【目次】
・「ご鞭撻」の読み方や意味
・「ご鞭撻」を使うシーンと例文
・「ご鞭撻」の類語表現
・「ご鞭撻」の英語表現とは
・「ご鞭撻」の正しい意味を理解して適切に使おう
「ご鞭撻」の読み方や意味
「ご鞭撻」は「ごべんたつ」と読み、主に相手からの指導を受けるという意味で使われます。実際にどのような使われ方をするのか、見ていきましょう。
■ご指導ご鞭撻という形で使われる
「ご鞭撻」は「ご指導ご鞭撻」というフレーズで、慣用句のように使われることが多い言葉です。相手からの指導を受けるという意味の「ご鞭撻」に「ご指導」を重ねることで、相手から教えを請けたいという気持ちを強めています。例文をご紹介しましょう。
・ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
・今後もご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
・皆様のご指導ご鞭撻のおかげで無事に達成できました。
「ご指導ご鞭撻」には「自分は未熟者である」という謙遜の意味が込められ、具体的な指導を受けることはあまり考慮していません。どちらかといえば社交辞令のように使われています。
■日頃お世話になっている方々に使う
「ご指導ご鞭撻」の言葉は、日頃お世話になっている方が対象です。会社の上司や取引先、両親、親族などへの挨拶や文書の締めくくりなどに使われます。
使われるシーンとしては、新しい職場での自己紹介や結婚式でのスピーチなどで使われることが多いでしょう。自分への指導だけでなく、自分の部下や身内に対する指導というニュアンスでも使います。
ただし、指導を受けるのはあくまで目下の人間であり、親や上司など目上の人間を対象には使いません。 例えば、父親の還暦祝いで出席者に対し、「今後も父のご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします」という使い方をするのは間違いです。
「ご鞭撻」を使うシーンと例文
「ご鞭撻」はビジネスシーンでよく使われますが、プライベートでも使います。それぞれのシーンでどのように使われているのか、ご紹介しましょう。
■ビジネスシーン
ビジネスシーンでは、主に次のような場面で「ご鞭撻」が使われます。
1. 新しい職場での自己紹介
2. プロジェクトの打ち上げ
3. 新しい取引先への挨拶
4. 顧客への挨拶
それぞれの例文を見てみましょう。
1. 新しい職場での自己紹介
・「皆さまにはご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
会社に入社したときや新しい部署に配属されたとき、わからないことをいろいろ教えてもらいたいという気持ちを込めて自己紹介の最後に使います。
2. プロジェクトの打ち上げ
・皆様のおかげで最後までやり遂げることができました。後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
プロジェクトの成功に導いてもらった感謝し、今後の仕事でも教えを請いたいという気持ちを表しています。
3. 新しい取引先への挨拶
・引き続き御社との連携を強めてまいりたいと存じます。至らぬ点があるかとも思いますが、ご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
迷惑をかけるかもしれないが、これからも取引先と長く付き合いたいという気持ちを表しています。
4. 顧客への挨拶
・我が社の発展のため社員一同努力をしていく所存ですので、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
・このたびは貴重なご意見をお寄せくださり、ありがとうございます。今後とも弊社への変わらぬご愛顧とご指導ご鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。
顧客にへの感謝を表し、今後も長い付き合いを願う気持ちを表しています。
■プライベート
プライベートでは、主に次のような場面で使います。
1. 結婚式で新郎新婦によるスピーチ
2. お世話になった講師へのお礼
3. 役員就任の挨拶
1. 結婚式で新郎新婦によるスピーチ
・まだまだ未熟な2人ですが、今後もご指導ご鞭撻をいただけますようお願いいたします。
結婚式では新郎新婦だけでなく、親族から出席者に対しても、「ご指導ご鞭撻」を使った挨拶が行われます。
2. お世話になった講師へのお礼
・○○について細かくご指南いただきありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
今後も教えを請いたいという気持ちを込めて使います。
3. 役員就任の挨拶
・このような役は初めてですが、皆様のご指導ご鞭撻を受けながら活動していく所存です。
町内会やPTAなど地域活動の役員に就任したときでも、周りの指導を仰ぎたいという気持ちを込めて使います。
「ご鞭撻」の類語表現
「ご鞭撻」には別の類語表現もあります。ニュアンスを変えたいときなど、文脈に合わせて上手に使い分けましょう。主な類語表現をご紹介します。
■ご教示
「ご鞭撻」が主に社交辞令として使われる場合が多いのに対し、「ご教示」は知識や物事の方法などを具体的に教えてもらうときに使います。例文を見てみましょう。
・新しいシステムの使い方について、ご教示いただけると幸いです。
「ご教授」も「ご教示」とほぼ同じような意味合いになりますが、「ご教示」がその場限りの教えを請うニュアンスであるのに対し、「ご教授」は継続的に長く教えを求める際に使います。
■ご指南
「ご指南」は、芸事や専門的なスキル、武術などの教えを請うという意味があります。例文は次の通りです。
・ぜひとも経営のノウハウについて、ご指南をお願いいたします。
■お導きのほど
「お導き」は指導の意味で、「ご指導ご鞭撻」とほぼ意味は同じです。具体的な指導はあまり考慮せず、社交辞令のニュアンスがあります。例文をご紹介しましょう。
・未熟者ですが、お導きのほどよろしくお願い申し上げます。
自分にはまだまだ至らないところがあるので、導いてほしい」という気持ちを表します。「ご鞭撻」がない分、柔らかいニュアンスといえるでしょう。
「ご鞭撻」の英語表現とは
「ご鞭撻」の英訳は、次の通りです。
・encouragement
ちなみに、「ご指導」は直訳すると「guidance」「coaching」です。これらをそのまま使い、「ご指導ご鞭撻」を直訳した英文を作成すると次のようになります。
・Thank you for your guidance and encouragement.
(ご指導ご鞭撻を感謝いたします)
しかし、「ご指導ご鞭撻」は日本語独特のニュアンスであるため、直訳はネイティブにとって違和感のある英文です。日本語の正しいニュアンスは、次のような英文の方が伝わりやすいでしょう。
・Thank you for your continued support.
(いつもご支援いただきありがとうございます)
・We appreciate your continued support and look forward to working with you.
(日頃サポートをいただきありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします)
「ご鞭撻」の正しい意味を理解して適切に使おう
「ご鞭撻」は励ましの意味を込めた指導のことで、相手からそのような指導を受けたいという気持ちを表しています。
具体的な指導や意見を求めるのではなく、「自分が未熟者であり、相手からのサポートを受けたい」という謙遜した気持ちの表現です。あくまで相手からの指導を示す言葉であり、自分が主語になることはありません。
ビジネスシーンでは挨拶やメールの締め言葉として使う場面が多いため、言い回しを覚えておくとよいでしょう。