挨拶文を書く際の5つのポイント
時候の挨拶とは手紙などの頭語に続く、本文の書き出しに使う言葉のことです。これを使えば、一文目から季節を感じられる綺麗な文章になるでしょう。ここでは挨拶文を書く際の5つポイントを解説します。
時候の挨拶は頭語の後に記載
本文の書き出しとなる時候の挨拶は、頭語の直後に記載します。頭語とは手紙の冒頭に記載する「拝啓」「謹啓」「前略」などのことです。頭語に続けて、時候の挨拶を記載することで、季節の移り変わりを表現します。7月に使える時候の挨拶は後述します。
頭語は文章を締める結語をセットで使う
頭語は文章を締めくくる「結語」をセットで使うのが基本です。頭語と結語の組み合わせは決まっており、別々には使用しません。
◼︎正しい組み合わせの例は次の通り
・前略と草々
・拝啓と敬具
・謹啓と謹言
・急啓と草々
なお頭語や結語を用いた手紙はどこか堅苦しい印象を与えがちです。親しい関係の方への手紙の場合には、頭語や結語を記載せず、時候の挨拶から書き始める場合もあります。また、どんな頭語にも使える「かしこ」という結語もありますが、女性的なイメージがありビジネスシーンではあまり使われません。
前略を使う場合は時候の挨拶は不要
頭語に「前略」を使用する手紙では、時候の挨拶は不要です。なぜなら前略に意味は「前文を略す」となり、つまりは時候の挨拶を略する意味であるからです。よって時候の挨拶を記載する場合は「前略」を頭語にしないように注意してください。
お詫びやお見舞いの場合も時候の挨拶は不要
お詫びやお見舞いに対する手紙の場合も時候の挨拶は記載せずすぐに本題から書き始めます。季節の挨拶よりも相手へのお詫びや気遣う気持ちを優先するためです。ただし本文の結びでは、少し季節に触れることで柔らかな印象を与えられるかもしれません。
時候の挨拶には2通りある
時候の挨拶には漢語調と口語調の2通りがあります。漢語調には丁寧な印象を与える「新春の候」「晩夏の候」などがあり、ビジネスやかしこまったシーンで使われます。一方、口語調には柔らかな印象を与える「暑さも殊の外厳しき折」などがあり、私的な手紙に使われるものです。
【書き出し】7月の時候の挨拶例
では実際に7月の時候の挨拶例として「ビジネスシーン」「カジュアルシーン」「かしこまったシーン」の3つの場面ごとに書き出し例を紹介します。それぞれの場面にあわせて、正しく季節感のある書き出しを選び、より美しい文章を目指しましょう。
■ビジネスシーンで使える書き出し例
まずはビジネスシーンで使える漢語調の書き出し例です。ビジネスシーンでは用件を簡潔に伝える必要があり、漢語調が好まれます。
・向暑の候(こうしょ)の候:蒸し暑さが増し、夏らしさを感じる時期になりましたという意味
・長雨(ながあめ)の候:(梅雨明け前に)梅雨が続いていますがという意味
・七夕(たなばた)の候:ちょうど七夕祭りの季節ですねという意味(7月1日〜7月7日まで)
・星祭の候(ほしまつり)の候:七夕の時期になりましたねという意味(7月1日〜7日まで)
・小夏(こなつ)の候=夏の盛りをむかえる前の暑い時期となってきたという意味
・小暑(しょうしょ)の候:暑さが少しづつ強まってきたという意味
・盛夏(せいか)の候:夏の本番となり、もっとも暑い時期という意味
・驟雨(しゅうう)の候:夏の午後に急に降る夕立という意味
・炎暑(えんしょ)の候:燃えるほどの厳しい暑さという意味
・酷暑(こくしょ)の候:酷くうだるような暑さという意味
・甚暑(じんしょ)の候=甚だしく暑い時期という意味
またビジネスシーンで口語調を用いても問題はありません。柔らかな印象を与えたい相手やお客様には次にような書き出しを参考にしてみてください。
・梅雨明けが待ち遠しい折、皆様いかがお過ごしでしょうか
・梅雨も開け、夏本番を迎えるこの頃、お変わりなくお過ごしと存じます
・晴天が続く盛夏のみぎり、ご健勝で暑さを乗り切られていることと存じます
・暑中お見舞い申し上げます
・日を追うごとに夏らしくなるこの頃、いかがお過ごしでしょうか
向日葵が日毎に背を伸ばすこの頃、いかがお過ごしでしょうか
・いよいよ夏本番を迎え、より一層ご隆盛のこととお慶び申し上げます
・時折の驟雨が涼をもたらす炎暑のみぎり、平素より格別のお引き立てをいただきありがとうございます
・盛夏の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます