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「風上にも置けない」とは?
「風上にも置けない」は「かざかみにもおけない」と読み、意味は以下の通りです。
風上に悪臭を発するものがあれば風下では臭くて困ることから、性質や行動の卑劣な者をののしっていう言葉。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「風上にも置けない」の語源とは?
「風上」とは吹いてくる風の方向、「風下」は、その風を受ける方向のこと。「風上にも置けない」とは、つまり「風が吹く方には置けない」ということになります。何を風が吹いてくる方に置けないのかというと、それは悪臭を放つもの。悪臭を放つものを風上に置くと、その風下にいると悪臭を受けてしまいます。この悪臭を、卑怯な人や卑劣な行為などにたとえていったもの。「風上に置けない」とも表現されます。
「風上に」の「に」は場所を表す格助詞。しかし、この「風上にも」の「も」とは、どのような意味があるのでしょうか。それは、言葉を強調するためのものだというのが一般的な考え方です。その他に「風上にも置けぬ」と表現することも。「ない」を同じ否定形の「ぬ」に言い換えることができます。
「風下にも置けない」は誤用
気をつけるべきは、「風上」と「風下」を誤って表現してしまうことです。「風上」と「風下」の意味については上述した通り。「風下」は「風上」に相対する言葉になり、「風下にも置けない」とするのは誤用です。
「隅に置けない」「気が置けない」との違いは?
「○○置けない」とつく言葉に「隅に置けない」や「気が置けない」があります。これらは相手をののしる表現の「風上にも置けない」とは、全く意味が異なるもの。誤用しないためにも、意味をチェックしていましょう。
■「隅に置けない」
「隅に置けない」の意味は以下の通りです。
その人が意外に経験豊かであったり、才能・知識があったりして、あなどれないこと。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「隅(すみ)」とは、「奥や端の方」「中央ではない、目立たない所」を意味する言葉。「隅に置けない」は、才能や経験が豊富にある人を目立たない場所に置いて、ないがしろにしておけないという意味。「侮れない」や「油断できない」といったニュアンスで用いられる表現です。
例文:新人なのに、あんな大仕事をやってのけるとは隅に置けないな
■「気が置けない」
「気が置けない」は、誤って「気を遣わないといけない」という意味で使われることが多くあるようです。正しい意味を辞書でみてみましょう。
遠慮したり気をつかったりする必要がなく、心から打ち解けることができる。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
人間関係において、気を遣わない間柄を「気の置けない間柄」「気の置けない友人」というように表現されます。
例文:彼女は私の幼馴染で、私と彼女は気の置けない間柄です
「風上にも置けない」の使い方を例文でチェック
では、実際にどのようにして「風上にも置けない」を使うのか、使い方を例文でチェックしていきましょう。
「女性や子供に暴力をふるうなんて、男の風上にも置けない」
「風上にも置けない」は、「○○の風上にも置けない」と表すことが多いでしょう。「男の風上にも置けない」とは「男として認められない」という意味合いが込められています。
「他人のものを奪うとは、風上にも置けない行為だ」
「風上にも置けない○○」ということで、その行いや言動が許せないということを表すことができます。
「あんな詐欺まがいなことまでするなんて、同じ営業マンの風上にも置けない」
「風上にも置けない」は、強い怒りが込められた表現。誰がどうみても卑劣な人や物事に対して用います。