ベテラン勢が若手チームに技を伝授。『レイディ・ベス』の現場は緊張感がありながらも温かい空気!
宙組→月組→専科と組をまたいで活躍した凪七瑠海(なぎな・るうみ)さんが登場。
前回の星風まどか(ほしかぜ・まどか)さんとは在団中は縁がなかったものの、退団後の舞台で初共演されたのだそう。
星風さんから届いたメッセージもとっても明るく愛があふれるものでした。
<星風さんからのメッセージ>
「かちゃさん、ご無沙汰しております。まどかです! 在団中は舞台での共演はなかったものの、同じ誕生日ということで気にかけてくださって大変うれしかったです!
そして昨年は、ご卒業されて初めて出演されたミュージカルにて共演という願いがかないまして、思い出深い1年となりました。
『レイディ・ベス』もお身体大切になさって頑張ってくださいませ。またお会いできるのを楽しみにしております!」
星風さんも楽しみされているミュージカル『レイディ・ベス』は2月9日に開幕。今回は、作品についてのお話や凪七さんの仕事への取り組み方についてお話をうかがいます。

——まずは、ご紹介いただきました星風まどかさんとのエピソードがあれば教えてください。
凪七さん(以下、敬称略):まどかちゃんは、私が月組にいたときに初舞台生として来ました。そのときからとてもかわいくて、私たちは教室の外から稽古をのぞきながら「あの子絶対にトップ娘役になるね」と言っていたんです。そのくらい話題でした。
現役時代の共演はまったくなかったのですが、誕生日が一緒だったので「おめでとう」とお互いにお祝いを言い合ったりして。11月11日なんです。
——退団されてから『1789―バスティーユの恋人たち―』で共演されましたね。
凪七:はい、初共演です。公演中には、晴華みどり(はるか・みどり)さんを交えて元タカラジェンヌ3人で食事に行きました。
まどかちゃんのプロ意識の高さはお稽古中から感じていて、とても素晴らしかったです。もちろんタカラヅカの娘役のときからそうだったと思いますが、そこからミュージカル俳優として進化をし続けていることに尊敬と感動を覚えました。
——『レイディ・ベス』についてもお聞かせください。出演のお話をいただいたときはどう思われましたか?
凪七:私はアン・ブーリンという、エリザベス一世の母の役をさせていただきます。前回演じられていたのが、タカラヅカの中でも素晴らしい歌声で「歌姫」と言われていらした和音美桜(かずね・みおう)さんでしたので私で務まるかな、と思ったのですが、常に挑戦をしていこうという姿勢で心を決めました。
はやくに処刑されて亡霊になった役なので誰かと対話するセリフがなく、歌のみでつないでいくとても課題の多い役。会話がないのはちょっと寂しいのですが(笑)。
——会話がないということは、自身自分で役の世界観を確立させていかなければならないということですよね。
凪七:そうなんです。どうしても残ってしまう男役としてのくせや高音の発声などを気にしつつ、「このシーンはこう表現したい」というところを意識しながら、アン・ブーリンとしての気持ちをみずみずしく表せるように最終のお稽古をしています。
——この時代の衣裳はとても美しいです。宝塚歌劇と退団後のミュージカルで大きく違うのはどこですか?
凪七:衣裳は宝塚歌劇のときも豪華でしたのでそこは大きく違わないのですが、お化粧は全然違いますね。最初は「こんなに薄くていい?」と不安になりました(笑)。現役のときは豪華な衣装に見合ったお化粧をしていたので。

——凪七さんは在団中から外部の舞台に出演されていましたよね。
凪七:だいぶ鍛えていただきました。とくに『テラヤマキャバレー』は難しかったです。みんなで手探りの状態の中、私がいちばんもがいていたと思います。周りのみなさんがプロフェッショナルすぎて、気持ちがギュンと固まってしまいました。プレッシャーと若干人見知りな性格なので、 2週間くらい誰とも話すことができず…。そこから昇華できた作品だったかなと思います。
——退団されてからの初めての作品は『1789―バスティーユの恋人たち―』ですか?
凪七:そうです。『1789―バスティーユの恋人たち―』は小池先生の演出でスタッフの方もおなじみの顔ぶれでしたのですごく安心感がありました。宝塚歌劇団を退団したばかりという時期で、まだ外部出演しているような感覚でした。退団して1か月くらいバタバタしたらもう『1789』のお稽古場にいた感じです。
——今回の『レイディ・ベス』はそのときの顔ぶれがまたそろっていますよね。
凪七:そうですね。とても心強いです。
お稽古場でお隣の席の吉沢梨絵さんがすごく気さくに話しかけてくださって、助けていただいています。朗らかで楽しい方なんです。山口祐一郎さんと、石川 禅さん、津田英佑さんなど大先輩方もすごく温かくて、後輩たちを引っ張ってくださっていて。お稽古場の雰囲気は、明るく前向きな感じです。
あと、同じOGの有沙 瞳(ありさ・ひとみ)ちゃん。今回ほぼ初共演なのですが、宝塚歌劇出身というだけで仲間意識がありますし、同じところで育ってきているので舞台に対する姿勢や考え方が似ています。なにも言わなくても寄り添える部分があるというか…。そういう意味で安心できますよね。
だからみほちゃん(有沙さん)も言ってくれたんですけど、「かちゃ(凪七)さんがいると落ち着くんです」って。それは私も同じで、気づいたらふっと吸い寄せられるように一緒にいることが多いです。
みほちゃんが演じるメアリー・チューダーのダブルキャストの丸山 礼さんは今回が初舞台で、これまた場を盛り上げてくれる明るい方。素直な反応をしてくれて面白いんですよ(笑)。
——今回ダブルキャストが多くて、どの組み合わせを観るか迷ってしまいそうです。
凪七:これは迷いますね。全部の組み合わせを観ていただきたい。それぞれカラーが違って、組み合わせでまた違って。
——そんな中シングルキャストでずっと歌いつないでいくのは大変ではないですか?
凪七:宝塚歌劇を考えればまったく大変ではないです(笑)。どんなしんどい公演もシングルでやってきたので。芝居もショーもありましたし。
コンディションを整えるという点で、ダブルの方が大変かもしれません。今日の公演の自分の出番はどっち?とか、みんなは1回目をやっていて体が温まっているけど自分は2回目から合流するからちょっと準備が必要とか。リズムが変わっちゃうから。
——なるほど! キャストの人数が多いからお稽古場でのエピソードも多そうですね。
凪七:先日のお稽古場ではよく、ベテランの方たちが若い方たちにいろいろと教えていらっしゃるところを見ます。たとえばお辞儀の仕方や、お辞儀をしながら歌うにはどう発声をしたらいいかなど。また、役作りに関してもいろいろアドバイスをされていました。のどに負担の少ない発声で長時間セリフを言うことができる方法などを伝授していらしたり。アンサンブルの方たちも各場面がっちりと支えてくださっていて、なんて温かいお稽古場だろうと。

——退団後は公演1回ごとに現場が変わるじゃないですか。先ほど「人見知り」と言われていましたが、初めましての方が多い現場でどうコミュニケーションをとられていますか?
凪七:まずは自分のやるべきことをしっかりやるということを心がけています。自分からいろんな人に話しかけることは苦手ですが、時間をかけて徐々に打ち解けていく感じですかね。
1回だけでなくその後もご縁が続く方もいらっしゃいますし、今回のみなさんともまたどこかでご一緒できたらいいなと思っています。公演が終わってからもごはんに行ったり、出演者の方のライブを観に行かせていただいたりと、プライベートで仲良しになることもあって広がっていっています。
——仕事で煮詰まったときや壁にぶつかったときはどう対処していますか?
凪七:まずは冷静に分析します。感情で受け止めますが、そこから先は感情的にならずにどん底に落ちないですね。「なにが原因なんだろう、なにがどうなって今こうなってるんだろう」受け止めて、必要なことを取り入れて必要じゃないものは捨てる。
このロジカルな対処方法は、22年間のタカラヅカ時代に培ったものです。学年が上がり、周りを広く見ながら考えることができるようになって、専科に行ってからみなさんから相談を受けることが多くなりました。それで、私の今までの経験は様々に生かされているのかもしれない、と考えるようになりました。
——感情的にならないテクニックはなにかあるのでしょうか?
凪七:いったんニュートラルに戻すようには心がけていますが、今までの経験からそれが自然にできるようになっていますね。具体的に書き出したり…という作業は逆にしないです。そうすると思っていたことが飛んじゃうんですよ。頭の中で分析した方が整理がつくタイプです。
——今後、挑戦してみたいお仕事はありますか?
凪七:まだ退団して1年なので、あらゆることに挑戦したいです。でもやっぱり、舞台をメインにお仕事ができたらうれしいですね。
あとは、同期(89期)が全員卒業したのでせっかくだから同期でなにかできる機会があるといいなとは思っています。それがたとえ20年先になっても。スケジュールの調整が大変そうなんですよね(笑)。

タカラジェンヌの頃から大きな挑戦をすることが多かった凪七さんゆえ、そのチャレンジスピリットは今も変わらず。これまでの経験で得たもので、より大きくジャンプされている印象でした!
次回は凪七さんご自身のあれこれをうかがいます。お楽しみに。
ミュージカル『レイディ・ベス』

【Story】
16世紀イギリス。ベスは国王ヘンリー8世の娘にも関わらず、母が反逆罪の汚名を着せられ処刑されたため、片田舎で家庭教師達と共に勉学に勤しみながらひっそりと暮らしていた。王女らしい理知と少女らしい好奇心に満ちたベスは、ある日、吟遊詩人ロビンと出会い、自身と真逆で自由に生きるロビンに反発しながらも、淡い恋心を抱き始める。しかし、つつましくも平穏だった日常は、彼女が現国王である姉のメアリーに対して反逆を企てているとの疑いを掛けられ一変する。忠義心をメアリーに信じてもらえず、彼女の側近ガーディナー司教やルナールから陥れられ、ついにはロビンとも引き離されロンドン塔に投獄されてしまう。だがメアリーの圧政に不満が溜まった民衆からは、「ベスを女王に」という声が次第に高まっていく。ベスが選ぶ道は、国のための人生か、1人の女性としての幸せか、果たして——。
【Staff&Cast】
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞・修辞:小池修一郎
出演:奥田いろは、小南満佑子、有澤樟太郎、手島章斗、丸山礼、有沙瞳、内海啓貴、松島勇之介、高橋健介、津田英佑、吉沢梨絵、凪七瑠海、山口祐一郎、石川禅
【公演日程】
<東京公演>
日程:2026年2月9日(月)〜3月27日(金)
会場:日生劇場
<福岡公演>
日程:2026年4月4日(土)~13日(月)
会場:博多座
<名古屋公演>
日程:2026年5月3日(日)~10日(日)
会場:御園座
▶︎公式サイト
凪七瑠海
なぎな・るうみ/11月11日生まれ、東京都出身。元宝塚歌劇団専科スター。2003年に89期首席として宝塚歌劇団に入団し、宙組に配属。2009年月組大劇場公演『エリザベート』にヒロインのエリザベート役で特別出演し、注目を集める。新人公演主演、バウホール公演主演を果たし、2013年に月組へ組替え。東上公演ダブル主演を務めて2016年に専科へ。花組・雪組・星組への特別出演や外部公演への出演で活躍し、2025年花組大劇場公演『エンジェリックライ/Jubilee』にて退団。退団後は、2025年4⽉『1789―バスティーユの恋人たち―』、2025年9⽉⾳楽劇『謎解きはディナーのあとで』と舞台を中心に活動を続けている。
▶︎Instagram:@ruuminagina_official
▶X:@ruumi_nagina
ワンピース¥66,000(クゼットデザイン<エレファン>) 090・7635・4523
その他/スタイリスト私物
撮影/田中麻以 ヘア/Atsushi Takita メイク/RIKA TANAKA スタイリスト/津野真吾(impiger) 構成・文/淡路裕子
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