第46回日本アカデミー賞で最多8冠を獲得した『ある男』の石川慶監督が手掛ける、待望の新作 Amazon Original 映画『不都合な記憶』。本作は、近未来の宇宙を舞台に”究極の愛”を追求する、サイコサスペンス・ロマンスです。
西暦2200年、科学技術の飛躍的進歩により人類の宇宙移住が現実となった世界。宇宙に浮かぶ高級レジデンスで暮らすナオキ(伊藤英明)とマユミ(新木優子)は、一見すると誰もが羨む理想の夫婦であった。しかし、その完璧な表面下には、歪んだ愛が潜んでいた。ナオキは過去の幸福な記憶に執着し、自分を愛してくれていた頃の妻を取り戻そうと、マユミを幾度となくアンドロイドとして作り変えていたのです。完璧な妻を求めるナオキの行動はエスカレートし、そして、その歪んだ愛の犠牲となったマユミもまた、静かに夫への復讐を企て始める——。
今回、マユミ役を演じた新木優子さんにお話を伺いました。SF 作品への挑戦、石川監督との仕事、そしてAmazon Original映画『不都合な記憶』が描く愛の形について、新木さんの思いを語っていただきました。
写真をもっと見る─────今回、伊藤英明さん演じる天才科学者の妻で陶芸家のマユミ役に対して、どのように挑まれましたか?
台本を初めて読んだ時は、SFという世界観もあり、規模も今まで私の想像ができなかったくらいの大きな作品だったので、かなり難しいなと思いました。撮影はタイで行われるということで、撮影前は不安もありました。実際に現地に着いてみると、監督や伊藤英明さんとお話する機会がしっかりとあって、作品に対してのディスカッションや、シーンの丁寧な説明をしていただいて、「ここはこういうアクションになると思います」といった具体的な話をしていただいたりしました。そのおかげで、すごく安心して撮影に臨むことができたと思います。今までにない世界観での撮影でしたが、監督の下で納得のいく作品ができたと感じています。
写真をもっと見る─────この役にトライしようと思った決め手は何だったのでしょうか?
一番は挑戦してみたいという気持ちでした。海外(タイ)での撮影になるということと、今までに演じたことのない世界観や役どころというのがすごく興味深かったです。それに加えて、石川慶監督と一緒に仕事がしたいという思いも大きかったです。
今回の撮影で、監督と多くのコミュニケーションを取ることができたと思います。特に印象的だったのは、マユミのその時々の状態、何を知っていて何を知らないのか、という点を細かく監督とすり合わせられたこと。重要なシーンでは、伊藤さんも交えて3人でディスカッションの時間を作り、話し合いました。本当に贅沢な時間を過ごせたと感じています。
───── 石川慶監督と一緒に仕事をしたいと思った理由は?
私自身が監督の作品「ある男」を見て、「こういう作品を作る監督はどんな人なんだろう?」という興味が湧いたことです。
写真をもっと見る───── 実際に監督はどのような方でしたか?
本当に紳士的でした。海外留学経験がある方なので、フランクな部分もあり、すごく優しくて思いやりのある人です。
─────今回演じたのは陶芸家。何か事前に準備されたことはありますか?
元々器が好きだったので、今までの自分の器への思いを大切にしました。器を作るシーンもあったので、手先の練習などもしました。すごく楽しかったです。
─────宇宙と芸術の融合についてはどのように解釈されましたか?
撮影を通じて、宇宙での生活も遠い未来の話ではないような気がしてきました。現実離れしているようで意外と身近というか、本当に普通に暮らせる時が来るのかもしれないという感覚になりました。
写真をもっと見る─────伊藤英明さんとの共演で印象に残っているエピソードはありますか?
伊藤さんは大人の余裕と少年のような無邪気さを併せ持たれています。タイでの撮影でも、フランクにスタッフとのコミュニケーション取られていて、それによって会話の幅が広がったり、コミュニケーションが一歩進んだりしました。食べ物にもすごく詳しくて、「ここが美味しかったよ」という情報をたくさん教えてくださったので、美味しいご飯屋の情報は伊藤さんに聞いてました。
─────タイでの撮影はいかがでしたか?
「微笑みの国」と言われるだけあって、スタッフの方々も含めてみんなすごく優しくて明るい人たちばかりでした。ピリピリした雰囲気はなく、朗らかな空気の中で撮影が進んだと思います。休日は撮影の疲れを取るのに専念することが多かったので、遠出はしませんでしたが、タイの雰囲気を十分に味わうことができたと思います。
─────作品のテーマである「愛の形」について、どのように感じられましたか?
この作品では、恋人と夫婦の違いがテーマの一つになっていると感じました。恋人関係では自分のわがままや自我を通せる部分がありますが、夫婦になるとお互いを尊重し合いながら、より寄り添っていく必要があります。そのためには、自分自身をより大切にできていないといけないのかなと思いました。単に相手の理想に近づこうとするのではなく、自分自身を大切にしながら相手を思いやることが重要だと感じています。簡単なことではありませんが、この作品を通じてそういった夫婦と恋人の違いについて考えさせられました。
写真をもっと見る─────この作品からのメッセージをどのように感じていますか?
この作品は、SFの世界観でありながら、人間関係のすれ違いや相手を思いやる気持ちなど、人として生きていく上で大切な感情や気持ちが描かれていると思います。リアルな人間の感情や、ちょっとしたきっかけで誰もがナオキのようになりうる危うさが描かれていると思います。そういった人間の本質的な部分を、この映画を通して感じ取ってもらえたら嬉しいです。
─────未来の社会に対してのメッセージはありますか?
この作品の舞台は2200年ですが、宇宙に住むことが現実味を帯びてきている今、私たちの行動の一つ一つが未来につながっていくと感じています。自分を大切にすることは重要ですが、それは自分のわがままを通すことではありません。自分の行動が他人や環境にどう影響するかを考え、地球温暖化対策やごみの削減など、小さな行動の積み重ねを大切にして、一人一人が未来につながる行動を考え、実践していけたらいいなと思いました。
写真をもっと見る宇宙という広大な舞台で、伊藤英明さんと新木優子さんが演じる繊細な愛の形。Amazon Original映画『不都合な記憶』は、遠い未来の物語を通して、今を生きる私たちの心の奥底にある普遍的な感情を揺さぶってくれます。この作品が、愛について、そして人間について、新たな気づきをもたらしてくれるかもしれません。Amazon Original映画『不都合な記憶』は現在、Prime Videoにて独占配信中です。是非チェックしてください。
Amazon Original映画『不都合な記憶』
「ある男」の石川慶監督が贈るサイコサスペンス・ロマンス。2200年、宇宙移住が進んだ世界。高級レジデンスに暮らす科学者ナオキ(伊藤英明)と妻マユミ(新木優子)は理想の夫婦に見えた。しかしナオキは、かつての幸せを求めマユミをアンドロイド化し続けていた。理想を追求する夫と、真実に気づく妻。歪んだ愛のかたちを描く。Prime Videoにて独占配信中。
ワンピース(HATRA<株式会社波取>)、イヤリング(右耳) (liquid<unigem>)、イヤーカフ(左耳)・リング (FLYNK<unigem>)、シューズ( PIPPICHIC<有限会社ベイジュ>)
撮影/キムアルム スタイリスト/高野夏季(HITOME) ヘアメイク/中山友恵