着る服の色から履いてもいい靴の種類、メイクまで…義母ルールを押しつけられる日々
美彩さん(仮名・43歳女性)は、ひと回り以上年上の男性との結婚と同時に義母と同居。夫とは年の差婚だったので、高齢の義母を気遣っての決断でした。
「本当は新婚当初くらい、夫婦だけで暮らしたかったのですが、夫の強い希望で同居をすることになりました。結婚前から『気の強そうな義母だな』とは思っていましたが、結婚後には、まるで“鬼”そのもの。私の生活を朝から晩まで監視するかのように意見を押し付けてきて、外出も自由にできませんでしたし、その中には“着る服の色”や“メイク”、“履いてもいい靴の種類”まであって、義母ルールが細かく定められていました」
義母の口グセは「息子より目立ってはダメ。ただでさえ息子よりうんと若いんだから、とにかく地味にしなさい!」と美彩さんは言われ続けました。
「最初のうちは、一時的なものだろうと思っていましたが、1年経ってもおさまるどころか、義母からの要求はエスカレート。『洋服は黒か茶色、紺しか着てはいけない』『装飾が付いているものはダメ』『ヒールのある靴はダメ』『メイクは地味に。口紅はしないで』などと、もうめちゃくちゃ。
同居していなければ、義母と会うときだけそういう格好をすれば済むのですが、同居だったので、義母の目が朝から晩まで光っていて、好きな部屋着すら着ることができない生活でした」
夫に相談するも「マザコン」なため無意味…
そんな生活に耐えかねた美彩さんは、意を決して夫に事実を伝え、改善を求めたのですが、夫の性格はよりにもよって「マザコン」。夫は、義母のことを悪く言う美彩さんに怒りをぶつけ、夫婦仲も徐々に悪化していきました。
「もう逃げ場がないって言うか、どうしようもなかったですね。もちろん義母に直談判したって聞き入れてもらえないですし。私が何かを言えば100倍にして返してくる義母だったので、そのうちに文句を言う気力も奪われました」
自由のない生活に疲れ果てていた美彩さんは、あるときに病を発症。しかし、夫も義母も心配するどころか「こちらの言うことに反発しようとするから、身体が反発して病気になったんでしょうね〜」などと、ここでもトンデモ発言を繰り出したそうです。
「ここには幸せなんてない、どんなに我慢してもその先にあるのは不幸だけだと悟りました。それで、夫や義母に見つからないよう家を出て実家に戻り、1年かけて離婚をしました」
病気を患うまで追い詰められていた美沙さんでしたが、離婚成立から2年経ち、今では健康体を取り戻せたそう。新たなパートナーとともに平穏な生活を送っています。
「あんな義母も世の中には存在するんですよね。嫁姑問題は腹を割って話せばわかるとか、話し合えばそのうちに折り合いがつくとか聞くけど、そんなのは無理でした。特に、夫がマザコンの場合には妻の味方をしてくれないので、結局は義母が勢いづいてしまって、妻が虐げられるだけ。そんな義母や夫との共同生活は、今思い出しても地獄のような毎日だったなと、しみじみ思います」
息子への愛情からなのか、息子の妻に対して必要以上に干渉し、自分の思い通りにしようとする義母も存在します。冷静な判断ができる夫がいれば事態の改善も見込めますが、筋金入りのマザコンなど、義母の振る舞いを冷静に判断できない夫である場合には、残念ながらも改善が見込めるケースは稀であるのが現実です。
取材・文/並木まき