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2019.11.24

歩けなくても話せなくても、譲れないものはあるらしい【うちのダディは脳梗塞19】

 

カリスマモデルとして活躍した後、20代でデザイナーに転身した佐藤えつこさん。順調にキャリアを重ねていた35歳のとき、父親が脳梗塞で倒れ、人生が一変しました。アラフォーにして介護歴はもう5年。なかなかすぐには回復が進まず、奮闘する毎日が続いています。けして他人事ではない人生の悲喜こもごもと介護のリアル。今回は、ちょっと微笑ましいダディの謎のこだわりを紹介します。

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そこにこだわるんだ!?

すっかり別人になったダディですが、日々の生活の中では謎のこだわりポイントがいろいろとあります。

まず、隙あらば、鏡ばかり見てる(笑)。いつも机の上に置いてあって、一日何度もいろんな角度から自分の顔をチェックしています。入院中は髪をよくなでたり、ブラシを催促していたので、ヘアスタイルを気にしているのかと思っていたら、家に帰ってきてからは屋内でも帽子をかぶったまま。それでも鏡チェックは怠りません。

そんなナルシストっぽさを出しながら、「恥ずかしい」は一切ないんです。「トイレに連れて行け」は、家族でなくても、若い女性の介護スタッフでもだれにでも頼むという不思議。トイレに行ったら行ったで、堂々と仁王立ちしています。うーん、頭は隠すのに下半身はいいのか!?

そして、とにかくめちゃくちゃ神経質です。細かいことがあちこち気になるようで、本人は言葉にはできないのですが、要求をくみ取ってセリフにするとこんな感じ。

「電気を消せ」、「小さいゴミを拾え」、「冷房を入れるな」、「カーテンの隙間を閉じろ」。
何か行動するたびに、「お茶をくれ」。
極めつけは、「YouTubeで、『知床旅情』を見せろ」。 

これが毎日のルーティン。『知床旅情』、切ない昭和の名曲が我が家ではずっとかかっています。

食事どきは、よだれかけをしないとご飯を食べません。布製だと洗濯が大変になるので、100均のシリコン製スタイを愛用しています。食べたいものがあると、人のも手でハシッと奪って食べるという執着ぶり。倒れる前は、野菜を中心に食べ、食欲は控えめだったので、意外な変化でした。

そして、わかりやすく美人が好き(笑)。

特に神田うのちゃんがお気に入りです。私がモデル時代に、『プチセブン』という雑誌で一緒に仕事をしていたうのちゃん。大人になってから家に電話をかけてくれたことがありました。ダディはそのときの印象がよかったみたいで、テレビで見かけると、すごくうれしそう。

ショートステイ(短期的に施設に入所し、介護・支援が受けられるサービス)にも、きれいで優しくてスタイルがいい女性がいて、彼女を見た瞬間、満面の笑顔に。親切なおばさまや若い男の人にも、ニコニコ愛想がいいのですが、おじさんだと一気にテンションが下がってしまうのです。ダディ、見た目で判断しすぎ…!

介護生活も5年を迎え、ダディの性格やふるまいが少しずつ変わってきた部分はあるものの、こだわりポイントはブレずに貫いています。

イラスト/佐藤えつこ 構成/佐藤久美子

うちのダディは脳梗塞、バックナンバーはこちらから

佐藤えつこ
佐藤えつこ

1978年生まれ。14歳で、小学館『プチセブン』専属モデルに。「えっこ」のニックネームで多くのティーン読者から熱く支持される。『プチセブン』卒業後、『CanCam』モデルの傍らデザイン学校に通い、27歳でアクセサリー&小物ブランド「Clasky」を立ち上げ。現在もデザイナーとして活躍中。Twitterアカウントは@Kaigo_Diary

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