「瓢箪」(ひょうたん)の意味や縁起とは?
ユニークな形がトレードマークの「瓢箪」(ひょうたん)。「無病息災」や「商売繁盛」の縁起物として古くから親しまれてきた植物です。七味入れとして使ったり、和雑貨屋では「瓢箪」模様の小物をよく見かけますね。今回はそんな「瓢箪」の特徴やことわざ、「千成瓢箪」の意味などをまとめて解説します。
■意味
「瓢箪」は、ウリ科の蔓性の一年草。最古の栽培植物の一つといわれ、アフリカ・熱帯アジア原産です。食用や加工材料として世界中に広まったといわれています。葉はハートの形をしており、くるくると巻いた蔓が、家の柵や他の植物に絡んで伸びます。夏の時期になると、夕方に白い花を咲かせることも特徴です。
「瓢箪」といえばそのユニークな形の実がトレードマークですよね。中間がくびれて上下が膨らんだ形をしており、熟すと実が硬くなって、苦味が強くなります。「瓢箪」には、様々な品種があり、大きさが8cmほどの「千成瓢箪」から、胴回りが1m以上もある「ジャンボ瓢箪」などがあります。
日本では、縄文時代の遺跡である鳥浜貝塚から種が出土しています。文献では『日本書紀』で「瓢(ひさご)」という名で初めて文書に登場しました。茶湯の千利休は「瓢箪」を花器として初めて使用したといわれています。俳諧では、「瓢箪」は秋の季語ですが、花は夏の季語です。
また海外では、ラテン音楽で打楽器として使われていたり、タバコのパイプとして使用されたり、ブラジルではマテ茶の茶器として用いられてきたそうです。
■縁起物としての「瓢箪」
「瓢箪」は、縁起物として染め物や、掛け軸、器の意匠としてもよく使用されます。末広がりの形をした「瓢箪」は、古来より「無病息災」や「魔除」の縁起物として親しまれてきました。「3つ揃って三拍(瓢)子で縁起良し」「6つ揃って無病(六瓢)息災」といわれ、吉祥文様しても人気のあるモチーフです。
また、「瓢箪」は、蔓が伸びて他のものに絡みつくことから「商売繁盛」、実の中にたくさんの種が入っていることから「子孫繁栄」の象徴にもなっています。この縁起にあやかろうと「瓢箪」は、お守りや魔除け、風呂敷などの日用品の柄として使われています。
■「瓢箪」の使い方
「瓢箪」は軽くて丈夫なことから、昔から容器や飾り物として用いられてきました。中身を取り除いて乾燥させたものを、水や酒をいれる容器として腰にぶら下げていたそうです。また、乾燥させた「瓢箪」を割って、皿の代わりや柄杓として使っていました。水を入れる「瓢箪」は、「ひさご」や「ふくべ」とも呼ばれます。
現在では、中身を取り除き乾燥させた「瓢箪」に穴を開けて、中に電球を入れることで「瓢箪」ランプとして楽しむ方法もありますよ。
「千成瓢箪(せんなりびょうたん)」とは?
歴史好きな人は「瓢箪」と聞くと「千成瓢箪」が思い浮かぶ方もいるかもしれません。「千成瓢箪」は、豊臣秀吉が馬印にしたことでも有名です。詳しい意味を解説します。
■意味
「千成瓢箪」は、ユウガオの栽培品種で、8cmほどの小さな「瓢箪」がたくさんなることが特徴です。庭や窓辺で観賞用や日よけとして植えたり、実は工芸品に利用されます。また、熟していない実を煮たり、奈良漬にして食べることもあるようです。
■豊臣秀吉とのつながり
たくさんの「瓢箪」が実っている様子は図案化され、豊臣秀吉が馬印に用いたことで有名ですね。馬印とは、戦国時代に戦陣で大将のいる場所に立てた目印のことです。秀吉は美濃攻めの際、身につけていた「瓢箪」を高く掲げ味方に合図を送ったことで、敵は見事落城しました。
この功績が主君である織田信長に認められ、その報酬として金の「瓢箪」を与えられたのだとか。それから「瓢箪」が、秀吉の馬印となったといわれています。秀吉は、戦に勝つたびに一個ずつ「瓢箪」を増やしていったという逸話が残されています。