悪い姿勢習慣例
(1)ねこ背
悪い姿勢の典型例「ねこ背」は、背中を丸めた状態。この状態では肺を覆っているろっ骨が広がりにくくなり、呼吸が浅くなります。ねこ背では酸素を吸える量が減るため、基礎代謝が落ち、やせにくい体をつくってしまいます。特に授乳中のママは、赤ちゃんとの高さを調整するためにねこ背になる場合が多いので、授乳枕を使うなど、ねこ背にならない工夫をしましょう。
(2)仙骨座り
椅子に浅く腰かけ、背もたれに寄りかかって座っている状態「仙骨座り」をすると、産後、ただでさえのっぺりとしたお尻の筋肉が引き伸ばされ、垂れ下がったお尻が定着してしまいます。さらに、この状態では骨盤が後傾することによって、腰、背中が丸まってしまいます。このような姿勢が続くと、首や背中、腰にかかる負担が増え、頭痛、肩こり、腰痛の原因に。血液循環が滞ることによる冷え性など、日常生活にも悪影響が出ます。
(3)横座り
俗にいう「お姉さん座り」は「横座り」といい、横座りをする人は、たいていいつも同じ方向に足を流すクセがあります。片側に体重がかかることにより、体の左右バランスが崩れ、ゆがみの原因に。写真を見ると、背骨が曲がっている様子がよくわかります。
(4)割り座
産後ダイエットを成功させるためには、出産で開いた骨盤を元の閉じた状態に早く戻すことがポイントです。正座を崩した「割り座」は、骨盤が開いてしまうのでNG。割り座で座ることで内股にもなるので、O脚やX脚の原因になります。尿もれや2人目不妊などの原因になることも。
「日常の何気ない姿勢が体のゆがみをつくります。『横座り』や『割り座』で授乳やオムツ替えをするママもよく見かけるので、気がついた時点でやめるようにしましょう」(碓田さん)
■2:出産後、ゆがんだ骨盤を元に戻す
「結論から言うと、産後の骨盤調整は必須。ほとんどのママにケアが必要です。産後は骨盤の下側が広がり、全体的に四角っぽい形になっています。出産が終わると、骨盤は元の状態に戻ろうとしますが、姿勢習慣が悪かったり、ゆがみによって戻れないことがあります。その場合、何もしなければ勝手に元に戻ることはありません。これを放っておくと、のっぺりとした四角いお尻、くびれのない寸胴なウエストになるなど、産後太りの原因になります。
さらに、見た目だけでなく、腰痛や脚のしびれ、尿もれの原因にも。今は骨盤調整の簡単な体操などもインターネットで見られますが、それは整えた骨盤を維持するためのサポート、と考えてください。残念ながら、ゆがんだ骨盤を自分で戻すことはできません。私自身も自分で自分の骨盤は治せません。なので、専門知識のある施術院などに行き、メンテナンスすることをおすすめします。産後1〜2ヶ月は関節が柔らかく、よい状態に骨盤が戻りやすい時期なので、産後2ヶ月以内に整えるのがベスト。この時期にきちんとケアすることで、妊娠前からのゆがみや腰痛、肩こり、下半身太りなど、過去の体の悩みも解消できます。しかし、それ以降でも問題はありません。あくまでもよい状態に戻りやすいのは2ヶ月以内で、より効果が得られやすい、という意味です」(碓田さん)
■3:妊娠中に衰えた筋肉を元に戻す
「妊娠・出産によって衰えやすい筋肉はいくつかありますが、中でも多くのママが気にするのが腹筋です。『出産後、腹筋ができなくなった』という話をよく耳にしますが、産後、腹筋がどういった状態になっているか知っていますか? 赤ちゃんの成長にともない、お腹が大きくなることにより、腹筋(腹直筋)は引き伸ばされ、どうしても弱ってしまいます。人によっては『腹直筋離開』という、腹筋が裂けた状態、簡単にいえばお腹の肉離れのようなことが起こります。脚に肉離れが起きると激痛で歩けなくなりますよね? これと同じことがお腹で起きていると考えると、そのダメージはとても大きいということがわかります。程度の差はありますが、実は、妊婦さんのほとんどがこの状態になっているといわれています。基本的に痛みはないため、ほとんどの人は気づかず、軽いものは自然と治っていきますが、腹筋の弱さは姿勢に大きく影響します。腹筋が弱っていると、妊娠時のようなお腹をつき出したような姿勢になるので、ぽっこりお腹にもなりやすいのです。『腹筋って、鍛えるのが大変…』と思っている女性は多いと思いますが、とても簡単な方法があります。ただし、産後は上体を起こす、いわゆる”腹筋”はNG。腹直筋離開も考慮しなくてはならないので、一度専門家に相談するといいでしょう」(碓田さん)
産後太り解消の第一歩!骨盤を安定させる簡単エクササイズ
産後ダイエットの第一歩として、まずは骨盤を安定させることからはじめましょう! はじめにご紹介するのは「骨盤底筋を鍛える体操」。妊娠・出産により傷めた骨盤底筋を鍛えることで、骨盤が安定し、尿もれの改善や予防にも効果的です。
(1)仰向けになり、膝を立て、脚を組み、両手は体の横に置く。
(2)お尻から骨盤、腰、背中の順に持ち上げていく。膝と腰、肩が一直線になるまで(腰を反らないように)、息を吐きながらゆっくり腰を上げ、上げきったところで息を止め、深呼吸を1回する。このとき、膣をギュッと締めるイメージで力を入れる(わかりにくい場合は肛門に力を入れる)。息を吐きながらお尻を床に下ろす。反対の脚でもおこなう。回数は10回程度。
脚を組んでではやりづらい場合は、太ももの間にボールやタオル、枕などを挟んでおこなってもOK。その場合、挟んだ部分にギュッと力を入れながら持ち上げる。
仕事に家事、育児と、日々時間に追われ、自分のメンテナンスは後回しになりがちですが、ママのケアこそ家族のため! 寝たままできるこの体操なら、朝ベッドから起き上がる前や就寝前など、隙間時間でできるので、多忙なワー/ママでもトライしやすいでしょう。明日から…と言わず、思い立った今日からスタートしましょう!
食事制限も激しい運動もいらない!「姿勢習慣を見直す」「出産後、ゆがんだ骨盤を元に戻す」「妊娠中に衰えた筋肉を元に戻す」の3つを軸に、妊娠初期からでも安全にできる、効果抜群の産後ダイエット方を提案。忙しい子育てママでも簡単に実践でき、「妊娠前よりキレイで健康的な体になれる!」と産後ママたちから大きな反響を得ている。
カイロプラクター 姿勢教育指導士
碓田紗由里(うすださゆり)
虎ノ門カイロプラクティック院副院長。これまで女性を中心に、のべ1万人の施術をしてきた経緯と自身の妊娠・出産の体験から、出産前後の女性がかかえる体型の変化や体調不良を改善するためのオリジナルプログラムを開発、提案。自身もこのプログラムにより元の体型に戻すだけでなく、妊娠前の体重よりマイナス7キロをキープをしている。虎ノ門カイロプラクティック院
撮影/黒石あみ 取材・文/村井 絢
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