幼い頃のトラウマと夫の裏切り
お話を伺ったのは…
佐藤彩美さん(仮名・38歳)。東京都目黒区出身・神奈川県内の私立大学文学部卒業、契約社員(SE)(年収240万円)。15歳年上の夫(公認会計士・年収2000万円)と結婚14年。東京都杉並区内の賃貸マンションに住む。子どもは私立小学校に通う10歳男子。身長160cm。色白で華奢な体型に黒髪が映える。
幼いころから「パパ活」をしていたかもしれない
彩美さんは憂いがある美女だ。しっとりと落ち着いていて、大人の色香がある。華奢な体型なのに出るところは出ている。話題も豊富で教養もあり、知的で楽しい女性だ。
「ママ友からのやっかみみたいなものは、ずっとありますよ。24歳で結婚し、28歳で出産しているので、ほかのママ友より若いですしね」
彩美さんの“魔性感”というのは、他の母親たちには脅威とも言えるかもしれない。
「幼稚園時代は遊び人っぽいパパから誘われましたし、息子の学校の先生、習い事の先生からLINEを渡されることなんてしょっちゅうです。私、幼いころから“パパ活”していますからね。というのも、母は私が2歳のときに離婚し、8歳のときに義父と再婚し、弟が生まれた。私が疎外されないためにも、義父に媚びを売りまくっていましたから。そのおかげで、なんでも買ってもらったし、大学にも進学できた」
幼いころに貧乏のどん底を味わったから、絶対に生活に苦労をしたくない。
「そのためには、男性にモテなくてはならない。自分で仕事をしても稼ぐ額はたかが知れている。圧倒的に努力をしています。それで、安定していて地味で高収入の夫と結婚できた」
もっと高収入な男性とも交際していたけれど、派手な男は浮気をする。
「美容外科医がいちばん派手だったな。ランボルギーニとかフェラーリが好きで、何台も持っていて試乗会に連れていかれました。グルメの会とかね」
グルメの会とは、自宅に寿司職人などを呼び、仲間内でパーティをすること。「キレイな子はおいしいものを食べているから、この味がわかるでしょ」と、高価なワイン(1本10万円以上)がバンバン開く。
「若いことが価値なので、いつまでもそんなことはできないと、夫で手を打ったのです」
夫のことはそれなりに愛しているけれど、お尻が垂れていてキモいと思う
彩美さんの夫は15歳年上だ。
「53歳なのにマシなほうだとは思いますが、やはりお尻は垂れているし、髪は薄いし、キモいですよ。それでも生活費を潤沢に渡してくれるからよかったんですけど、去年、私が働き始めてから異変が起こったんです」
それまで、夫は月に50万円を彩美さんに渡し、食費などをまるっと任せていた。光熱費と家賃は、夫の会社が支払っている。彩美さんは食費を抜いた50万円のほぼすべてを、自分磨きに使っていた。
「ところが最近、私が子供の手が離れてヒマになったので、夫の反対を押し切って働くようになった。すると、“僕が食費の一部を出すけど、それ以上は彩美ちゃんの給料でまかなってほしい”と言ってきたんです。つまり、生活費を出さないってことです。何を考えているのかと。男として恥ずかしくないのかと思いましたが、グッとこらえました」
生活費を出さない夫とは、夫婦ではない
生活費を出さなくなった原因は、夫が愛人の面倒を見始めたからだった。しかも相手は、自分の会社の新卒の社員(22歳)。
「これがわかったのは、女から“彼と離婚してあげてください”とメッセージが来たから。加えて、彼女が“匂わせ”投稿をしていた」
彼女が投稿していたのは、夫の高級車でのドライブ、夫の腕時計に自分の手を重ねた瞬間、特徴的なブランドロゴが輝く夫のベルトと、夫の下腹部に置いた手…。
「あんなにキモい中年男でも、この若い女には王子様なんですよ。私も若いころはさんざん不倫をしていたので、その感じはわかる」
それから2週間、彩美さんはシニアエクゼクティブ限定のクラブに登録した。
「もうびっくりするくらい、デートの誘いが来る。コロナ禍だから夜の店に行けない替わりに、“ドヤり”ではなく個人で満たされるために、私のような人のところに来るんです」
彩美さんは、基本的にデートやゴルフをするだけ。しかし、気が向けばそういう関係になる。
「和歌山県の資産家が20代の奥さんから、命を脅かされたのではないかという疑惑の事件がありましたよね。あれから私の需要は増している」
彩美さんの相手は、年収5000万円以上の男性ばかりだという。なぜ、そんなに自由に金を使える男からオファーが来るのだろうか。
「子どもがいるという安心感は大きい。名門私立小学校に通う息子がいる母親なら、まずヤバいことにはならない。あとは、私のテクニック。それは、一緒に過ごしている時間は、その人のことを心から愛すること。お金だと思えば愛せますし、今のシニアはテクニックもすごい」
それでいて、お小遣いももらえる。
「そうなんです。夫からもらった以上のお金を得ています。まあそれを得るためには、私の圧倒的…本当に圧倒的な努力があります」
彩美さんが愛しているのは、夫や息子ではない。かといって自分自身でもない。それは金なのか、それとも愛なのか、その本音は誰にもわからないのだ。
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Writer&Editor
沢木 文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。