世に言う〝ハイスペック夫〟と再婚したはずが、蓋を開けたら、バツ2で子供が3人いるという、衝撃の事実が発覚。
連載過去記事:第1回「年収3千万円以上ないと理想の生活は成り立たないんです」
第2回「束縛は愛情表現?再婚してわかったモラハラ夫の正体・・・」
その事実が判明するまでにも、実は藍子さんの結婚生活には、様々な事件がありました。
婚歴ロンダリングでバツ2の過去を抹消!?
その再婚相手のKさんを嫌って、結婚に反対した藍子さんのお母様ですが、生まれた孫と藍子さんに会いに、初めて藍子さんの家に来たとき。「ようこそ我が家にお越しくださいました」と歓迎したKさんに対し、「あなたのことを認めたわけじゃない」と玄関先でピシャリ。
——Kさんのことを相変わらず嫌っていた藍子さんのお母様は、商社マンで海外出張が多い彼がいないときを見計らって、家を訪ねて来ることが多かったそう。
そんなある日、お母様は藍子さんの家に来る途中で、交通事故に遭い、脳挫傷でICUに入院することに。藍子さんは頭を打ったお母様を心配して、ちょうど他人に間貸ししていた一軒家の部屋が空いたので、退院後そこに住んでもらうことにして、同居がスタート。ですが前述の一件を根に持つKさんは、藍子さんの前ではお母様にやさしく振る舞いながら、藍子さんが留守のときには冷たく当たり、お母様の分だけ食事を買ってこないなどの意地悪をしていたそう。
さかい(以下、さ):「なんて卑劣で幼稚な……! 好きな人の母親に対して、ひどい仕打ちですね(怒)」
藍子さん(以下、あ):「母はそのときは私に何も言わなかったので、全部あとになってわかったことなんです。母は結局1年近く同居したあとに、『ここに住んでいたら精神的におかしくなってしまう』と、家を出て行ってしまいました」
結婚3年目を迎えた頃から、夫に「お前はバカだから」といちいち蔑まれるのが苦痛になって来た藍子さんは、「この人、何か違う」と思い始めます。その後さらに2年後からは、Kさんのとんでもない素顔がどんどん明らかになっていきました。
あ:「母が交通事故に遭ったとき、私は知り合いの弁護士を雇うと言ったのですが、彼が自分が間に入ると言い張って、加害者と示談金のやり取りをしてくれたんです。頭がいい人なので、そこは信頼して任せていました。ところがいつまでたってもその示談金が振り込まれず、おかしいと思って調べたら、実は彼が使い込んでいたことがわかったんです」
そんなある日、今まで会ったことがなかったKさんの実姉が突然家を訪ねて来て、最も衝撃の事実が語られます。
あ:「夫からは『僕には姉がいるけど、我が家の問題児だから、君は会わなくていい』と言われていたんです。でもそのお姉さんが、『Kには子供がいるわよ。結婚歴も2回あるし』と言ってきて。寝耳に水のできごとでした」
さ:「バツ2だったってこと!? それまで気がつかなかったんですか?」
あ:「はい、婚姻届は彼が区役所に提出しにいったのでわからなかったし、彼、実は、離婚歴がバレないようにする〝婚歴ロンダリング〟をしていたみたいで……。子供は3人いたみたいですが、最後まで実際は何度結婚したのかもわからないままでした」。 婚歴ロンダリング……! そんなものが存在するのですね……!
私だったらその場で夫を問いつめるところですが、ケンカを避けたい藍子さんは適当にごまかされて、結局そのままになってしまったそう。こういうところが、藍子さんがモラハラ男性にターゲットにされやすい理由なのかもしれないですね。
さらにプライドが高いKさんは、ちょっと嫌なことがあるとすぐ会社を辞めてしまうらしく、ある日突然「会社辞めてきた」と言われたそう。
再婚5年目にして、再び離婚を決意した理由とは
あ:「『どうするの?』と聞いたら、『外資ではよくあること。ステップアップのための転職だよ』って言うんですけど、そのあと就職した会社もまた、何も相談もなく辞めてきたんです。ただ、働いている私に『家にお金を入れろ』と言うことは一切なくて、私のお給料はすべて自分のお小遣いとして使わせてもらっていました。今思えば、転職活動中の生活費はどうしていたんだろうと思いますが、実は彼ではなく義母の持ち家だったことがわかった自宅にも、家賃を入れていなかったそうです。だからなんとかなっていたのかも」
次々と発覚するKさんの嘘に藍子さんの愛情はすっかり冷め切り、「この人と一生一緒にいたくはない」と強く思うように。
——そりゃそーだ。よく夫の条件として「尊敬できる人」なんてことがいわれますが、それ以前に「人として信用できること」は一緒に生活するうえでの最低条件。
さ:「信用できない相手とひとつ屋根の下で暮らすのって、本当に心が休まるときがないし、しんどいですよね」
あ:「はい。見切りをつけたら早い性格なので、そこからは離婚を計画的に考えて実行に移しました。向こうに感づかれたら面倒なので、離婚できるときまでは冷静に過ごそう、と。息子がいるときは会話が成り立つけれど、ふたりきりになると話すこともなく、ただただ気まずい。そばに近寄ってほしくもなかったです。離婚までの数年間、冷め切った結婚生活を耐えられたのは、子供がいたからこそ」
そう、1回目の結婚のときとは違い、今回は5歳になる子供がいての離婚。自ずとハードルは上がります。しかもこの頃、藍子さんには自分の店を持ちたいという目標ができていたので、もし離婚するならばお母様に息子の面倒をみてもらわないと生活が成り立たない。そのためには藍子さんが家族3人を養える収入を稼がなくてはならない。
あ:「2回目の結婚では母に苦労をかけっぱなし。事故の示談金を夫に使い込まれたこともありますし、かわいそうなことをしてしまった。だから今後は親孝行していかなければ、という思いもありました」
今回も言い争いが嫌だった藍子さんは、ある程度貯金ができたところで、夫が海外出張中に夜逃げのようにして母親と息子を連れて家を出たのでした。
——果たして無事に親権は取れるのか!? そして離婚後、藍子さんを襲った、さらなる試練とは? 波乱万丈な藍子さんの人生は、ここからが本番なのですが、長くなったのでまたまた次回に続きます。
※プライバシー保護のため、取材内容の一部を変更しています。
イラスト/naotte 取材・文/さかいもゆる
さかいもゆる/出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。