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LIFESTYLE 私の生き方

2023.08.16

大木優紀さん「局アナから海外旅行のスタートアップに異業種転職をして、2度目の仕事人生を生きてます(笑)」

 

時間の使い方や過ごし方には、その人の価値観や人生のスタンスが現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日のタイムスケジュール”を軸に、ひとりの女性がもつ女・妻・母の3つの顔にフォーカスします。

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今回の「女の時間割。」は、海外旅行事業を手がける令和トラベルで執行役員として活躍中の元テレビ朝日アナウンサーの大木優紀さんが登場。40代でスタートアップ企業への異業種転職を成功させたダイナミックなキャリアチェンジについてお聞きしました。

大木さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜 
スピンオフトーク 

大木優紀さん
株式会社令和トラベル 執行役員、
海外旅行予約アプリ『NEWT(ニュート)』PR・42歳

大木さんの「女」時間をClose up 10:00@Office
管轄するユニットのメンバーとオンラインミーティング

「参加者が50人を越す全体朝会から4〜5人の小規模な会議まで、オンラインミーティングの人数は毎回さまざまです。画面越しでも伝わりやすいコミュニケーションのために心がけているのは、相手の話を聞くときにリアクションをしっかりとること。実はアナウンサー時代にまだ若手だったころ、ワイプリアクションが薄いと叱られたことがありました。やはり見る人にとって、うなずきなどの反応は「聞いてくれているな」という安心感につながります。局アナ時代の習慣を活かして今も大きめなリアクションをマイルールにしています」

大木優紀さんPCを持って立っている様子 腰から上

「女」時間 大木さんのとある平日

この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。大木さんの「女」時間を紹介します。

6:15 子どもと一緒に起床、即朝食準備
6:25 子どもに朝食を食べさせる
6:50 子どもと一緒に家を出る
7:00 オフィスに出社
10:00 管轄するユニットのメンバーとオンラインミーティング
12:00 他部署のメンバーとシャッフルランチ
16:00 退社、GPSで居場所をキャッチして帰宅中の子どもと合流
17:00 買い物、帰宅、夕食づくり
18:00 夫帰宅
18:30 夕食
19:00 宿題など子どもの勉強をサポート
20:00 入浴
21:00 子どもたちの就寝後、自由時間、片付けしながらドラマを見たり
23:00 就寝

先入観がなかったからこそ飛び込めた新しい道

コロナ禍のさなかの2022年1月。40代にしてこれまで18年半勤務してきた華やかで知名度のあるテレビ朝日アナウンサーというポジションから、海外旅行事業を扱うスタートアップ企業への異業種転職を果たした大木優紀さん。ミドル世代の転職はキャリアやスキルを活かす道が推奨される昨今、先が見えない時代に大きな決断に踏みきったことが話題になった。

「あの時期に転職を決めた理由のひとつは“自分は海外旅行が本当に好きなんだ”という気づきでした。もともとテレ朝時代も年に2度の長期休暇や連休には必ず海外へ行くのを習慣にしていましたし、海外旅行は生活に弾みをつけるイベントであり、それをめざして仕事を頑張るモチベーションでもありました。しかし世界規模のパンデミック下において、海外旅行に行けるかどうか、先行きが見通せない状況になりました。自分にとっては生活を彩る欠かせない要素であり、モチベーションの源であり、学びも得られる刺激体験。それらがコロナ禍で一切できなくなってしまったときに、ものすごく鬱々とした気持ちが生じてフラストレーションを感じ始めたのです」

年齢的にも社会状況的にも、転職に向けて一歩踏み出すことに怖さも感じるような時期だったと振り返る大木さん。しかしそこを踏み切れたのには別の理由もあった。

「それまで年齢のことを気にしたことはなかったのですが、40歳の誕生日を迎えたとき初めて、今まで上り坂を一生懸命登ってきたけれど、ここからは山の下り坂に入っていくのかもしれないという漠然とした不安がよぎったのです。残された時間で自分がやりたいこと、まだやれていないことはなんだろうと考えました。アナウンサーのスキルは一般社会では汎用性に乏しいと感じていたので、果たして自分にはほかに何かできることがあるのだろうかというモヤモヤした気持ちにもなりました。

テレビ朝日はとても居心地のいい会社でしたし、アナウンサーの業務も大好きだったので、在職中は一度も辞めようと思ったことがありません。何もなければ、そのまま続けていたかもしれません。そんな私が初めて転職しようと立ち止まったのが、コロナ禍で出合った令和トラベル代表篠塚が書いたnoteでした。“世界がゼロリセットされた今だからこそ、日本人が普通に海外旅行を楽しめる世の中に戻していきたい”という熱のこもった文章を読み終えたときに、鬱々とした気持ちや将来への不安、海外旅行が好きな気持ちがひとつの答えを出しました。“自分もここで働きたい”という強い意欲が生まれたのです。おそらくこれを逃したら次はない。私が転職する最初で最後のチャンスだろうと思いました」

海外旅行という商材の魅力に惹かれた大木さんは、転職活動について改めて情報収集を行い、Wi-Fiがつながりやすいレンタルブースを借りて人生で初めてのオンライン面接にのぞんだ。いざ採用通知が届いてから入社するまでの8か月間は、テレビ朝日での仕事を悔いなく終わらせるために全力で業務に取り組んだ。良くも悪くもスタートアップ企業に対する予備知識をもっていなかったので、自らの選択にリスクを感じることもなかったという。

「家族の反応もおおむねポジティブなものでした。夫は“ええっ、なにそれ。アナウンサー辞めてスタートアップ行くって面白いね”と背中を押してくれました。上の娘は小学校にあがったばかりでしたが、私が働く姿をできるだけ見せておきたかったので、少しだけ心配でした。アナウンサーという職種は働く姿を画面越しに見せることができるので、娘も“アナウンサーになりたい”と言ってくれていました。ここで辞めたら私の仕事は彼女の記憶に残らないかもしれないなという懸念があったのですが、いざフタを開けてみれば今度は“旅行のお仕事がしたい!”と言ってくれて(笑)、そこはうれしい誤算でした」

大木優紀さん椅子に座ってPCを操作する様子

大木さんが入社して最初にとまどいを感じたのは、テックカンパニー特有のカルチャーや発想、独特な用語が社内を飛び交うことだった。さらにワークスペースのNotionやコミュニケーションツールのSlackなどを用いたやりとりも初めての経験だったという。 

「ジョインやマージ、ローンチなどという言葉も初めて耳にしました(笑)。そこで、年下の先輩・同僚に囲まれた“40代の新卒”気分で未知のジャンルをゼロから学ぼうと切り替えたのです。ゼロベースなので、変なプライドが出てきたりこれまでの経験がじゃまをするようなことはなかったですね。10代のインターン生にTikTokを学ばせてもらい、20代のマーケ担当者にマーケティングを学ばせていただき、わからないことは素直に“教えてください”と質問して、がむしゃらに初めての業務に向き合ったのです。

まだまだ不慣れな入社4か月めで、ローンチしたばかりの海外旅行予約アプリ『NEWT(ニュート)』のPRを任されました。何をどうすればよいのかわからず試行錯誤を重ねていたとき、ビジネス映像メディアのPIVOTさんから、私がPRのプロに学ぶコンテンツの企画をいただいて、そこでの出会いも大きな学びにつながりました。もし私の経歴が新人PRだけだったら声をかけていただくこともなかったでしょうし、アナウンサーとしてのキャリアが間接的に活きたことがうれしく、これまでの経験が次につながることのありがたみも実感しました」

さらに、組織体系も人事制度も設計中というタイミングでの社内のアイディアミーティングで意見を求められた大木さんは、“夏休みは子どもと一緒に過ごしたい”という希望を率直に伝えた。それがFocusという社内制度の考案につながった。

「Focusという制度は、1か月単位で働く時間を最大1/4まで減らせるというものです。 “小学生の夏休みってすごく特別な時間なので、できれば夏は子どもと一緒に過ごしたいんです”と話したら、1年度内で最大2か月の労働時間を最大1/4に短縮して働くことのできる制度が実現しました。子育てや介護や留学、ゆったり休養をとるなど、幅広い目的での取得を想定しています。制度ができてすぐに私もFocusを活用させてもらいました。

また執行役員となってからは担う業務の幅も広がり、海外出張も増え、仕事のオペレーションにも工夫をしました。出張や長期の休暇などでオフィスを不在にするときの業務委託の方にひとり多めに入っていただいたり、インターン生などメンバーの力を借りて対応をしています。最初はメンバーも大変だったと思うのですが、逆にひとりいなくてもうまくまわるような組織にしていかなければいけないという良い学びにつながりました。

家では夫がワンオペ体制を確立してくれました。転職時に自分でも私の背中を押した手前、変わらざるを得ない部分があったようで、とてもたくさん助けてくれるようになりました。子どもたちには週間予定表をつくって渡して、宿題や習いごとなどの自分の予定はある程度、自分で管理できるような仕組みも整えていきました」

パッケージツアーの印象をくつがえすサービスを提供したい

「今は本当に2回めの人生を歩んでいる感覚ですね。働き方も生き方も正解はひとつではない時代にあって、私自身、これまでずっと仕事を頑張ってきた人生の続きを、結婚・出産後もしっかりと積み上げていきたい気持ちが強いタイプであることを自覚しました。転職を機に旧姓の大木優紀としての2回めの人生をスタートさせることができて、チャレンジングで刺激的な仕事を経験できていることを本当にありがたく思っています。

この先はまず、海外旅行予約アプリのNEWTをみんなの当たり前のサービスに成長させていきたいです。仕事に子育てに忙しいというとき、エア&ホテルのパッケージを簡単に選べて気軽に海外を楽しんでもらえるサービスを提供したいですし、日本の若い方たちにも海外体験をしてほしい。スマホがあればギリシアだろうがアラスカだろうが秒で美しい映像が流れきて、行ったような気にはいくらでもなれますよね。でもやっぱり自分の目で見て、肌で感じて、匂いや音を直接感じる体験をしてもらいたい。若いみなさんにスマホの四角い画面から顔を上げて海外の一次体験をしてもらえたら。そこを後押しするべく、若年層に刺さるクリエイティブにも注力していきたいのです。

まだまだ規模の小さな会社ですが、自分の体感としてはマスメディアにいたときよりも社会を変えられるような力をもてているような使命感が勝手にあります。お客様にとって満足度の高いサービスを提供するべく、オンラインでのコンシェルジェ対応の充足はもちろん、ツアー数拡充にも力を入れており、ツアー本数はまもなく10,000本になります。パッケージツアーのイメージ一新を目指して目下奮闘しているところです」


大企業のテレビ局からスタートアップ企業に転職して海外旅行事業に従事する大木優紀さんに、40代での異業種転職についてのお話をお聞きしたら、次世代への熱い思いが聞けました。Vol.2「妻」時間もどうぞお楽しみに!

Profile

大木優紀

おおき・ゆうき/1980年、東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部を経て、2003年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『GET SPORTS』『やじうまテレビ!』『くりぃむナントカ』などを担当する。29歳で結婚。32歳で長女、35歳で長男を出産。2度の産休・育休を経て、復職後の2018年よりABEMA内のニュースチャンネル『けやきヒルズ』、翌2019年からテレビ朝日の報道・情報番組の『スーパーJチャンネル』を担当。2021年末に同社を退社し、2022年1月に41歳で海外旅行代理店の令和トラベルに異業種転職。海外旅行予約アプリ『NEWT(ニュート)』の広報PRを担当、noteやインスタグラム、TikTokなどのSNSを用いて精力的な情報発信を開始する。2023年4月に同社の執行役員に就任。現在小学4年生の長女と2年生の長男をもつ2児の母としても奮闘中。趣味はスキー、ダイビング。全国通訳案内士、PADIスキューバダイビング免許も所持している。
X(旧Twitter)▶︎@Yuuki_Ohki
Instagram ▶︎@yuuki_ohki
note▶︎「大木優紀 / 令和トラベル」

撮影/眞板由起 スタイリスト/磯部青子 ヘア&メーク/荻山夏海 構成/谷畑まゆみ

ジレ¥28,600(ブラーミン〈ファスサンファール〉)、ノースリーブニット¥25,300(マルティニーク〈martinique LUMINE YOKOHAMA〉)、ピアス¥28,600・ ブレス¥16,500 (ete)

私の生き方

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