今の時代だからこそ知りたい、オートクチュールの魅力って?
“オートクチュール” と聞くと、自分には関係のない話という印象を持っている方も多いのではないでしょうか?
意味としては、オート(HAUTE)=「高級な」、クチュール(COUTURE)=「仕立服」のことで、自分のためだけにあつらえた服、自分のサイズにぴったりと合った服のことをいう場合が多く、どうしても縁遠い存在という印象を受けてしまうのかも知れません。さらに、欲しいものをすぐに手に入れることができる今、完成までに長い期間と手間がかかるというのは、時代に逆行していると感じてしまうのも致し方ないこと。
しかしながら、“オートクチュール” という存在は、ファッションの流れを作り出すうえで大きな役割を果たし続けているということも事実です。
現在における、オートクチュールの魅力とは一体なんなのか。それを少しでも感じられる瞬間のひとつが、実際のコレクションを見た時に感じるあの感動ではないでしょうか。
もちろん、メゾンに行って一着仕立ててもらえば1番早いのかもしれませんが…(笑)
今日は、オートクチュールメゾンの最高峰の一つである【 Dior 】が開催した最旬のコレクションを覗くことで、オートクチュールの魅力をほんの少しでも感じていただけたらと思います!
伝統と革新!!【 Dior 】最旬オートクチュール コレクション♡
7月2日(月)夜、Dior の2018-2019秋冬 オートクチュール コレクションが開催されたのは、パリのロダン美術館庭園。
< Photo:Adrien Dirand >
なんという世界感。白いトルソーに仮縫いの型が天井の高さまで整然と並んだ会場、これだけで思わずうっとり…♡メゾン70周年を祝して昨年開催された『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』を想わせます。
そして、バレリーナの衣装を思わせるヌーディーなピンク色をはじめ、ブリック、グリーン、オレンジといったパウダーカラーのパレットがヌードカラーと呼応することで全体が色づき、まるで身体の延長線のように感じられるルックたち。
< Photo : Dior >
今回、アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリは、インスパイアを受けたという作家で批評家のアリソン・バンクロフトによる文章を引用して、ひとつの疑問を投げかけています。
「オートクチュールに批判的な解釈を施すのと同時に、これを讃えることは可能だろうか?」
厳格な規範があるオートクチュール。その規範のあるクチュールを、現代の価値観で表現するとどうなるのか?
キウリは、アトリエに敬意を示しつつ、現代の価値観で自由なクリエイティビティを表現。確立された規範体系とこのうえなく自由なクリエイティビティが交差することで、新たな感動とオートクチュールの価値を改めて感じさせてくれるものとなっていたのではないでしょうか。
< Emma Summerton for Dior >
オートクチュール、それは洋服の歴史を作ってきた伝統であり欠かすことのできない存在。そして何と言っても、世界にたったひとつの比類なきクオリティ、完璧な作品が身体の延長線にある空気感までも包み込んでくれるという、最高のおしゃれです。
客とデザイナーが面と向かって話し合い、細かい調整を繰り返し、あえて手間をかけ長い時間待つということ。そのたった一点の服には、 ”たくさんの時間” 以上に ”たくさんの想い” が込められているに違いありません。時代に逆行しているようでありながら、その ”ワクワクし、待ちわびている時間” は、速度のはやい今の時代だからこそ大切にさせるべき、オートクチュールのひとつ魅力なのではないかと思うのです。
今回のコレクションのように、伝統をリスペクトし守り抜くこと、そして同時に時代や人々の想いに寄り添うように革新し続けること。オートクチュールだからこそ生み出せる唯一無二な存在は、これからも私たちをワクワク、うっとり、そして感動させ続けてくれるのではないでしょうか。
Dior の2018-2019秋冬 オートクチュール コレクションの動画や、全ルックは公式サイトをご覧ください♡
ビジュアルエディター
望月芹名
都内大学を卒業後、モデルとして東京コレクションなどのショーやテレビCM、広告などに多数出演。雑誌「Domani」にモデルとして登場していたが、ファッションに対する感度の高さから、2018年6月よりWeb Domani にてビジュアルエディターに就任。学生時代はバレーボール部、テニス部で活動。最近ではフルマラソンを完走するなどアクティブな一面も。
望月芹名ってこんな人