交際相手からの詐欺被害に遭い、日本へ帰国
前回のお話▶︎億万長者夫のトロフィーワイフ生活に飽きて海外で会社を設立!
ヨーロッパの大富豪の妻として悠々自適な生活を送っていた佳菜子さんは、離婚の財産分与で大金を手に。その後、パーティが盛んなことで知られるあるエリアで、イベントコーディネイトの会社を設立。経営者として他者に「与える喜び」を知ったのでした。
佳菜子さん:今思えば、現地で仲良くしていた日本人たちって、いわゆる裏社会の人だったのかなと思います。クラブで興行するには、そういう繋がりが必須でしたから。だけど、どんな人でもいい面もあれば悪い面もあって、私にはみんないい面を見せてくれていた。そんな中で、一度だけ騙されたことがあるんです。
離婚後に現地で知り合って交際していた日本人男性に、「ビジネスのため」と言われて2千万出資。あとになって、それが詐欺だったと気づいたのだそう。
2千万円って、すごく大きな金額ですよね。佳菜子さんも、当時は騙された相手のことを「死んでくれ」と恨んでいたそうですが、今では、「あれも何かのご縁だったのかな」と思うのと同時に、「詐欺と投資に注意するようになり、もっと大きな額を騙されない為の勉強になった」と考えています。そう思えるようになったきっかけは、父親が病気になり帰国した日本で出会った、あるヨガの尊師の影響でした。
海外のパーティアイランドで毎晩のように遊び狂っていた佳菜子さんでしたが、現地で詐欺にあったこと、そして日本にいるお父様が病気になったことで、日本に帰る決意をします。
その後、父親は死去。現在、佳菜子さんは実家に戻り、母親と姉と一緒に暮らしているのですが、「今の生活が人生でいちばん幸せ」だと彼女は言います。
実は、佳菜子さんの両親は、彼女が幼い頃に父親が事業に失敗して多額の負債を抱えて離婚。その後母親が再婚して、相手の連れ子である兄と姉と暮らすことになった、ステップファミリーでした。そんな生い立ちも、「貧乏人とは口も聞きたくない」という、彼女がお金にシビアになった理由のひとつなのかもしれません。
今では、馬の合わなかった継兄が結婚して家を出て、ステップファザーは亡くなり、継姉と母、女3人で暮らすようになって、彼女はようやく自分がほっとできる家庭を手に入れたのだなと、私には感じられました。
佳菜子さん:姉は離婚して出戻りで実家にいるのですが、来月再婚して家を出る予定なんです。これからは母とふたりで生きて行くつもり。母が元気なうちに一緒に過ごせる時間が持てて、本当に良かったと思います。
元々ひとりっ子だった佳菜子さんにとって、お母様を独り占めできる、初めての機会が巡ってきたのですね。私もひとりっ子で、母はすでに50代のときに病気で他界しているので、何だか佳菜子さんのことがうらやましく、取材しながら涙ぐんでしまいました。
さて。お金が使いきれないほどある結婚生活でも、経営者として与える側になっても、「今思えばあれは自己満足だった」と満たされない想いを抱えてきた彼女ですが、今、こうして家族と穏やかに過ごせる時間に感謝できるようになったのは、前述の尊師との出会いにより、スピリチュアルな世界に傾倒するようになったから。
「あの瞑想法を実践するようになってから人生が変わった」という、その尊師のお話は、次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。