「圧巻」の意味や由来とは?
日常生活で頻繁に使われる「圧巻」という言葉。馴染みのある言葉なだけに、なんとなく意味を理解して使っている方も多いのではないでしょうか。今回は「圧巻」の意味や由来、そして、「圧倒」や「壮観」など、よく似た言葉との違いを解説します。この機会に正しく意味を理解して、うまく使い分けられるようになりましょう。
■意味
「圧巻(あっかん)」とは、「全体の中で最も優れていること」です。舞台で役者が素晴らしい演技を見せたときなどに「圧巻の演技だった」といいますよね。「圧巻」は、群を抜いて優秀な人や美しいものを見て感動したときによく使用される言葉です。
「圧感」の誤用に注意
ちなみに、意味を混同して「圧感」と書かれることがありますが、誤用なので気をつけましょう。
■由来
「圧巻」の由来は、中国の『科挙』と呼ばれる官吏登用試験にあります。「圧巻」の「巻」には、「試験の答案」という意味があり、最優秀者の答案を他の答案の上にのせたことから、「最も優れた詩文」「他よりも優れているもの」を指す故事成語になりました。
使い方を例文でチェック!
「圧巻」は大抵、素晴らしいものを見て感動したり、様々な感情が湧き上がった時に使います。日常生活でよくあるシチュエーションを例文で挙げたのでチェックしてみましょう。
富士山の山頂から見る朝日は圧巻の景色で、一生忘れられない思い出となった。
美しい景色に感動した時に「圧巻の景色」といいますよね。数ある山々の中でも日本の象徴でもある富士山からの眺めはひときわ絶景でしょう。このように「圧巻」は、全体の中で最も優れている部分に対して使用します。ちなみに「圧巻」は、「圧巻する」「圧巻された」など動詞で使うのは誤用です。その場合は「圧倒する」「圧倒された」と言い換えましょう。
その役者は舞台の千秋楽で圧巻の演技を見せた。
「圧巻の演技」も日常でよく使われるパターンの一つです。舞台やイベントでは、感動して泣いたり笑ったりいろんな感情が湧き上がりますよね。役者の素晴らしい演技に心が動かされた時に「圧巻の演技」ということが多いようです。
新体操のB選手は圧巻のパフォーマンスで会場を魅了した。
「圧巻のパフォーマンス」も馴染みのある表現ですね。例文のように新体操やフィギュアスケート、スキーなど、ここ1番の見せ場のあるスポーツにも「圧巻」は使われます。他の選手より飛び抜けて素晴らしいパフォーマンスを見せた人に使われる言葉です。
類語や言い換え表現とは?
「圧巻」によく似た言葉には「圧倒」や「壮観」「席巻」などがあります。いずれも日常生活でよく使われる言葉ですが、字面や意味も似ているため混同して意味を理解している方も多いかもしれません。それぞれの正しい意味と使い方をみていきましょう。
圧倒
「圧巻」とよく似た言葉に「圧倒(あっとう)」があります。意味は以下の通りです。
1 きわだってすぐれた力をもっていること。また、その力で相手を押さえつけること。2 力を見せつけて他を恐れさせること。(<小学館デジタル大辞泉>より)
「圧」には、「ものを押さえつける力」、「倒」には、「相手を屈服させる」という意味があります。「圧巻」との違いとしては、「圧巻」は、自分の中で最も優れた結果を出した時に使われることが多い言葉ですが、「圧倒」は比較対象が外にあります。相手よりはるかに優れている場合に「圧倒」は使用されるのです。
・彼の語学力は他の生徒を圧倒している。
・浮気を疑ってきた彼女の剣幕に圧倒された。