【目次】
違和感を無視して結婚した結果…
前回のお話▶︎DV夫が見せていた、結婚前の危険な兆候 後編
「交際中に気づいた違和感を見逃すな」とよく聞きますが、交際相手のAさんとその母親に対し、結婚式の前から違和感を覚えながらも、結婚してしまった渚さん。
渚さん:結婚した途端、彼は仕事に行かなくなり、暴力を振るわれるようになりました。
さかい:仕事に行かないって、どういうことですか? 代わりに家事をしてくれるとか?
渚さん:いえ、家事もしないし、構ってもくれない。家でひたすらゲームしてるんです。それで私のことは家の中でスレ違っただけで、「俺の動線上に立つな」と殴られたりしました。私が仕事に出かけるときに彼が朝からゲームをしているので腹が立って、それが顔に出ちゃったんです。そしたら思い切り殴られて横転し、窓ガラスが割れてしまったこともありました。すごくショックで、「顔だけはやめてください」と懇願しました。
さかい:酷い。動線上に立つなとか、理不尽すぎますね…(怒)! 渚さんは、なぜそんなことをされてもすぐに離婚せずにいたんですか?
渚さん:殴ったりしないときの彼は、愛情表現がすごく豊かなんです。朝ご飯を作ってくれたり、プレゼントをくれたり、セックスもある。そういう楽しい時間もあったから、殴られても「まあいいか」と情にほだされて許してしまったし、「いつか働いてくれるだろう」と期待を抱いていました。それに普段は普通に会話もあって、私のことが大好きなんです。たぶん、幼少期に関係が悪かったお母さんの代わりみたいに思われていたんじゃないかな。
DVの典型のような「アメとムチ」の支配によって、暴力を振るわれても「彼には私しかいない」と思ってしまっていたのですね。
とはいえ、自分を殴るような男性には恐怖心が湧いて、セックスもできなくなりそうですが、渚さんもそのうちに「もうしたくない」と、彼とのセックスを拒否。それでも無理やり強要されることもあったそう。
さかい:旦那さんが働かないということは、生活費は渚さんが出していたんですか?
渚さん:いえ、彼の仕事は単発で受けられるような職種だったので、結婚生活3年半のうち、3か月働いては休む、というサイクルの繰り返しでした。なので、不定期にまとまったお金を生活費として、ふたりの口座に振り込んでくれていた感じです。
そして、結婚前からいろいろ問題があったAさんのお母さんも、結婚したらもちろんさらに厄介な存在になっていったのです。長くなったので、そのお話は次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。