Contents
【目次】
そもそも「視野が狭い」の意味とは?
「視野」という言葉は、もちろん視力についても使用されますが、人の性格など内面について使う場合は(3)のような意味を表します。
【視野】
(1)外界の一点を凝視するとき、その点を中心として見える範囲。視力の及ぶ範囲。「―が開ける」「―を遮る」
(2)顕微鏡・望遠鏡・写真機などの、レンズで見ることのできる範囲。
(3)物事を考えたり判断したりする範囲。「―の狭い人」「国際的な―に立つ」
<小学館デジタル大辞泉>
つまり「視野が狭い」という表現は、「物事を考えたり判断したりする範囲が狭い」という意味です。
【質問】周りに視野が狭いと思う人はいる?
周りに「視野が狭い」と感じる人がいるか、アンケートを実施。その結果、33.3%の人が「はい」と回答しました。3人に1人は、「視野が狭い」と感じる人が周囲にいるようです。
※アンケートは30〜45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)。
視野が狭い人に見られる特徴とは?
臨床心理士の吉田美智子さんによると、「視野が狭い=既成概念・固定概念にとらわれやすい。先入観を持つ。一方的な見方、表面的、硬直的なものの見方をすること」。そうなる理由としては、おもに以下の3つのことが考えられるそうです。
もともとの性質
「物の見方の固さ (頑固さ) 柔らかさ (柔軟性) には、生まれ持った性質が関係します。どちらが優れている、というものでもありません」(吉田さん)
経験不足
「生まれ持った性質というより、経験不足から生じることもあります」(吉田さん)
不安が高い
「不安なとき、わたしたちは、自分がよく知っていることの中で生きようとします。それが、視野の狭さと映るときがあります」(吉田さん)
▼あわせて読みたい
「視野が狭い」人に対しての印象
それでは、みなさんは「視野が狭い」人に対してどのような印象を抱いているのでしょうか。アンケートの回答から、代表的なものをピックアップしました。
自分中心
・いつも自分の意見が一番正しいと思う人(40代・愛知県・子ども2人)
・自己中心的で周りが見えてなかったり、見ようとしてないとき(30代・新潟県・子ども2人)
・自分が思ったことを決して変えない(40代・兵庫県・子ども1人)
・自分のことしか考えてない(40代・石川県・子ども1人)
・自分のやり方を押し付ける(40代・滋賀県・子ども3人)
異なる意見や価値観を受け入れない
・周りの意見や考えを受け入れようとしない(30代・千葉県・子ども1人)
・考え方が固まっている(40代・東京都・子ども1人)
・今の時代に合わせられない。「昔は昔は」の人(30代・北海道・子ども3人)
・思い込んだら考えが変わらない(40代・京都府・子ども3人)
・人の話を聞かない(40代・東京都・子ども1人)
・他人の意見を聞かない(40代・兵庫県・子ども3人)
・多様性を認めないところがある(40代・岡山県・子ども1人)
周りが見えていない
・周りが見えていない(30代・福島県・子ども1人)
・集中すると周りが見えなくなってしまう(40代・東京都・子ども2人)
・周りを見ていないからアシストできない(40代・石川県・子ども2人)
対応力がない
・トラブルや突発の出来事に対応できず、怒りで表現するだけで解決する力をもっていない人(40代・岩手県・子ども1人)
・その場のことしか考えてない(30代・兵庫県・子ども2人)
・目の前のことしか見えていない。少しのことでいっぱいいっぱいになる(40代・大阪府・子ども4人)
・一つのことしかできない(40代・石川県・子ども2人)
・決められた仕事しかできない。 応用がきかないので、人の気持ちを考えられない(40代・東京都・子ども1人)
【体験談】視野を広げるにはどうしたらいい?
続いて、視野を広げるにはどうしたらよいと思うかについても聞いてみました。特に多かった回答を、傾向ごとに分けてご紹介します。
周りを見る
・周りに注意を払う(40代・富山県・子ども1人)
・周りをしっかりと見る癖をつける(40代・東京都・子ども2人)
・周りをよく見て考える(40代・愛媛県・子ども2人)
・周りをよく見て相手の立場になって考える(40代・千葉県・子ども2人)
・目の前のことだけに集中するのではなく、周りに目を向ける(40代・石川県・子ども2人)
・動く前に周りをよく見渡して状況を把握してから行動する(40代・広島県・子ども2人)
・一歩引いて全体を見る(30代・東京都・子ども2人)
・自分のことだけではなく、他の人がしている作業を把握したり、自分のことに余裕をもつ(30代・福岡県・子ども1人)
興味を持つ・学ぶ
・いろんなことに興味をもつ(40代・愛知県・子ども1人)
・たくさん本を読んだり、色々な場所に出かけたりして、知識や経験を増やす(40代・愛知県・子ども2人)
・色々なことに興味と好奇心を持って取り組んでみる(30代・大阪府・子ども1人)
・いろんな世界を見る(40代・広島県・子ども2人)
・相手や周りに興味をもつ。本を読む(40代・東京都・子ども1人)
・いろいろな情報を得るように行動をする(40代・北海道・子ども1人)
・いろんな分野のことを学ぶ(30代・愛知県・子ども3人)
・もう少し知識を付けるか、物事に関心を示して、勉強するべき(30代・兵庫県・子ども2人)
・いろんな分野の本を読む(30代・東京都・子ども2人)
・多様な体験を積むこと(40代・東京都・子ども4人)
いろいろな人と関わる・話を聞く
・たくさんの人の話を聞いたりすることで、自分以外の世界を知ることができる(30代・北海道・子ども1人)
・色々な人の話を聞く(30代・福岡県・子ども1人)
・色々な人と交流する(40代・大阪府・子ども2人)
・世の中のいろいろなことを知る。いろいろな人がいると知る(40代・愛知県・子ども3人)
・自分のことを話すだけでなく、人の話をちゃんと聞く(30代・千葉県・子ども1人)
・人の意見に耳を傾ける(40代・兵庫県・子ども3人)
・他人の意見を取り入れ、物事の考え方を広げる(40代・兵庫県・子ども1人)
・自分と異なる考え方を受け入れる(40代・神奈川県・子ども1人)
特に多かったのは、周りをよく見るよう心がける、様々なことに興味を持つ、学んで知識を増やす、いろいろな人の話や意見を聞く、など。周囲の状況をよく見るようにする人や、いろいろな人がいていろいろな考え方があることを知ろうとする人が多いようでした。
【臨床心理士に聞く】視野を広げたいと思ったら?
最後に、吉田さんに「視野を広げたい」と思ったときどんなことを心がけたらいいかを質問。先に紹介した3つのパターンごとに、自分自身が心がけたいこと、そして周囲が気をつけたいことをそれぞれ教えていただきました。
もともとの性質
【自分】
「もともとの性質として既成概念に囚われやすいタイプの人でも、自分が納得できると視野を広げる行動をとります。ただ、3つ目の「不安が高い」と関係しますが、不安を感じているときは広がりません。自分が信頼している人の話を聞いて納得できたら変えてみる、など自分のペースで」(吉田さん)
【周り】
「もともとの性質なので、『視野が狭くてダメだ』などと一方的に批判するのは避けてくださいね (それこそ視野が狭い行動になってしまいます) 。本人の持ち味として長所を認めることや、本人が視野を広げる行動をとったときに気づいて褒めるようにしてみてください」(吉田さん)
経験不足
【自分】
「自分の経験が足りないのであれば、意識して視野を広げる工夫をしましょう。経験はいずれ獲得できますから、自信を失わないで」(吉田さん)
【周り】
「経験不足を『未熟さ』と断定して責めないでください。また、失敗しても、チャレンジした態度を褒めてあげられるといいですね」(吉田さん)
不安が高い
【自分】
「不安なときは、視野を広げる言動はとれないものです。無理をせず、安心できる環境や関係性をつくりましょう。安心できる環境・関係性のなかでは、柔軟にふるまえますよ」(吉田さん)
【周り】
「本人の不安要素を軽減できる手立てがあれば、検討してください。安心できれば変わりますから、不安なときに無理強いしないこと」(吉田さん)
「視野が狭い」と一口に言っても、理由は人それぞれのよう。もし「もっと視野を広げたい」と思ったなら、そして周囲に「視野が狭いな」と感じる人がいるなら、その人の状況にあわせて対応するのがいいかもしれません。
臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
HP
Twitter: @hakoniwasalon
トップ画像・アイキャッチ/Shutterstock.com
▼あわせて読みたい