記者会見などのニュースで、「〇〇氏は政治問題にまで言及した」などという言葉を耳にすることはありませんか? 「言及」はやや硬い表現なので、あまり口にする機会が少ない言葉ではありますが、大人のマナーとして使い方を押さえておきたいものです。そこで本記事では、ビジネスシーンなどで登場する「言及」の意味や使い方、類義語などを解説します。
「言及」とはある事柄について述べること
「言及」について、辞書で調べました。
【言及:げんきゅう】
いいおよぶこと。話がある事柄までふれること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「言及」という言葉はやや硬い表現になるため、日常会話で登場することはさほど多くはありません。しかしビジネス・政治経済・学問・芸術など、幅広い分野で使用されている言葉です。
「言及する」「言及される」といった使われ方をするのが一般的ですが、この言葉を正確に定義するのはやや難しいと言えるでしょう。
「言及」の使い方
「言及」は、日常会話で使われることはさほど多くはありませんが、議論する場合や論理的な文章を記述する場合には、使われることの多い言葉です。
ここでは、「ビジネスシーンでの使い方」と「論文やレポートでの使い方」の2つに分けて、例文を紹介します。
ビジネスシーンでの「言及」の使い方
ビジネスシーンにおいて、「言及」という言葉はよく使われています。場面を選んで使用することで、発言に説得力を持たせる効果もあるでしょう。
【例文】
・弊社の製造するタイヤの安全性能については、弊社の研究所で行った厳格なテスト結果のデータに【言及】しながらご説明します。
・新しいプロジェクトの方針を説明する際には、過去のプロジェクトの成功事例に【言及】したほうがわかりやすいと判断しました。
・商品開発が失敗した要因については、予算が適切だったのかどうかという点についても【言及】すべきだと考えます。
論文やレポートでの言及の使い方
「言及」は、「言い及ぶ」というニュアンスのある言葉ですが、「言われていること」だけでなく、「書かれていること」についてふれる場合にも使われます。論文やレポートでもよく登場する言葉といえるでしょう。
【例文】
・我が社の福利厚生の改善についてというレポートを書くにあたっては、人事部が集計した社員へのアンケート結果についても【言及】しています。
・インターネットの安全性に関する論文を執筆するにあたって、アメリカのA博士の研究発表に【言及】させていただきました。
・卒論のテーマを「夏目漱石の庭園観の考察」と決めたので、夏目漱石の多くの作品に【言及】する予定です。
「言及」を使う際の注意点2つ
「言及」はさまざまな事柄や事象、話題、作品などを引用するときに便利な言葉です。ある事柄について説明する際に、「言及」という言葉を用いて他の事例を引用し、内容に説得力をもたせる場合もあります。
それだけに「言及」という言葉を使う場合には、注意しなければならないこともあります。それぞれ詳しく解説しましょう。
「言及」という言葉を多用しない
「言及」は便利な言葉ですが、多用しすぎないように注意しなければなりません。特に日常会話で使いすぎると、堅苦しくなってしまう場合があるので、状況を踏まえて使うといいでしょう。
ビジネスやレポート、論文などで使う分には問題ありませんが、あまり多く使いすぎると、わかりにくくなってしまうこともあります。「ここぞ」という場面で使うのが効果的です。