今回の「女の時間割。」は、タレントであり身体美容家®でもある優木まおみさんが登場。36歳で次女を出産後にピラティスを学び始めて2019年にインストラクター資格を取得。今年44歳で美容整体サロンや飲食店オーナーとしても始動を始めた優木さんの、“来世はないと思って今を生きる”マインドに迫ります。
優木さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜
スピンオフトーク
優木まおみさん
タレント、モデル、身体美容家®
ピラティス美容整体サロン『RESIZE BODY』オーナー・44歳
優木さんの「女」時間をClose up 8:00@Room
朝活ピラティスレッスン配信
「これから一日が始まるという朝の時間帯の配信なので、レッスン内容も15分でサクっと汗をかけるようなポーズや交感神経に働きかけてシャキッとさせる構成を心がけています。朝活配信は実店舗のサロンとは別に、月額制のオンラインサロンの会員の方に向けてひと月に10回、60分のレッスン4回、キャンドルナイトという瞑想+トークの回1回をセットにしてオンラインで開催しています。オンラインレッスンは全国のみなさんとともにできるところが魅力ですね」
「女」時間 優木さんの仕事のある平日
この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。優木さんの「女」時間を紹介します。
6:00 起床、トマトジュース、青汁、液状のビタミンCで栄養補給
朝風呂は湯船につかり、EMSマシンでケア
7:00 子どもたちを起こして朝食後、見送り
8:30 朝活ピラティスレッスン配信
9:30 フランチャイズ経営している鰻屋のオンライン朝礼
12:00 昼食、パーソナルレッスン、オンラインサロン勉強会など
17:00 鰻屋打ち合わせ
18:00 帰宅、夕食
20:00 子どもたちと入浴後、就寝の支度
23:00 就寝
人生の基盤をつくってくれた両親の“放任感と見守り感”
タレント、身体美容家、フランチャイズの飲食店オーナーと、仕事でも3つの顔をもちバイタリティあふれる日々を送る優木まおみさんの一日は朝6時のビタミン摂取から始まる。
「朝起きたらまず、赤、青、黄色と3色のドリンクを飲むことを習慣にしています。赤は父が勧めてくれたトマトのジュース、青は自分でプロデュースした青汁、黄色は液状のビタミンCサプリメントLypo-Cです。実は野菜嫌いなのですがこの3つを飲んでおくと調子の良い日が続くんです。お風呂には朝も入りたいタイプで、少しでもいいからちゃんと湯船につかって、お湯の中でも使えるEMSマシーンでお尻や背中の筋肉をほぐして体を目覚めさせます。
朝活ピラティスレッスンの配信は週に3回、モデルやタレントとしてはひと月の1/3くらいは紙媒体やWebメディアの撮影、広告やテレビの仕事をしている感じですね。そこにこの夏からフランチャイズの鰻屋経営の仕事が加わりました。店舗は私の地元である佐賀県にあるので、朝礼や打ち合わせなどはすべてオンラインで展開します。開店から3日は私もフロアに立って、父や母を始めスタッフ一同力を合わせて初めてのオープニングを乗り切りました」
20〜30代はマルチタレントとして一世を風靡した優木さん。ピラティスを学んだことで人生が一転し、40代半ばの今さらに果敢に活動の場を広げている。そんな優木さんに基盤をつくってくれた“人生前半の象徴的な出来事”をたずねてみると、“いちばんは18歳のとき、ひとりで決断して手続きして、両親には“行くね”と事後報告だけして出発したハワイ留学”という答えが返ってきた。
「そのとき人生で初めて、自分で選択して決断することの楽しさや未知の世界の刺激の大きさを知ったんですね。そのささやかな成功体験がその後の人生においても“なにごとも成せばなるさ”というポジティブな感覚をもたせてくれたのだと思います。
これに関しては中華料理店を営み常に忙しかった両親の“放任感と見守り感”に感謝しています。“大学に行きなさい”とか“これやりなさい”などと人生にレールを引くようなことは一切言わず、ただ“まおみがやりたいなら支えるよ”というおおらかなスタンスで見守ってくれたのです。子どもにとって“もし、失敗したりレールから外れたりしてもきっとお母さんたちは私のことを認めて愛してくれる”とか、“どんなに失敗しようが私には帰る場所がある”と思える安心感はとても大切です。両親のその姿勢はいまだに変わらず、そこは私自身すごくまねしたい部分で、自分の育児の原点でもあったりします」
“好き”から始めたピラティスは自分にとって“永遠の趣味”
はたから見れば変化を乗りこなす力強さにあふれて映る優木さんの半生。ところが芸能の仕事や出産・育児を経験する中でさまざまな壁や現実にぶつかり、実は“邪”な部分をもつ自分とも直面してきたと明かす。25歳前後はオーディションになかなか受からず、人と比べては自信を喪失する苦しい時期を経験。結婚後34歳で第一子、36歳で第二子を出産して以降は体調も体型も思うように戻らず、不慣れな二児の子育てに心と体が悲鳴をあげた。ともするとマイナスに引きずられそうな精神状態を支えて現在の人生に至る分岐点となったのは、ピラティスだった。
「次女の出産後は体調不良が長引いて、家から出られないし眠れない。体が固くなって血の巡りも滞るという悪循環。そんなとき偶然ピラティスに出合ったんです。初日はまったくついていけずに落ち込みましたが、なぜだか帰りはとてもスッキリ。続けていると気分もよくなってきて、夫とのコミュニケーションにも好循環が回り出す。これはいったいなぜなんだろうとインストラクターの養成講座に通ったところ、背骨を軸に心と体を整える独自の理論がふに落ちて、一気にハマって資格も取得しました。“この良さをもっと伝えたい”と、最初は趣味感覚でワークショップを開くうちに“短時間で良さを得たい”という参加者の方々のニーズにも応じなければならない場面が増加。コツコツと10回かけて体の変化を感じとるピラティスを気軽に楽しむための、オリジナルのメソッド開発に至りました。コロナ禍で芸能の仕事がゼロになったときには持ち前の“成せばなる”精神が顔を出して、緊急事態宣言が出た日に初めて実施したオンラインレッスンの後押しをしてくれました。
一般社団法人身体美容家認定協会の設立については、各地でイベントに招かれた際の“これからも続けたい”という参加者の方の声に応えるためのネットワークづくりが発端となりました。インストラクターをつなげたり、スタッフの活躍の場としてピラティス美容整体サロンを立ち上げたり。すると賛同してくださるお客様やスタッフが徐々に増えてきて、気づけば私を超すくらいに成長してくれていたんです。ピラティスを通じて人と人との輪が生まれていくところもすごく素敵だなと思いながら理事としての活動にいそしんでいます。
その一方で、時間をかけて育て上げたインストラクターが辞めてほかのサロンさんにいってしまうという憂き目にも遭遇しました。最初は驚きであり衝撃でした。でも、そこはGIVEの精神で大きな心で見送って、できれば自分は“与えるほうの立場にありたい”と捉え直すことができたんですね。その理由のひとつは、ピラティスは自分にとって“永遠の趣味”であると気づいたからなんです。
もし、サロン経営の目的が富を築くことであればそこに集中すべきですが、美容整体の仕事は私にとって“大切な人生の時間”なんです。自分が良いと思っているものを自分の目が届く範囲で、信頼できるスタッフを通してより良い環境で提供したい。だからレッスンの回転率を上げることは重視せずに、インストラクターの研修にも時間をかけています。好きで7年近く続けているものってほかにないですし、それがビジネスになってしまったら一生の趣味を失うかもしれないなという怖さもどこかにあったりしたのです」
鰻屋を始めた背景にある深いワケとは
「“それほどまでに力を入れているピラティスがあるのに、なぜ急に鰻屋を開店したの?”と、みなさん不思議に思われるかもしれません。こちらも思わぬきっかけから、自分の中に“ここではない別の場所で全く別の新しいチャレンジをしてみたい”気持ちが生まれていたことに気づけたからなのです。それは経営塾で出会った知人から聞いた、“佐賀にはまだうなぎの成瀬の店舗がなくて、やってみたい人をオーナーが探している”というリクルートでした。“ええっ、うなぎ? 私うなぎは年1回食べるぐらいだけど…”と最初は躊躇したのですが、オーナーの業務はマネジメントとお金の管理に専念することだと聞いて、やってみたいと思いました。成瀬が2年で急成長した理由を知りたい気持ちもありました。開店準備期間の怒涛の忙しさにクラクラして、一瞬後悔もよぎりましたが(苦笑)、鰻屋での業務が人生の新たなモチベーションとなっています。
私はこれまで20年近く個人のパフォーマンスをベースに芸能活動を行ってきたので、チームで何かひとつのことを動かす経験はしたことがなかったんですね。組織のあり方やビジネスモデルの違いもさることながら、日々何かしらの事件が起きて、それを力を合わせて乗り越えたりまた新たな壁に直面したりと、予定調和ではないドラマに満ちた日々が活力となり、成長体験となっています。研修を通してスタッフの性格や相性などを把握して、適材適所の人事を当てていくマネジメント業務にも手応えを感じ始めています。
芸能の仕事で自分が目標としていたことはある程度達成することができて、それだけが人生じゃないなと思えてきたこともシフトチェンジした理由のひとつかもしれませんね。今年44歳になって人生の折り返し地点が見えてきたあたりから、考え方も150度ぐらい変わってきました。いつ何が起きるかわからない限りある人生だから、まず自分の周囲の人や家族たちには“嫌い”だと思われないように生きたいと思うようになりました。たとえば朝、夫や子どもたちを見送るときは何かイヤなことをひとつでも言わないように気をつけています。もし、けさの見送りが最後になったとしてもよい記憶だけが残るように、後悔がありませんようにと。
人生はリミットが決まっている自分の命の時間を消費しているようなもの。そう考えるとイヤな人のことでイライラする時間はムダだなあと思いますし、ならば同じ時間を自分がやりたいことに費やしたい。友人知人の闘病や突然の訃報に接する機会も増えてくる世代ですので、明日とか来世は考えずに、今に集中して大切に生きていきたいのです。来年は子どもを連れた海外教育移住も予定しているので、ピラティスも鰻屋ももしかしたら、海外から活動するかもしれません。そんなことも視野に入れながら、今日も目の前のことを頑張っています」
〈取材現場より〉
優木さんがなぜ飲食店オーナーという選択に踏み切ったのか、その理由がすとんと腹落ちするようなインタビュー。経営という軸で自分自身を見つめ直した結果、本当に大切にしたいこと、やってみたいと思っていたこと、そこから次に進むべき道が見えてきたという素敵なお話でした。次回Vol.2では、優木さんの知られざる妻時間をお届けします。
Profile
優木まおみ
ゆうき・まおみ/1980年、佐賀県生まれ。東京学芸大学教育学部小学校教員養成課程国語選修卒業。2002年に芸能界デビュー。グラビアモデルからタレント業、バラエティや情報番組のMCなどマルチに活躍する。2013年に結婚、34歳で長女を出産。37歳で次女を出産後に産後の不調を改善するためにピラティスを学び、2019年にbasiピラティスマットインストラクター資格を取得する。オリジナルのピラティスメソッド“MAOBICS”や美容整体メソッド“MAOLOGY”を開発し、身体美容家としてサロンを経営。新たにMAOBICSピラティスのメニューフランチャイズ事業も展開中。著書に『背骨から身体を変えるおうちピラティス』(リブレ)、『ぐりぐりにぎにぎするだけ!秒で美脚』(KADOKAWA)など。今年5月には『第16回ベストマザー賞 2024』を社会経済部門から選出されて受賞。最新事業はフランチャイズに加盟して7月に佐賀県で鰻屋を開店、「鰻の成瀬佐賀北川副店」オーナーとして奮闘中。
インスタグラム : @yukimaomi
女性専用ピラティス美容整体サロンRESIZE BODY
撮影/眞板由起 ヘア&メーク/遊佐こころ 構成/谷畑まゆみ
YOGA FIT アシメミドルトップス¥10,450・YOGA FIT レギンス¥12,100 (Julier Yoga and Relax) パソコン(優木さん私物)
私の生き方