ピンチはチャンス。 ふたり目出産後に職場復帰をしてからは、もう無理はしないで仕事時間と家庭時間、 それぞれに集中すればいい、と吹っ切れました。 毎朝のジョギングで心身のバランスをとっています。
今月の母:深山知子さん
株式会社タニタ 企画開発部 企画開発課・42歳
自分の脚で走り続けることのできる人生は、きっと楽しい
体脂肪率や筋肉量が手軽にはかれる体組成計など、健康計測機器の基礎技術や機能の開発・改良に従事している深山さん。今手がけているのは高齢者用の脚の運動機能分析装置の〝zaRitz(ザリッツ)〟だ。 「一生自分の脚で歩き続けるためには、脚の運動機能を保つことが大切です。簡単な動きで計測できれば、転倒防止や介護予防にも役立つと考え、開発を進めました」
現在、高校生と小学生の息子をもち、仕事と子育ての両輪を回し続ける彼女は〝毎日走ること〟で心身のバランスをとっている。 「始めたのは、次男を産んで2年後の32歳。 当時長男は小2で〝6年生までは私のほうが勝っていたい〟と、体力増強が目的でした」。 早朝にひとり、自分の内面を見つめながら走ることで気持ちの切り替えが巧くなった。
時短勤務や子供の用事で早退することに負い目を感じるのを止め、そのぶん濃密な勤務を心がけた。家で子供たちと一緒のときは、思いっきり遊びに集中した。仕事で行き詰まった際にも〝ピンチはチャンス〟と、あきらめずに展開できる粘り強さが培われた。「息子が反抗期で連日のバトル状態に泣きそうだった時期も、走ることで乗り切れました」。
仕事も家庭も新たな軌道に乗せたが〝打ち込めることをもっと見つけたい〟と語る。「仕事をして、家事をして、趣味で走ってはいるけれども、打ち込んでいるものが人より少ない気がするんですよ。仕事でもまだいろいろな能力が不足していると感じますし…。 なんでしょうね、この〝まだまだ〟感。よくばりなのかもしれませんが、日々の中で少しずつでも自分を高めていきたいなと思っています」
みやま・ともこ/1975年生まれ。千葉県出身。幼少時代は看護師に憧れ、バイオの世界に興味をもつ。日本大学農獣医学部(現生物資源科学部)を卒業。新卒でタニタに入社、開発部へ。24歳で結婚、25歳で長男、 30歳で次男を出産。次男育休中に介護福祉 士資格を取得。現在は生体研究・開発分野を担当。趣味は走ること。
Domani9月号 女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]Catch!働くいい女の「火曜15時半」より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起( NOSTY) ヘア&メーク/今関梨華( P-cott ) 構成/谷畑まゆみ