【目次】
男が離婚したくなる理由とは?
恋人だったA子さんと結婚するために、好きだったけれどお金にはならない音楽業界の仕事を辞めた次郎くん。
だけど同棲中に気になっていたお互いの「合わない部分」は、結婚したら当然のように、もっと気になり始めるワケで…。
たとえば次郎くんが脱いだ靴下を部屋のその辺に脱ぎっぱなしにする。そんな小さなことでも奥さんはイライラし、何度言っても同じことをしてしまう次郎くんに対して、「脱いだ靴下は洗濯物入れへ!」と書いた貼り紙を貼るようになったとか(笑)。
「毎回、出かけてから『やべっ、また脱ぎっぱなしにして来ちゃった』って気付くんだけど、忘れちゃうんだよね〜」と次郎くん。
だけど、次郎くんが離婚を決意した理由の中で、いちばん大きかったのは、お金の価値観の違い。
次郎くん:お金の使い方が、違ったんだよね。彼女は真面目なサラリーマン家庭で育ったお嬢様で、堅実。だけど俺はマスコミ業界で働いてた自由な親父の元で育ったから、『宵越しの金は持たない』じゃないけど、後輩に奢ったりとか、人情的な、付き合いにお金を使いたいタイプ。
たしかに次郎くんは、気前が良くって漢気があります。たとえばみんなで飲んでて誰かが誕生日が近かったりすると、みんなの分も奢ってくれたりとか。だけどそういう次郎くんの他人に対する気前の良さは、妻からすると「いいかっこしたいだけ」と、イラつく原因にしかならなかったそう。
次郎くん:俺は音楽が大好きだけど、彼女は全く興味がない。そういう違いなら努力すれば合わせられるけど、思いやりとか人情とかそういうのって、家庭環境の違いもあるから、あんまり違うと、理解するのも難しいよね。
そこの価値観のズレが大きくなって来て、次第に次郎くんは、奥さんに嘘をつくようになってしまったのです。仕事相手をねぎらうために自分から飲みに誘ったとしても、「向こうから誘われて仕方なく」、とかね。
妻にはいちばんの味方で居て欲しかった
次郎くん:そういうのがだんだん嫌になって来ちゃったんだよね。彼女の機嫌を損ねないように、無理に合わせたり、嘘をついたり…。
よく聞くと、トータル5年間の結婚生活の中で、2年目くらいからはもうスレ違いの兆候はあったそうで。やっぱり同棲中から「合わないな」って思っていた相手とは上手く行かないよなあ、と思ってしまいました。
最後の1年間は、ふたりで飼っていた2匹の犬を次郎くんが溺愛していて、1匹が病気になってしまったので、「犬と一緒にいるために」同じ屋根の下で暮らしていたようなものでした。
そんな中、副業として続けていた音楽の仕事で、大きな仕事が舞い込むように。
だけど、妻もが当然、喜んでくれると思っていたら、次郎くんが音楽の仕事をすることに対して批判的だったとか。「俺ががんばってる姿をいちばん近くで見ていて、いちばん応援してくれるはずの奥さんが味方になってくれないって、さみしいもんだよ」。
―うんうん、そうだよね。夫婦なら、自分にとって唯一無二の味方で居て欲しいよね…。フリーランスで仕事をしている私には、とっても共感できる言葉。しかも、才能もないのに夢を追ってるアラフォーだったら確かに困るけど、次郎くんが作る音楽って本当にすごくいいから、尚のこと。
次郎くんのやりたいことと、妻が望む理想の夫婦像が合致しなくなってしまった。どちらも譲れないとしたら、夫婦仲の亀裂は不可避。
次郎くん:今は身体も動くし自分の考えも働くけど、歳をとった時、子どももいないし、俺たちどうなっちゃうんだろうって。将来が見えなくなっちゃった。
結局ふたりは別居をスタートしたけれど、一度離れてしまった次郎くんの心が妻に戻ることはなく、その2ヶ月後に離婚。
「勝手な言い分かもしれないけど。男って、子どもだからさ。好き勝手やってればやってるほど、申し訳ないなと思いながらも、それを気持ちよくやらせてくれる器の大きな妻に対して、ありがたいなって気持ちになるんだよ。俺も、妻には手のひらで転がしてて欲しかったんだよね」
普段女性バツイチさんのインタビューが多い私ですが、この次郎くんの男性の本音は、興味深かったです。ほんと、男って勝手(笑)。だけどきっと、本質的にはどんな男性も、妻にはどこかお母さんのような包容力を求めていて、子供っぽい自分のすべてを受け入れて赦して、上手く転がして欲しいんだろうな〜〜〜。だけどね。そんなの、こっちだってして欲しいから(涙)!!
そんなワケで、次郎くんの一度目のメンヘラ妻との結婚話は、次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。