「できかねません」の意味
「できかねません」という言葉を意味どおりに解釈すると、「することは難しいのではない」や「できるとはいえないわけではない」といったややこしい意味になります。そのため、言葉を受けた人は「できるの?できないの?」と迷ってしまうことになり、話し手の意図を正確に伝えることは難しいでしょう。
■「できかねます」はできないの婉曲表現
「できかねません」は否定形です。元々の言葉自体が「できない」という否定の意味を持つため、「できかねません」というと不可能を否定することになり、ややこしい印象になってしまいます。
中には「できかねます」を「できる」の婉曲表現と間違えて、「できない」の意味で「できかねません」と言うことがありますが、これは間違いです。できないときには「できかねます」と肯定形で使うようにしましょう。
■ストレートに表現するときは「できません」
相手に「できない」ということを伝えたい場合には、ストレートに「できません」と表現できます。しかし、接客の場面や取引先の人と話すときなどのように、「できない」という事実をあまりにもストレートに伝えるのはどうかと思われる場合には、「できかねます」を使いましょう。少し遠回しに表現することで、柔らかい印象を与えつつ断ることができます。
■謙譲表現では「いたしかねます」
「できかねます」は婉曲表現であるので丁寧な印象がありますが、厳密には敬語ではありません。自分を下げることで相対的に相手を上にする謙譲表現「いたしかねます」を使って、「できない」という事実を伝えることもできます。例えば顧客から何かのサービスを要求された場合、「申し訳ありませんが、そのご要望に対してはご対応いたしかねます」と婉曲的に断ることができるでしょう。
■「できかねませんでした」も誤解を生む
「できかねません」を過去形にして「できかねませんでした」と表現するケースもしばしば見られます。しかし、「できかねませんでした」も同様にどういった意味で使っているのか分かりにくいという問題が生じます。
できるのかできないのかを相手に明瞭に伝えるためにも、「できかねませんでした」も避けるほうがよいでしょう。
「できかねます」の使い方を例文でご紹介
「できない」という意味を婉曲的に伝えたいときは「できかねます」と言う言葉を用います。婉曲的な表現ですので、友人や家族、同僚などと普段会話をするときには用いません。主に顧客や取引先の人と対応するビジネスシーンで用いられます。よくある表現と使い方を例文を使って見ていきましょう。