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2019.05.25

この世は、カネとコネしだい!?【うちのダディは脳梗塞7】

 

カリスマモデルとして活躍した10代を経て、20代でデザイナーに転身した佐藤えつこさん。順調にキャリアを築き、「まだまだこれから!」という35歳のとき、父親が脳梗塞で倒れました。アラフォーにして介護歴は4年に。だれにでも起こりうる、けして他人事ではない人生の悲喜こもごもと介護のリアル。今回は、お金とコネの重みを痛感したという、病院探しのお話です。

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三重苦の病院探し

回復期にお世話になる病院を探す過程では、「お金さえあったら」「コネさえあれば」とジリジリ悔しい思いをたくさんしました。ここはよさそう! と思う病院が見つかっても、「特別個室だったら受け入れ可能なんですが…」という条件ばかり。

つまり、めちゃくちゃお高いんです。

1日10万円はざら。差額ベッド代は健康保険適応外で、全額自己負担で高額療養費制度は使えません。

いろんな人に相談して薦められたある病院は、リハビリから回復させた実績が多く、VIPも入院するようなところ。当然人気も高く、高い個室料金を払ってでもと希望する人が多いのだとか。うちもぜひ入りたいとケースワーカーさんから連絡してもらいました。でもなかなか返事をもらえなくて。やっと返事が来たかと思ったら「受け入れられる個室が空いていないから」と断られました。

なんとか入れないかとあらためて知人経由でアプローチしてみたものの、遠いコネクションでは人を介したやり取りは時間がやたらかかるし、万が一入れてもセレブでないと払えないレベルの金額がかかりそうだし、コネにお金にともう途中でイヤになってしまって・・・。

もうひとつ大きなネックになっていたのがダディのもつ「三重苦」です。まず、70代の高齢であること、鼻管(食べることができないため、鼻から管を通し胃に直接栄養を送る)をしていること、腎臓移植の経験者で特殊な薬が必要なこと。その状態ではうちでは受け入れられない、と何件も断られました。

いくつか見学した病院の中には、正直、「商売っ気強めだな~」と感じるところも。エントランスの床が大理石で吹き抜けがあって、インテリアもゴージャスで、病室にはタッチパネル式の最新テレビが付いていたりして。そんなにハイスペックでなくていいから、差額ベッド代をその分少しでも安くしてくれたら・・・と願ったりもしました。

もちろん患者さんの状態はさまざまで、家族にとっても病院は快適であるほうがいいにきまっています。

ただ、とりわけ豪華できれいな病院で、ダディは「胃ろう」前提の治療方針を提示されました。胃ろうには誤嚥性肺炎のリスクを軽減するなどのメリットもあるけれど、そのまま通常食に戻れず寝たきりになってしまうケースもあります。

私は、ダディが家に帰って一緒に生活できるようになる道をあきらめたくなかった。この選択を思い出すとき、あの豪華なロビーが頭をよぎるのです。

イラスト/佐藤えつこ 構成/佐藤久美子

▶︎だれにでも起こりうる介護のリアルって?元モデルの介護奮闘記【うちのダディは脳梗塞】

佐藤えつこ
佐藤えつこ

1978年生まれ。14歳で、小学館『プチセブン』専属モデルに。「えっこ」のニックネームで多くのティーン読者から熱く支持される。20歳で『プチセブン』卒業後、『CanCam』モデルの傍らデザイン学校に通い、27歳でアクセサリー&小物ブランド「Clasky」を立ち上げ。現在もデザイナーとして活躍中。Twitterアカウントは@Kaigo_Diary

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