「言及」を使う場面を考える
「言及」という言葉が「追求する」というニュアンスで使われる場合もあります。例えば、相手がふれられたくない事柄について、「言及」という言葉を使って取り上げれば、相手の反感を買ってしまう可能性もあります。
「ふれていいことなのか、ふれるべきではないのか」ということも考慮した上で、「言及」という言葉を使うようにしてみてください。
「言及」の類義語2つ
「言及」には数多くの類義語があります。小学館のデジタル大辞泉に記載されている「言及」の類語は、「論及」「触れる」「述べる」「論述」「叙述」「記述」「口述」などが挙げられています。
ここでは、その中でも使われることの多い「論及」と「記述」の意味と例文を紹介しましょう。
論及(ろんきゅう)
「論及」の意味は以下のとおりです。
[名](スル)論じてそのことにまで言い及ぶこと。「細部にまで―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「論及」とは、論じてそのことにふれるという意味の言葉です。「論及」は、ある議論や説などにおいて、そのテーマと関連することや、詳細にまで論じ及ぶことを指します。「言及」よりもさらに硬い表現といえるでしょう。
【例文】
・我が社の工場で起こった事故の要因に関するレポートを現在作成中ですが、組織の仕組みの在り方についても【論及】する必要があると考えています。
・現代と違って当時は、残念ながら人権問題について【論及】する人は誰もいませんでした。
記述(きじゅつ)
「記述」の意味は以下のとおりです。
[名](スル)
1 文章にして書きしるすこと。また、書きしるしたもの。「見聞したことをつぶさに―する」
2 《description》事物の特質を、事実そのままに正確かつ組織的にしるしのべること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
文章にして書きしるすことが「記述」です。「言及」との大きな違いは、「言及」が話す場合にも使われる言葉であるのに対して、「記述」は書く場合にのみ使われる言葉である点でしょう。
【例文】
・部署内でのトラブルを再発・防止するためには、原因を分析してその内容を【記述】して、部署内の全員で共有しなければなりません。
・うちの息子は【記述】式のテストが苦手です。
言及の英語表現
海外のビジネスパーソンとやりとりをする際にも、「言及」は押さえておきたいワードです。講演会やスピーチを聞いて、「〇〇氏は〜について言及した」などと表現したい場合の英語表現をチェックしてみてくださいね。
reference
「reference」は、「言及」「論及」などの意味を持つ単語です。「reference to 〜」で「〜に言及する」という意味になります。「reference」には、他にも「参照」「参考資料」などの意味もあり、カタカナ語で「リファレンス」と呼ばれることもありますね。
【例文】
・The government referred to raising taxes.(政府が増税について言及した)
・He referred to the subject.(彼はその問題に言及した)
mention
「mention」は、「〜について言及する」「話に出す」などの意味があります。ある話題について軽く触れる、というニュアンスが含まれていることも覚えておいてみてください。
【例文】
・There was no mention on the radio of the fire.(その火事について、ラジオでは言及されなかった)
・I read a mention about this product in a free magazine.(フリーマガジンで、この製品について言及しているのを読みました)
最後に
「言及」とは、話があることにまで及ぶことという意味の言葉です。日常会話の中で使われることはさほど多くありませんが、ビジネス・政治経済・学問・芸術など幅広い分野で使われています。
「言」という文字が使われていますが、文章でも使用されており、レポートや論文などでもよく登場する言葉です。ビジネスシーンでは「言及」の意味を理解し、正しく使いこなしてみてくださいね。
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