「断腸の思い」とは非常につらく悲しいこと
「断腸の思い」は「だんちょうのおもい」と読みます。意味は次の通りです。
だんちょう‐の‐おもい〔ダンチヤウ‐おもひ〕【断腸の思い】
はらわたがちぎれるほど、悲しくつらい思い。「断腸の思いで諦める」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「断腸」とは「はらわたがちぎれるほど」という意味の比喩的表現を使い、それほどまでに悲しくつらいという気持ちを表しています。日常的には滅多にない感情で、頻繁に使うものではないといえます。
これまで経験したことがないほどつらい思いや出来事について表現する言葉で、よくある日常的なことに使用すると違和感があるため注意しましょう。例えば、「今朝は眠かったけど断腸の思いで起きることにした」といった使い方をすると、大げさな表現だと思われてしまいます。
言葉の由来は中国の故事
「断腸の思い」という言葉は、中国の『世説新語』という逸話集に出てくる故事を由来としています。
中国の桓温(かんおん)という武将が船で川を渡っていたところ、家来が一匹の猿を捕らえてきました。小猿を連れ去られた母猿は悲しみ、追いかけて船に飛び移りましたが、そのまま死んでしまいます。その母猿の腹を割いてみたところ、悲しみのあまり腸が断ち切れていたという逸話です。
この故事から、腸が断ち切れるほど尋常でない悲しみやつらさを表現する言葉として使われるようになりました。
ビジネスで使う場合
「断腸の思い」は、日常会話よりもビジネスで使われやすい言葉です。取引先などに使う場合は、使う場面を間違えないようにしなければなりません。つらくて苦しいことを表すときだけに使い、頻繁に使うものではないことを押さえておきましょう。
ビジネス上で使う場合の例文は次の通りです。
・【断腸の思い】で今回の商品価格を値上げする決断をした
・事業の一部を売却せざるを得ないことは【断腸の思い】だ
・【断腸の思い】で希望退職をつのることになりました
・長年勤めた会社を辞めるのは【断腸の思い】です
断腸の思いの使い方と例文
断腸の思いは「断腸」という表現をしますが、身体ではなく心の状態を表す言葉です。腸がちぎれるまでに心が苦しいことを表すため、使う場面は限定されます。
何か重要な決断したとき、諦めたとき、人と別れたときなど、これ以上にないつらく苦しいという思いを表現するものです。それぞれの場面での例文を見ていきましょう。