、同等の立場の人や部下に対して使う表現。目上の方へは「起きた問題につきまして、ご善処のほどよろしくお願いいたします」と丁寧な言い回しをしましょう。
類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
つぎに、類語・言い換え表現にはどのような言葉があるのかを見ていきましょう。
1:対応
対応は、「周囲の状況に合わせて事をすること」「ある事態を状況に応じて、適切に判断し処理すること」。「善処」とは違い、「対応」には曖昧なニュアンスはありません。物事の改善や進展のために行動することを意味します。
(例)早急にご対応いただきますよう、お願い申し上げます。
2:対処
対処は、「ある事柄・状況に合わせて適当な処置をとること」。曖昧なニュアンスを含まず、必ず行動が伴う表現。より状況に適した処置をする時に使われます。
(例)この問題につきまして、早急に対処いたします。
3:お取り計らい
「取り計らう」の敬語表現で、「物事がうまく運ぶように考えて処理をする」という意味。お礼やお願いに使うのが一般的です。
(例)会議の開催について、お取り計らいいただき誠にありがとうございました。
(例)お忙しい中、恐れ入りますが、お取り計らいの程よろしくお願い申し上げます。
英語表現とは?
「善処します」を英語で表現したい場合、「~を処理する」という意味の「deal with~」、「~を対処する」という意味の「cope with」を使って表現することができます。

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・We will cope with that. (その件につきましては、善処いたします)
・Could you please deal with that quickly? (その件について、早急に善処しいただけますか? )
または、「I will do my best.(できるだけ善処します)」とするのも手です。しかし日本では、「No」という返事を濁したい時にも「善処します」を使いますよね。それは、海外の方にはわかりくい表現かもしれません。トラブルを避けるためにも確実にできない依頼には、はっきりと出来ないことを伝えましょう。
最後に
「善処します」は、「No」とハッキリ言いにくい時や、明言を避けたい時にとても便利な表現ですよね。反対に「善処します」と言われた時は、期待した返事がもらえないかもしれないと思っておく方が良いでしょう。曖昧さを内包する感じが、とても日本らしい表現ですね。「善処します」という言葉のご紹介でした。
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