「ご鞭撻」の読み方や意味
「ご鞭撻」は「ごべんたつ」と読み、主に相手からの指導を受けるという意味で使われます。実際にどのような使われ方をするのか、見ていきましょう。
ご指導ご鞭撻という形で使われる
「ご鞭撻」は「ご指導ご鞭撻」というフレーズで、慣用句のように使われることが多い言葉です。相手からの指導を受けるという意味の「ご鞭撻」に「ご指導」を重ねることで、相手から教えを請けたいという気持ちを強めています。例文をご紹介しましょう。
・ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
・今後もご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
・皆様のご指導ご鞭撻のおかげで無事に達成できました。
「ご指導ご鞭撻」には「自分は未熟者である」という謙遜の意味が込められ、具体的な指導を受けることはあまり考慮していません。どちらかといえば社交辞令のように使われています。
日頃お世話になっている方々に使う
「ご指導ご鞭撻」の言葉は、日頃お世話になっている方が対象です。会社の上司や取引先、両親、親族などへの挨拶や文書の締めくくりなどに使われます。
使われるシーンとしては、新しい職場での自己紹介や結婚式でのスピーチなどで使われることが多いでしょう。自分への指導だけでなく、自分の部下や身内に対する指導というニュアンスでも使います。
ただし、指導を受けるのはあくまで目下の人間であり、親や上司など目上の人間を対象には使いません。 例えば、父親の還暦祝いで出席者に対し、「今後も父のご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします」という使い方をするのは間違いです。
「ご鞭撻」を使うシーンと例文
「ご鞭撻」はビジネスシーンでよく使われますが、プライベートでも使います。それぞれのシーンでどのように使われているのか、ご紹介しましょう。
ビジネスシーン
ビジネスシーンでは、主に次のような場面で「ご鞭撻」が使われます。
1. 新しい職場での自己紹介
2. プロジェクトの打ち上げ
3. 新しい取引先への挨拶
4. 顧客への挨拶
それぞれの例文を見てみましょう。
1. 新しい職場での自己紹介
・「皆さまにはご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
会社に入社したときや新しい部署に配属されたとき、わからないことをいろいろ教えてもらいたいという気持ちを込めて自己紹介の最後に使います。
2. プロジェクトの打ち上げ
・皆様のおかげで最後までやり遂げることができました。後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
プロジェクトの成功に導いてもらった感謝し、今後の仕事でも教えを請いたいという気持ちを表しています。
3. 新しい取引先への挨拶
・引き続き御社との連携を強めてまいりたいと存じます。至らぬ点があるかとも思いますが、ご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
迷惑をかけるかもしれないが、これからも取引先と長く付き合いたいという気持ちを表しています。
4. 顧客への挨拶
・我が社の発展のため社員一同努力をしていく所存ですので、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
・このたびは貴重なご意見をお寄せくださり、ありがとうございます。今後とも弊社への変わらぬご愛顧とご指導ご鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。
顧客にへの感謝を表し、今後も長い付き合いを願う気持ちを表しています。
プライベート
プライベートでは、主に次のような場面で使います。
1. 結婚式で新郎新婦によるスピーチ
2. お世話になった講師へのお礼
3. 役員就任の挨拶
1. 結婚式で新郎新婦によるスピーチ
・まだまだ未熟な2人ですが、今後もご指導ご鞭撻をいただけますようお願いいたします。
結婚式では新郎新婦だけでなく、親族から出席者に対しても、「ご指導ご鞭撻」を使った挨拶が行われます。
2. お世話になった講師へのお礼
・○○について細かくご指南いただきありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
今後も教えを請いたいという気持ちを込めて使います。
3. 役員就任の挨拶
・このような役は初めてですが、皆様のご指導ご鞭撻を受けながら活動していく所存です。
町内会やPTAなど地域活動の役員に就任したときでも、周りの指導を仰ぎたいという気持ちを込めて使います。
ご鞭撻を使うときの注意点
「ご鞭撻」を使う際の気をつけたいポイントについても見ていきましょう。
具体的な意見がほしいときには使わない
「ご鞭撻」は、中長期的に指導をお願いするときに使う言葉ですので、すぐに具体的な意見やアドバイスが欲しい場合には用いません。例えば上司に「書類を作成しましたので、修正点がありましたらご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」と伝えるのは不自然です。「書類を作成しましたので、修正点がありましたらご指摘をお願いいたします」と表現するのが良いでしょう。
自分が指導する場合には使わない
「ご鞭撻」は、自分が受け身の場合に使われる表現のため、自分が指導する時には使用しません。例えば部下に向かって「時には厳しくご指導ご鞭撻することもありますが、頑張ってください」と伝えるのは誤用です。「時には厳しく指導することもありますが、頑張ってください」などと表現しましょう。
お別れのシーンなどでは使わない
「ご鞭撻」は、指導を乞うことを意味するため、今後も関係が続くことを見据えて使われるフレーズです。そのため、部署異動する人や退職する人など、関わりがなくなる人に対して使うと不自然です。同じ理由から、「ご指導ご鞭撻ありがとうございました」と過去形で使うと言葉に矛盾が生じてしまいますので注意しましょう。
「ご鞭撻」の類語表現
「ご鞭撻」には別の類語表現もあります。ニュアンスを変えたいときなど、文脈に合わせて上手に使い分けましょう。主な類語表現をご紹介します。