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LIFESTYLE 私の生き方

2019.03.10

結果、結婚相手に臨むことは、ふつうで、話題に共通項があって、〇〇がないこと【MBAと婚活/美和子の場合4】

 

MBA取得はビジネスのためだけれど、実は結婚にも大いに役立つ!? 身をもって証明したキャリア女性の実話シリーズ。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
Tags:

story4 MBA仲間より「フツー」の男がいい

Profile
美和子さん(仮名・38歳) 既婚
職業/外資系広告代理店営業
趣味/ヨガ
住まい/東京都目黒区

STORY1:ふたまわり年上の役員に比べたら、同世代のビジネスマンは幼くて…
STORY2:MBAから結婚相談所へ…婚活はやっぱりプロがいい!?
STORY3:女の仕事とMBAへの反応は、男の度量を測るモノサシ

ふたりの男性を比較するとよさが見える

外資系広告代理店で働く美和子が、担当するクライアントと共にニューヨーク出張に出たのは、結婚相談所を通じてヤスシとトモヤに出会った2か月後だった。

現地に着いてすぐ、それぞれにLINEをすると、まったく違う答えが返ってきた。ヤスシ(建築会社勤務)のほうは、「美和子さん、お疲れ様です! 僕も××プロジェクトのとき、よくニューヨークに行ってたから、時差がキツいのがよくわかる。でも、せっかくのチャンスだから、結果を出してきてください。」と応援コメント多め。

一方でトモヤ(印刷会社勤務)は、「早く帰ってきてくださいね。次に会えるまで待ってます」。主体はあくまでも自分のようだ。

「私が街角の写真を送れば、ヤスシはすぐに『××ストリートですね!』と返してくれる。トモヤのほうは『お疲れさまでした』だけ。こうして比較対象があると、いいところがわかりやすいものですね。そう、心の中ではすぐにヤスシに決まりました。ヤスシはすごく素敵なラブコールを送ってくるわけでも、気の利いたスタンプを送ってくるわけでもないけれど、パーティのときの第一印象と同様に、いい意味で普通。そして、話題に共通性がある。特にイヤなところがない。結婚の決め手としては、これで十分です」

ニューヨーク出張から戻ると、美和子とヤスシは2回目のデートをした。ヤスシが立てたプランは、歌舞伎を観てから築地でお寿司を食べるという、帰国直後の美和子を喜ばせたい思いであふれていた。ここで結婚の話が出るのかと予測していたのだが、なんと美和子が生ガキにあたってしまって、寿司屋からタクシーで急いで家に帰ることに…。

その次のデートは、生ものは避けて中華料理を選び、プロポーズを受ける気まんまんだった。が、そのときもそれらしき言葉はナシ。ただ、「もう決めている」とポロっと言っていたのを、美和子は聞き逃していない。

「その翌月、ふたりで沖縄旅行に行くことになって、いよいよ…? と待ち構えてました。ホテルのテラスからは星空がきれいで、遠くから波の音が聞こえて、今でしょ! と思ったけど、またもやプロポーズなし。帰りの飛行機で私は不機嫌になりながら、羽田のマクドナルドに入って、彼に詰め寄りました。ちょっと、いつ言ってくれるの! なんのための沖縄旅行だったの!」

ヤスシの答えはこうだった。

「結婚したいけど、僕でいいのかなって、ちょっと自信がなかった。美和子さんが望んでるような素敵なプロポーズも、港区のマンションも、実現できるかなって…」

こんなところも“フツー”っぽさ満載で、もはや愛おしい。美和子は笑いながら答えた。

「そんなこと、私望んでいないわよ。それより、今週末にはヤスシのご実家にご挨拶に行くんだし、それまでにはプロポーズしてね」

頑張ったご褒美はこれだったんだ

プロポーズの仕切り直しは、ヤスシが予約してくれた、ペニンシュラホテルの中華の個室。待ち合わせの時間に着くと、テーブルの上にシャンパンと花束が用意されていた。

「ヤスシは、用意してきた花束を私に渡しながら、『結婚してください』と。そう言いながら先に泣いてました。私は、『MBAを取得するまではすごく忙しいし、しばらく家のことはできないかもしれないけど、それでもいいですか?』って聞きました。ムードないですけど、大事なことですから」

美和子のほうは土日をビジネススクール通いに使わないとならないし、仕事では出張も接待もある。それを受け入れてくれて、夫ひとりでも過ごせることは、重要なポイントなのだ。

「でも、一緒にいるときのヤスシは、頼りになる一面も見せてくれます。ファイナンスの授業でわからないことがあると、彼は自分の実務に基づいて教えてくれます。彼が今やっている新規事業部での海外投資の話なんかも、私にとってはいいサンプルになる。建築業界の話は私とは別世界だと思っていたけど、共通の言語で通じ合えるのがうれしくて」

出会ってから1年後、美和子とヤスシは結婚した。それまでは、婚活が1番、MBAと仕事が2番、だったが、結婚後は「妊活が1番」に変わった。そしてMBAのほうは、丸3年を迎えるこの春、ようやく修了予定だ。

「かつて自分の仕事に満足できなくて、『偉くなりたい』なんて言ったこともあったけど、ビジネススクールに行けば、みんなそれぞれ置かれた立場で頑張ってる。それぞれに大変さはあって、私なんてまだ恵まれているほうなんだなって、よくわかりました。

そして、MBAの勉強でビジネススクールに行くと、ギラギラして野心あふれる男性たちがいっぱいいる。議論大好きで、上昇志向が強くて、ちょっと面倒くさいと思うことも、正直あります。でも、家に帰ると、穏やかで静かな“フツー”のヤスシがいる。すごく落ち着くんです。私今、フツーの幸せを実感してます」

美和子はこれを、仕事も勉強も途中で投げ出さずに頑張ってきたご褒美だと思うことにしている。(4回連載終わり)

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。『Domani』2/3月号ではワーママ10人にインタビュー。十人十色の生き方、ぜひ読んでください! ほかに、 CanCam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。

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