「席巻」とは?読み方や意味、由来を解説
「席巻」は誤って読まれることが多い言葉ですが、正しい読み方は「せっけん」です。広い範囲にわたって勢力を広げるという意味があり、ビジネスシーンでは市場を支配するといった意味合いで使われます。
由来は古代中国に伝わる史書とされ、その中の一説が転じて現在の意味をもつようになったとされています。「席巻」の読み方やよくある間違い、正しい意味などを見ていきましょう。
「席巻」の読み方は「せっけん」
上述のとおり、「席巻」の正しい読み方は「せっけん」です。しかし、「席」と「巻」はさまざまな音で読めることから、「席巻」の読み方を誤ってしまうケースは少なくありません。
よくある間違いとしては、「せきけん」「せきまき」「せっかん」「ざかん」が挙げられます。漢字一文字では「せき」「かん」などと読めますが、いずれの読み方も誤りだと覚えておきましょう。
なお、「捲る(まくる、めくる)」という漢字を使って「席捲」と表記することもあり、読み方は同じく「せっけん」です。意味にも違いはありませんが、どちらかというと常用漢字の「巻」を用いることが多いです。
意味は「広い範囲に勢力を広げること」
「席巻」は、広い範囲にわたって勢いよく勢力を広げることを意味します。まずは辞書での説明を確認しておきましょう。
【席巻:せっけん】
[名](スル)《「戦国策」楚策から》むしろを巻くように領土を片端から攻め取ること。はげしい勢いで、自分の勢力範囲をひろげること。「市場を—する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
例えばビジネスシーンでは、競争に勝ち抜いて圧倒的なシェアを獲得することを指します。また、特定の分野で絶大な人気を誇るという意味もあり、日常会話やニュースなどでも多用されます。
字面が似ている言葉に「圧巻」がありますが、「圧巻」は全体の中で特に優れているという意味です。辞書では以下のように説明されています。
【圧巻:あっかん】
《「巻」は、昔の中国の官吏登用試験の答案。最優等者のものをいちばん上にのせたところから》書物の中で最もすぐれた詩文。作中最もすぐれた部分。転じて、全体の中で、最もすぐれた部分。出色しゅっしょく。「恋人との別離の場面は圧巻だ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
例えば、「あの映画はクライマックスが圧巻だった」のように使います。一方、「席巻」には「優れている」「素晴らしい」といったニュアンスはありません。同じ漢字を含んでいても意味は全く異なるため、誤用しないように注意しましょう。
「席巻」は古代中国の史書に由来する言葉
「席巻」の成り立ちに関係しているとされるのは、古代中国の時代に書かれた『戦国策(せんごくさく)』という史書です。戦国策の中で、「席巻」は「席(むしろ)を巻く」という比喩表現として登場します。
席(むしろ)は藁などを素材とした敷物のことで、「席を巻く」は、敷物をくるくると巻き取ることを指します。敷物を片端から巻いていく様子が転じ、勢いよく領土を拡大することを「席巻」と表すようになりました。
これが由来となり、競争において勢力を広げるという現在の意味で用いられるようになったとされています。
【例文付き】席巻の使い方2つ
「席巻」は使える場面が幅広く、ビジネスシーンでも日常会話でも多用されます。対面での会話に限らず、メールの文面に使われることも多いです。「席巻」には堅苦しいニュアンスがないため、ビジネスメールはもちろん家族や友人に送るメールに使っても問題ありません。
ここでは、「席巻」の使い方をビジネスシーンと日常会話に分けて解説します。例文もご紹介するため、「席巻」を使う際の参考にしてください。
ビジネスシーンで使う場合
ビジネスシーンで「席巻」が使われるのは、市場で圧倒的な競争力を発揮していると説明する場面などです。例えば「他社製品が市場を席巻している」というと、他社の製品が市場を支配しており、圧倒的なシェアを誇っていることを指します。具体的な使い方を例文で確認しましょう。
・A社のサービスは、市場を【席巻】する可能性を秘めている。
・B社の製品は、リリースと同時に世の中を【席巻】した。