「すべからく」と「おしなべて」の違いは？類語や言い換え表現も紹介

「すべからく」とは

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「すべからく」と「おしなべて」の違いを知りたいならば、それぞれの言葉の意味を正しく理解しておくことが大切です。言葉の意味を知れば、両者の違いが自ずとわかるでしょう。まずは、「すべからく」の意味や使い方、例文を解説します。

意味は「当然のこと」

すべからくは副詞で、「当然のこととして」や「ぜひともそうすべき」という意味を持っています。「物事をぜひとも行わなくてはならない」との気持ちを表現するために使われる言葉です。

すべから‐く【▽須く】
［副］《動詞「す」に推量の助動詞「べし」の付いた「すべし」のク語法から。漢文訓読による語》
多くは下に「べし」を伴って、ある事をぜひともしなければならないという気持ちを表す。当然。ぜひとも。「学生は須く学問を本分とすべきである」
小学館『デジタル大辞泉』より引用

この言葉は漢文に由来します。「～すべきである」を表す「すべし」の連体形にあたる古語表現で、「須く～べし」の訓読に基づく言葉です。

なお、すべからくは漢字で書くと「須く」もしくは「須らく」と表記します。この表記に用いられる「須」には、「必要とする」「求める」という意味があります。

「すべからく」を使った例文

すべからくは、基本的に「～べし」や「～べき」などの助動詞と併せて使用される言葉です。典型的な使い方ではないものの、「～なければならない」という意味合いで用いられることもあるため、覚えておきましょう。すべからくという言葉を使った例文には、下記のようなものがあります。

「すべからく」の類語

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漢文に由来する「すべからく」は、やや古めかしさを感じさせる言葉。加えて、やや小難しい印象を持たれる可能性がある言葉でもあります。そのため、日常的に使用する際には注意が必要です。シーンによっては別の言い回しを選択した方が好ましい場合もあるでしょう。そこで、使いやすい「すべからく」の類語を解説します。

当然

すべからくの類語としてまず挙げられるのが「当然」です。当然とは「当たり前であること」「道理にかなっていること」を表す副詞です。当然という言葉をすべからくの言い換え表現として使うときには、「当然～すべき」の形で使用するのが適切といえます。

当然という言葉を使った例文には、下記のようなものがあります。

ぜひ・ぜひとも

「ぜひ」や「ぜひとも」もすべからくの言い換え表現として使える言葉。副詞のぜひは「きっと」「なにとぞ」「必ず」などの意味を持っており、物事の実現を目指す意志や要望を強調しています。なお、「ぜひとも」は「ぜひ」を強調した言葉です。

ぜひやぜひともを使った例文には、下記のようなものがあります。

「おしなべて」とは

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「すべからく」の意味を理解できた後は、「すべからく」と混同されがちな「おしなべて」の意味を確認しておきましょう。両者の意味を知ることで初めて、両者の違いを理解できるようになります。「おしなべて」の意味と例文を解説します。

意味は「すべて」

おしなべてという言葉は、「全体的に」「概して」「一様に」などの意味を持つ副詞です。共通点を持つものすべてを形容する際に使用します。

おしなべては古典文学の中でも使用される言葉です。古典文学の中で使われる場合には意味が異なり、「おしなべての」の形で用い、「ありきたりな」「月並みの」などの意味を表します。

おしなべ‐て【押し▽並べて】
［副］
1. 全体にわたって。一様に。概して。
2. （あとに格助詞「の」を伴って）ありきたり。なみなみ。
小学館『デジタル大辞泉』より引用

おしなべては漢字で書くと「押し並べて」と表記されますが、ひらがな表記の方が一般的といえるでしょう。

「おしなべて」を使った例文

おしなべてという言葉は、1つのまとまりを持ったものを形容するときに使われる表現です。そのため、共通点がないものに対しては使用できません。

おしなべてという言葉を使った例文には、下記のようなものがあります。

「おしなべて」の類語

「おしなべて」は日常会話で頻繁に使用される言葉ではありません。そのため、会話を交わす相手の中には、「おしなべて」の意味を正しく理解できていない人がいる可能性があります。相手に真意が伝わらないかもしれないと感じたときには、「おしなべて」の類語を使って言い換えるのがおすすめです。「おしなべて」の類語を解説します。

総じて

おしなべての類語として、まず挙げられるのが「総じて」です。総じては「全体の傾向として」「一般的に」「全部で」などの意味を持つ副詞。「すべての」という意味を持つフォーマルな言葉として、ビジネスシーンで多用されます。

総じてを使用した例文には、下記のようなものがあります。

おおむね

「おおむね」もおしなべての類語として使用できる言葉の1つです。おおむねは「だいたい」「おおよそ」などの意味を持ちます。漢字では「概ね」と表記し、大部分を占めている状態を表す副詞として使用されます。

おおむねという言葉を用いた例文は下記の通りです。

「すべからく」と「おしなべて」が混同される理由

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「当然のこと」を表す「すべからく」と「すべて」という意味を持つ「おしなべて」は、混同されることがあります。意味が明確に異なっているにもかかわらず、なぜ両者は間違って使われてしまうのでしょうか？ 「すべからく」と「おしなべて」が混同されやすい理由を解説します。

「すべからく」が「すべて」と誤解されやすいから

「すべからく」と「おしなべて」が混同される理由は、「すべからく」と「すべて」の語感が非常に似ているためです。「すべからく」に〝すべ〟という音が入っていることから、すべからく＝すべてという誤解が生まれ、「すべからく」を「おしなべて」と同じく「すべて」「全体的に」という意味で使ってしまう人がいるのです。

また、「すべからく」という言葉を正しく使った文章であっても、「すべからく」と「すべて」を言い換え可能であることも、「すべからく」と「おしなべて」が間違われてしまう元凶といえます。言葉の意味は異なるものの、「すべからく」を「すべて」と言い換えても、文脈上違和感がない場合があるためです。

まとめ

「すべからく」と「おしなべて」は、異なる意味にもかかわらず、混同して使われてしまうことがある言葉です。2つとも日常的に使う言葉ではないため、意味を混同していても、すぐに誤りを指摘されることは少ないかもしれません。

しかし、両者の違いを知っておけば、万が一「すべからく」や「おしなべて」を会話の中で使おうと考えたとき、「どちらを使えばいいのだろう」と迷う場面がなくなります。意味の違いを理解して、それぞれの言葉を正しく使用できるようになりましょう。

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