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2022.12.24

生野陽子さん「ニュースも情報も“より正しく伝える”ことを肝に命じています」

 

1日のもち時間は誰でも等しく24時間。けれど、時間の使い方や過ごし方にはその人のスタンスや個性が現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日の時間割”を軸に、ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫ります。今回はフジテレビアナウンサー・生野陽子さんにご登場いただきました。

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女には3つの顔、3つの時間がある…。今回の「女の時間割。」は、第二子出産後に復職してから約7か月、時間の大切さをよりいっそう意識しながら働くフジテレビアナウンサー・生野陽子さんにお話をうかがいました。

生野さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜 
スピンオフトーク 12月27日公開予定

フジテレビアナウンサー・38歳
生野陽子さん

生野さんの「女」時間をClose up 13:00@TV station
大切な情報がきちんと届くように、原稿の下読みから丁寧に準備します

「ニュース原稿を読むときには何よりも“伝わりやすさ”を大切にしています。視聴者の方にニュースの主旨をきちんと理解してもらえるように、事前に『日本語発音アクセント新辞典』で発音を調べたり、編集長や先輩に確認します。聞き取ってもらいやすいスピードを重視することもポイントです。スタジオ内で立ち位置へ向かう際にはニュース原稿や書き込みをする赤と青のサインペン、辞書、ストップウォッチなど必要なものをまとめた箱をもって移動します」

生野陽子さんがスタジオを移動している様子

「女」時間 生野さんの“レギュラー番組”のある日

この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。生野さんの「女」時間を紹介します。

7:30 起床、朝食準備
8:00 朝食
9:00 片付け、家事など
  出社
13:00 ヘアメイク、衣装へ着替え
   放送に向けて準備をする
17:30 本番オンエア
   終了後、番組会議に出席
20:00 帰宅後、絵本の読み聞かせ、遊び
21:00 子どもたち就寝、入浴
22:00 就寝

情報をいち早く届けるだけでなく、後世に伝え続けることも使命

テレビを通じて私たちに日々大切な情報を届けてくれるアナウンサーの仕事。フジテレビで報道番組を担当する生野陽子さんは、1歳と3歳のお子さんの育児をしながら時短制度を活用してアナウンサーとしてカメラの前に立ち続けている。基本的には1日6時間勤務で、仕事柄急な出演オファーがあった場合は、時間外でも柔軟に対応することもあるのだとか。

「フジテレビは長期の育休を取得することが可能だったり、子どもが小学3年生を終える年まで時短制度を利用することができるんです。時短制度も以前は1年生になるタイミングで終了でしたが、子どもが小学校にあがってからのほうがむしろ預け先の確保が難しくなるという現場の声を受けて改善された経緯があります。アナウンス室の上司も持続可能な働き方ができる環境をなるべく整えてくれているので、その点は働きやすさがありますね。

ふたり目を出産してから約半年での復職は、夫や両親など家族の全面的なバックアップのおかげでなし得たことでもありました。家族が私の仕事復帰を応援してくれて、私自身も育休中に担当していた番組から再びオファーをいただけたことをとてもありがたく感じました。求められていることに応えたいと思って復職の時期を決めました。若いときは一も二もなく仕事優先でしたが、子どもをもったことで人それぞれ考えや事情が異なることを改めて実感できて、そうした経験も仕事に活かせるものだと思っています。幼い子と送る生活は大変ではありますが、ふたりとも年が近いので一気に子育てしているような感覚です。大変な時期も一度になるので、その点はむしろよかったかなと思っています。

最近では働き方改革やテレワークが浸透してきて、社内にもさまざまな働き方をする社員が増えているんですよ。長期の育休を取得してからアナウンサーとして復職される方もいますし、私みたいに短くお休みしてすぐに戻る人もいたりします。先日、後輩の女性アナから“自分はどのパターンを選ぶかまだわからないけれど、さまざまなパターンの先輩がいるから面白くて”という言葉が聞けたのはうれしかったですね。この先、多様な選択肢や多様な生き方が可能な組織がもっと増えていく社会になっていくと素敵だなと思っています」

仕事も今の職場もとても好きだと迷いなく語る生野さん。アナウンサーを長く続けていきたいと考えるきっかけとなった仕事人生の分岐点は、2011年の3月にあったという。

「いちばん大きかった出来事は東日本大震災の取材でした。『めざましテレビ』のメインキャスターになって半年弱でしたが、被害状況を伝えるため毎週のように東北に通ったのです。実際のところ私などが取材に行っても、被災者の方の手助けやボランティアの一助になるわけではありません。自分の無力さや目の前に広がる震災の現実を受け入れることができなかったときもありました。信頼するスタッフがずっとそばにいてくれて、なんとか現地取材を続けることができた状態でした。

震災から1か月くらいたったころでしょうか。ある避難所で幼稚園生くらいの女の子にお話を聞こうと声をかけたことがあったんです。すると“なんか、お友達がいなくなっちゃったんだ…”と口を開いてくれて、一緒にいた保護者の方が“震災後、この子が声を出したのは初めてです”と教えてくれました。震災の影響の大きさに改めて驚きつつ、もしかしたら私が聞くことで誰かの役に立つことがあるかもしれないと思いました。そこから現地のみなさんのお話を聞く企画がスタートして、いろいろな方にお話をうかがってまわりました。その後も『めざましテレビ』を担当している間はずっと福島での企画に関わり、塩害を受けた田んぼを綿花で元に戻そうという企画なども展開しました。

活動を続ける中で、ふと思ったことがありました。現状を伝えるのもアナウンサーの使命ですが、その状況を後世に伝えたり記録に残すこともひとつの大事な役目だと感じたのです。あのとき東北でした経験は、何年経っても伝えられるところでは伝えていかなければと思ったことが今もアナウンサーを続けている理由のひとつでもあります」

生野陽子さんが原稿を読んでいる様子

“命を守る放送”のために今日も真摯にひたむきに

「あの当時はまだ、自分のこの先のキャリアプランについて何も考えていませんでした。20代はとにかく目の前の仕事に対応するのに必死で、今後もニュースに携っていけたらいいなとぼんやり思ってはいましたが、情報番組にもバラエティにも同じようにモチベーションをもっていました。バラエティでは瞬発力が試されるところが好きですね。たとえば、芸人さんはいつどんなタイミングで何を話されるかわかりません。それに応えるには臨機応変さやとっさの瞬発力が必須だったりするのです。

報道番組においては、何か突発的な事件が起きたり地震などの災害が起きるなど、非常時には原稿がなくとも瞬発力で対応しなければなりません。防災は日本では重要なテーマです。災害時だけではなく、日頃の呼びかけや言葉がけも大切です。テレビを見ている方にはこちらの熱意や熱量が透けて見えるものだと捉えているので、日々スタッフと相談しながら真剣にのぞみます。ふだんから一生懸命伝えていれば『生野さんが言うんだったら、ちょっと避難してみようか』と思ってくださるかもしれません。ひとりでも多くの方にご自身の命を守ってもらえるような放送ができればと願い、勇気をもって伝えるべきことは伝えていく。そこは番組スタッフも含めて覚悟をしながらあたっています。

アナウンサーはよく、“最後の砦”と呼ばれることがあるんです。取材記者や編集長と並んで原稿をチェックする人間のひとりですし、最終的なチェック者になりうる立場でもあるからです。放送当日の朝と昼のニュースは欠かさず確認して、その情報が今フジテレビではどの段階まで放送できているのかを把握したり、私が伝えるときにはどの部分が新しくなりそうかを事前にチェックしておきます。夕方の放送に向けて最新情報をインプットしながら、最終的に適切な言葉選びになっているかどうかに注意を払いつつ、先輩や編集長と相談しながら本番にのぞんでいます。“神は細部に宿る”という言葉がありますが、ほかの人はそんなにこだわらなくてもいいんじゃない?と思うようなことでも私は細かく確認したいタイプなんです。それはアクセントだったり、原稿の成り立ちだったり、現場の取材者に直接確認したい点だったりとさまざまです。もしかしたら視聴者の方にはそんなに細かいところまでは伝わらないかもしれません。でも、やっぱりそうした細かい作業を真摯に積み重ねていくことが、自分の身上ではないかと思っています」


健康管理も大切な業務であるため、生野さんのインタビューはオンラインで展開しました。PCの画面越しでも伝わる輝く瞳に爽やかな笑顔。ですが、語る言葉は極めてハードでストイック。さまざまなリアクションや意見が飛び交う今の世の中において、“伝えることのプロ”としての毅然とした姿勢や覚悟にこちらの気持ちも引き締まりました。Vol.2「妻」時間も、お楽しみに!

Profile

生野陽子

しょうの・ようこ/1984年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業後、2007年にフジテレビにアナウンサーとして入社。新人アナウンサーの冠番組の3代目司会を務め、“ショーパン”の愛称で人気を集める。その後、『めざましテレビ』のメインキャスター、『FNNスーパーニュース』、『FNN PRIME news evening』など、報道&情報番組を多く担当。30歳で同期である中村光宏アナウンサーと結婚。34歳で長女を出産。昨年37歳で長男を出産して今年4月に復職。現在は『Live Newsイット!』の土日のメインキャスターを務める一方で、『ぶらぶらサタデー 有吉くんの正直さんぽ』にも出演している。趣味は習字で書道の師範免許をもつ。
公式ブログ:SUNSHINE BLOG YOKO SHONO
インスタグラム : @yoko_shono

撮影/眞板由起 スタイリスト/杉山朱美 ヘア&メーク/今関梨華(P-cott)構成/谷畑まゆみ

衣装協力/ブラウス・パンツ(ANAYI)、イヤリング(ANTEPRIMA)、パンプス(JIMMY CHOO)

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