そもそもクリスマスとは
ごちそうとプレゼントに囲まれる楽しい日、というイメージがあるクリスマスには、どのような意味があるのでしょうか。日本のクリスマスの特徴や、各国のクリスマス文化をご紹介する前に、基礎知識をおさらいします。
キリストの生誕を祝う日
クリスマスは「キリストの誕生をお祝いする日」です。約2000年前にベツレヘムで生まれたキリストのお祝いのため、Christ(キリスト)とmass(ミサ・礼拝)を組み合わせてChristmasとつづられます。
いつ始まったかは明らかになっていませんが、一説にはローマ帝国時代にペルシャから伝わった太陽神・ミトラ教(ミトラス教)の冬至の祭りが関係していると言われています。冬至の日は1年で最も日照時間が短くなりますが、これ以降は日照時間が伸びていくので、太陽が復活する日とされていました。太陽神・ミトラ教の冬至の祭りは12月25日を主祭日として盛大に行われており、この太陽の復活とキリストの降臨が結び付いたと言われています。
さらに、この時期に行われていた農耕の祭りをも組み込み、「キリストの降誕祭」が誕生したという説もあります。
日本のクリスマスはいつから?
クリスマスは、現在、日本でも広く親しまれています。日本におけるクリスマスの起源と変化について見ていきましょう。
16世紀、現在の山口県に伝来
日本で初めてクリスマスが行われたのは、戦国時代の16世紀とされています。イエズス会のフランシスコ・ザビエルとともに日本を訪れた宣教師コスメ・デ・トーレスらにより、周防国山口(現・山口県山口市)で降誕祭のミサが行われました。
その後、江戸時代に入ると、禁教令が出されてキリスト教は禁止されたため、一般的にはクリスマスがお祝いされることはなくなりました。ただし、長崎の出島に出入りするオランダ人たちは、冬至祭りとしてクリスマスのお祝いをしていたと伝えられています。
明治半ばごろから少しずつ広がる
日本で一般的にクリスマスが行われるようになったのは、明治時代半ばの1900年ごろです。1900年に初めてクリスマスの売り出しが行われ、06年には新聞広告にサンタクロースが登場した記録があります。
最初は子どもの行事という側面が強かったのですが、大正天皇が崩御された12月25日が祭日になったことをきっかけに、多くの大人にもクリスマスが広がりました。戦時中は禁止されたクリスマスですが、終戦後に再開されるようになりました。
家族でケーキとプレゼントでお祝いする日として定着したのは、1960年ごろのことです。80年代以降は、恋人同士で過ごすロマンチックな日としても認識されるようになっていきました。
こんなに違う!日本独自のクリスマス文化
文化的な背景や手に入りやすい食材の違いから、日本のクリスマスには西欧諸国と異なる点があります。日本独自に展開され根付いたクリスマス文化をご紹介します。
家族より恋人を優先する
クリスマスは「恋人と過ごす」日というイメージがありますが、家族より恋人を優先するのは日本独自のこと。海外のクリスマスは家族と過ごすのが一般的とされています。反対に、海外ではお正月に恋人と過ごすことが多いそうです。日本ではお正月に家族や親族と過ごす家庭が多いため、クリスマスとお正月の位置付けがちょうど反対になっています。