「敬具」などの結語は、結びの言葉の後に書きましょう。
敬具とは

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「敬具」は手紙で使用する文言ですが、どのような意味が込められているのでしょうか? まずはそちらを解説していきます。また、敬具以外の似た言葉もあわせて確認しましょう。
敬具の基本的な意味
敬具は手紙の締めくくりに使う「結語」の一種です。「謹んで申し上げる」「謹んで申し上げます」のような意味を持っています。
けい‐ぐ【敬具】
《謹んで申し上げますの意》手紙などの末尾に用いる語。「拝啓」と対応する。敬白。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
結語は手紙の冒頭に使う「頭語」とセットで使われます。頭語と結語どちらにも「謹んで申し上げる」という意味が込められているため、手紙に添えることで、より丁寧な印象を与えるでしょう。
必ず使わなければならないものではありませんが、意味を覚えておくと敬意を表したい相手とのやり取りをする際に役立ちます。
敬具以外の頭語と結語
手紙の締めくくりや冒頭に使う言葉は「敬具」だけではありません。主な頭語・結語と、その組み合わせを紹介します。
【一般的な組み合わせ】
・拝啓-敬具
・拝啓-敬白
【丁寧な言い回しの組み合わせ】
・謹啓-謹白
・謹呈-敬白
【前文省略や急用時の組み合わせ】
・前略-草々
・急啓-草々
【主に女性が使う組み合わせ】
・一筆申し上げます-かしこ
・謹んで申し上げます-かしこ
頭語と結語にはさまざまな種類があり、伝えたい内容によっても適した表現が変わってきます。一般的によく使われるのは、「拝啓・敬具」の組み合わせです。
「敬具」や「拝啓」を含む手紙の基本構成

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頭語と結語が含まれる手紙には、本文以外にもさまざまな構成要素があります。手紙を前半と後半に分けて、基本的な構成を紹介します。
頭語や季節の挨拶から始まる
敬具や拝啓を含む手紙は、「頭語」から始まります。まずは冒頭に「拝啓」と書き、続けて挨拶文を記載します。
挨拶文は季節や状況によって変化するものです。たとえば、4月の初めは「春光の候」、5月の初めは「新緑の候」など。
「〇〇の候」にこだわらず、「紅葉がほんのりと色づき始め、秋の訪れを感じさせます」「花の便りが聞かれる季節になりました」といったように、季節に応じた自由な言い回しも使えます。
末文や後付で終わる
挨拶文の後は用件や本文を書き、結びの言葉を付け加えます。結びの言葉は「くれぐれもご自愛ください」「今後もよろしくお願いいたします」などの最後の挨拶です。

結語は手紙の最後に書く言葉ですが、日付や署名、宛名などを後付として結語の後に付け加えることもあります。
敬具を使用した手紙の例文

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続いて、実際に手紙を書くとき「敬具」をどのように使うのか、例文を紹介します。ビジネス向けの例文や、案内状に使える例文を見てみましょう。
ビジネスで使える例文
ビジネスの場では、さまざまな取引先に手紙を送る機会があります。主な手紙の例文を紹介しましょう。
【例文】
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
早速ではございますが、先日お問い合わせいただいた▲▲の資料を送付いたします。ご質問の■■サービスについても、資料内に記載しております。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
何卒ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
ビジネスの挨拶状では、季節の挨拶に加えてお礼などを述べてから用件を伝えます。締めの言葉の後に、「敬具」と書きましょう。
案内状に使える例文
拝啓・敬具は、案内状にも使用可能な文言です。本文とは別に、「記」という文字を用いて要点などを箇条書きする〝「記」書き〟を使った例文を紹介します。
【例文】
拝啓 秋雨の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
先日よりお伝えしておりました〇〇パーティーの開催日時や会場が決定しましたので、お知らせいたします。ご参加の場合は、お手数ですが同封の参加申込書をご返送いただくか、070-XXXX-XXXX(担当:山田)までご連絡ください。
敬具
記
日時:令和7年〇月〇日 15時〜
場所:(住所)
アクセス:〇〇駅から徒歩5分
以上
「記」書きを使うときは、「記」を中央に配置し、前述のとおり項目を箇条書きで記載します。また、「以上」で締めることも忘れないよう注意が必要です。
敬具を使用するときの注意点

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敬具を含む頭語と結語を使う場合、いくつかの注意点があります。ふさわしい場面で効果的に活用するためにも、しっかり把握しておきましょう。
一般的なビジネスメールには使用しない
拝啓・敬具のような頭語と結語は、基本的に「手紙」で使うものです。ビジネスメールでは用件を明確に伝え、簡潔に終わらせることを重視しましょう。
通常は季節の挨拶なども省略し、「お世話になっております」「ご返信ありがとうございます」のような挨拶が用いられます。
ただし、ビジネスメールであっても移転の報告や新年の挨拶など、頭語・結語を使用してあらたまった書き方をするケースもあります。つまり、メールで頭語と結語を使ってはいけないわけではなく、状況を考えることが大切です。
社内文書や親しい人への手紙では使わない
拝啓・敬具などの頭語と結語には、「謹んで申し上げます」という敬意が込められています。
社内文書や親しい人の手紙に拝啓・敬具を使うと、堅苦しい印象を与えてしまうでしょう。そのため、目上の人とのやり取りや一定の距離感がある人への手紙で使用するのが基本です。
社内文書の場合、用件を簡潔に伝えなければならないケースが多く、拝啓・敬具の使用は適していません。
まとめ
-
敬具は「謹んで申し上げます」という意味を持ち、手紙の締めくくりに使う結語である
-
敬具は、拝啓などの「頭語」とセットで使用する
- 基本的に、ビジネスメールや親しい人宛の手紙には使わない
敬具とは手紙を書く際に使う結語で、相手に敬意を示したいときに役立ちます。プライベートだけでなく、ビジネスの場でも「拝啓」「敬具」などの頭語や結語を使いこなせると、スマートに手紙を作成できるでしょう。ほかの頭語や結語も一緒に覚えておき、シーンに合わせて使い分けることをおすすめします。挨拶状や案内状など、さまざまな手紙に活用できるはずです。
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Domani編集部
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