音沙汰がない
「音沙汰がない(おとさたがない)」も、返事がないことを示す表現です。この場合の「音」とは連絡や便り、訪問のことを意味し、「沙汰」も便りや知らせを指します。そのため「音沙汰がない」は、何の連絡や訪問もないことを意味する慣用句といえるでしょう。「音沙汰なし」と名詞として用いることもできます。
ただし、「梨の礫」はこちらからの電話や手紙などのアクションに対して反応がないことを指しますが、「音沙汰がない」はこちらからアクションをしたかどうかに関わらず連絡がないことを指します。例えば、いつも顔を出していた人が急に来なくなったときなどにも、用いることができるでしょう。
例文
・ここ1年、田中さんから音沙汰がない。何か良くないことが起こったのだろうか。心配だ。
・そういえば弟からここしばらく音沙汰がない。忙しくしているのだろうが、年末年始ぐらいは連絡してくれてもいいのに。
・彼女からは音沙汰なし。どうやら避けられているのかもしれない。
・音沙汰なしだから、放っておいても大丈夫だろう。
梨も礫もせぬ(なしもつぶてもせぬ)
「梨の礫」から派生した言葉に、「梨も礫もせぬ」があります。意味は「梨の礫」と同じで、連絡をしたのに返事が返ってこないときに用いることができます。例えば次のように表現します。
例文
・電話もしたし、メールもした。なのに何の返事もない。梨も礫もせぬとはこのことだ。
・彼の梨も礫もせぬ態度は、明らかに私を拒絶していることを示していると考えられる。
また「梨も礫も打たんせぬ(なしもつぶてもうたんせぬ)」と表現することもあります。意味は「梨も礫もせぬ」と同じで、返事が来ないときに使うことが可能です。
例文
・メールを送っても返事が来ないから、手紙を書いた。それでも、【梨も礫も打たんせぬ】だ。
・余程忙しいのか、【梨も礫も打たんせぬ】状態が続いている。健康でいれば良いのだが。
ノーリアクション
反応がない状態を「ノーリアクション」と表現することもあります。本来ならあるべきリアクションがないときには、次のように使ってみましょう。
例文
・何度もメッセージを送ったのにノーリアクションだ。私がこの前言ったことを本気にしているのだろうか。
・彼女にどんな面白い話をしてもノーリアクションだ。面白いと感じるポイントが違うのだろうか。それとも笑うことが苦手なのだろうか。
「梨の礫」の意味を理解して正しく使おう
電話やメールをしても何の返事もないときは、「梨の礫」と表現できます。また連絡が来ないことに注目して「音沙汰がない」と表現したり、反応がないことに注目して「ノーリアクション」と表現することもできるでしょう。
言葉の意味を正しく理解して使うことで、表現力が高まります。いつも同じ表現ばかり、あるいは平易すぎる言葉ばかりを選ぶのではなく、慣用句を日常会話に使ってみることも大切です。梨の礫だけでなく、「梨も礫もせぬ」「梨も礫も打たんせぬ」の表現もぜひ会話に取り入れてみましょう。
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