著者自ら語る、K-POP公演の裏側
いまや世界的⼈気ボーイバンドとなった韓国アイドルグループの公演演出を⼿がけてきた演出家、キム・サンウク氏による著書『K-POP時代を航海するコンサート演出記』。
その日本語版刊行を記念して先日開催されたオンライントークイベント(有料)では、この本を翻訳された岡崎暢⼦氏を聞き手に、キム・サンウク氏が様々な質問に回答してくださいました。さらに通訳には、ワールドツアーなどで日本語通訳として公演に関わり、本書にも登場するキム・ジナ氏が参加。公演の裏側から演出家に必要だと思うことまで、コンサート演出に関する様々な話題が繰り広げられました。今回はそのイベントの一部を、特別に公開します。
あの公演のインスピレーションの源となったのは?
岡崎暢子氏:「本書には、BTSの三部作の公演『LIVE TRILOGY』シリーズは『スター・ウォーズ』にインスピレーションを受けたという話が書かれています。この本によると、それまで韓国のコンサートは、例えば『〇〇ショー』などスターの名前がついていたり、1、2、3と通し番号をつけるようなタイトルやコンサート作りが主だったそうですね。そのなかで、コンサート公演自体をシリーズ化し有機的な繋がりを持たせようと考え、それを実行に移されたのですが、本当に前代未聞のことだったと。最初にその提案を事務所にしたとき、周りの反応はどうだったのか、エピソードをうかがいたいです」
キム・サンウク氏:「大衆音楽の公演をシリーズ化するというのは、K-POPを含めて世界的にも前例がなく、ケースがなかったと自分は認識しています。そのなかで、これはちょっと惜しいなとずっと思っていたのが、コンサートも『スター・ウォーズ』や『マーベル』の映画みたいに、深い世界観と長期の呼吸で、お客さんと呼吸を合わせながら作り上げればいいのにと疑問があり、私はそれを作ってみたいと思ったんですね。それで、例えば1本目を見たとしたら次が見たくなる、次を見たらまたその前編に戻ってそれも見たくなるという繋がりを持たせ、お客さんもそれを楽しみながら一緒にやっていきたいというイメージで三部作を提案したんです。それに関しては、BTSは当時『学校三部作』というアルバムを出していたので、それと連動してこれが公演になるのはすごくいいと思うと、事務所からの反応もとても好ましかったんです」
ここで紹介したのはほんの一部。普段はなかなか聞くことのできない、演出家の目線で語られたコンサートの裏側をもっと知りたいという人は、ぜひイベント本編をチェックしてみてくださいね。
※本イベントは現在アーカイブ配信中(チケットは購入はこちらから ※12月6日正午までの受付)。
また、イベント冒頭では、コンサートを見に来てくれたお客さんや、この業界で仕事をしたいと思っている若者や学生たちにも『K-POP時代を航海するコンサート演出記』を読んでもらいたいと語っていたキム・サンウク氏。本書にはイベントで紹介しきれなかったアーティストたちとの制作秘話も多数紹介されています。こちらも是非チェックを。
著:キム・サンウク イラスト:キム・ユンジュ 訳:岡崎暢⼦
定価:2,200円 (税込) 四六判、2⾊、400ページ
2021年11⽉16⽇頃発売 ⼩学館
▶︎書誌情報はこちら
プロフィール
キム・サンウク
通称“ナイスなアヒル”。コンサート専⾨演出チームPLAN Aの社⻑であり、代表プロデューサー。⾼校時代に外国語⾼校でフランス語を専攻、延世⼤学校で経営を学ぶ。在学中に兵役義務につき、駐韓⽶軍で勤務。除隊後、コンサー演出を学び始める。⾳楽専⾨チャンネルMnetのコンサートPDなどとして勤務した後、独⽴して2010年にPLAN Aを設⽴。以降、BTS, ATEEZ, DAY6, CNBLUE、テヨン、キュヒョンなど多くのK-POPワールドツアーコンサートとファンミーティングの総演出を務める。