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LIFESTYLE 夫婦

2020.05.22

「一生オンナでいたい」トラウマが生んだ「かわいいキャラ」への呪縛|『あなたはどう思いますか?』

「しっかり者のお姉ちゃん」は「かわいい妹」がずっとうらやましくて…。『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、東京で働く女性の恋愛事情をレポート。甘い禁断の果実に潜むリスク…あなたはどう思いますか?

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沢木 文
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「あなたが大好き」なかわいい女を男性は求める

お話を伺ったのは…

渡邉由里さん(仮名・38歳)。東京都出身・中堅私立大学国際系学部卒業、食品メーカー勤務(年収550万円)。3歳年上の夫(マスコミ関連会社勤務・年収650万円)と結婚6年。江戸川区内の中古マンション在住。子どもは5歳の息子。身長165cm、いつも笑顔で明るい、歯がキレイな美人。カラーコンタクトをしており、ネイルと髪のカラーリングは月に1~2回。

「かわいい」って言われたい

由里さんは、しっかり者の長女として育つ。

「といっても、2歳下の妹だけだから、とりあえず、妹が欲しがるものを譲ったり、『ちゃんとしなさい』と指示を出していていると、親や親戚から褒められる。妹は母譲りの美人で、他校から男子生徒が告白しに来るレベルだった。妹から『お姉ちゃんは一重でかわいそう』とか『歯並び悪くて笑顔が汚い』など言われてました」

近所の人や親戚からも「お姉ちゃんはしっかり者、妹さんはかわいいのね」言われながら育った。

「もうそれは”呪い”かも(笑)。私も『かわいい』って言われたかった。妹とは、高校から別の学校に進んだので、妹の存在を気にせず、堂々とかわいい私を演じられるのが楽しかった。歯列矯正もしました。そこで男性からモテる幸せを知ってしまったんですよ。当時のモテ系ファッション誌を参考に、男ウケする服やメイクを研究して、そのままエスカレーター式で大学に進学しました」

妹はかわいいを脱却して、キャリアを極める

妹さんはどうなったのだろうか。

「中学2年生の時に、豚みたいに太り、ニキビだらけになって、いじめられて勉強に逃避。都立進学校から、名門国立大学へ進学。今は大手の会社の研究所で、よくわからない研究しています。大学卒業後は、同級生と結婚し、すぐに出産。今は中学生の男の子と4年生の女の子の母ですよ。かわいかった面影など跡形もなく、さらにぶくぶく太って、いつも眉間にシワを寄せています」

由里さんの心の底には、妹と容姿を比較された恨みが、蓄積されているようだ。

「あ~~。そうなのかも。実は、数年前、ウチの実家で飲んでいた時に、妹の旦那と大人の関係になりそうになったことがあって、さすがにそれはお互いにやめましたけれど(笑)。妹の旦那だって、白髪も隠さずメガネをかけて、いつも黒のスーツか紺ジャージしか着ていない妹は、もう抱けないと思うんですよ。姉妹の仲はあまりよくないですね。住む世界が違うし」

20代で「かわいいお嫁さん」になりたかった

由里さんの結婚は32歳だ。夫もマスコミ関連勤務とはいえ、ハイスペック男子とは言い難い。

「婚活時代の本命は、26歳から4年間交際していたIT企業の役員の男性です。この人とどうしても結婚したかったのに、彼は別の女性と結婚したんです。彼が望む”理想の女”を頑張って実行し、20代でかわいいお嫁さんになりたかった。それなのに、30歳でフラれてしまった」

彼は「きちんとした女性」が好きだった。デートのときは、ハンカチにアイロンをかけ、花火大会は浴衣を着た。冬は、ハイブランドのトートバッグに、グローブホルダーを付けた。

しかし、4年間も彼に合わせていたのに、彼が選んだのは、しっかり者タイプの、医師の女性だった。

「彼の会社の近くの眼科医だそうで、あまりにも悔しくて、診療を受けにいったんです。そしたら、小太りでお世辞にも綺麗とは言えない。なんでこんな女が好きなんだろう…と思いましたが、優しくて安定感がある。”お母さん”みたいな安らぎがあった」

その日から、由里さんは「お母さんモード」を搭載する。

「ざっくばらんで世話焼きで…元の自分のキャラに合っている。でもオカン扱いされてモテなくなりました(笑)。でもそのキャラのおかげで、32歳のときに大学の先輩である夫と、流れで男女の仲になり、デキ婚したんです」

「キレイなママ」と言われたい、そして一生、女でいたい

由里さんは、息子が2歳のときに、初めての不倫をする。

「夫とは、とっくにレス。夫がダメなら、他の人とするしかないじゃないですか。努力のおかげで、ママ友からは『キレイなママ』という賞賛を得ている。ホントは、パパ友からアプローチされたんだけれど、どこで漏れるかわからない。職場も大学の同級生もそう。だから、マッチングアプリで、金持ちそうな男性とデートしまくりました」

マッチングアプリは、驚くほど女性が優位。自分の都合に合わせて、男性は来てくれる。さらに、30代の由里さんは、相手の男性から「若い」「かわいい」と絶賛される。

「相手も選び放題で、私は20~30代のハイスペックなイケメンとしか会いません。毎回、『こんなかわいい子と会えると思わなかった』と男性たちは言ってくれる。この4年間で、30人くらい会いましたかね。デートの時は、ハイスぺ男子の隣にいるのに、ふさわしい格好をして、”ダーリンラブラブなかわいい彼女”を徹底的に演じる。すると、ホントに喜んでくれるんです。でも、そのほとんどがワンナイト。向こうから距離を置かれてしまうんです」

とは言え、継続的に続く相手もいると言う。

「基本、短期恋愛の私ですが、継続的に付き合っている男性もいます。週に2回の出勤日の帰りに彼の家に寄っているのですが、これは自分へのご褒美。彼が開けてくれた高級ワインを飲みながら、彼の家でまったりしているのが至福の時間。夫にはない知的な時間と雰囲気、ハイブランドの家具と、広いリビング、オーディオシステム…そんなものに囲まれていると、この人と結婚したいな、と思ってしまうんですよね」

彼は、由里さんを好きな時に呼び出し、終わると帰すという。そこに愛情も結婚の気配もないことに彼女が気づく日は来るのだろうか…。

写真/(C)Shutterstock.com

Writer&Editor

沢木 文

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。

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